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欅坂46 THE LAST LIVE -DAY1-から2年

ちょうど2年前の2020年10月12日と13日、2日間にわたり欅坂46のTHE LAST LIVEが無観客・配信ライブとして開催されました。

欅坂46が封印されてから2年。


始まりの場所

■セットリスト -DAY1-


00. OVERTURE
01. サイレントマジョリティー

02. 大人は信じてくれない

-VTR : 土生瑞穂-
03. エキセントリック

04. 語るなら未来を…

-VTR : 渡邉理佐-
05. 月曜日の朝、スカートを切られた

06. Student Dance

-VTR : 上村莉菜-
07. カレイドスコープ
08. 渋谷川

-VTR : 齋藤冬優花-
09. I'm out
10. Nobody

-VTR : 佐藤詩織-
11. 東京タワーはどこから見える?
12. 避雷針

13. 不協和音

-VTR : 渡辺梨加-
14. キミガイナイ
15. 君をもう探さない
16. もう森へ帰ろうか?

-VTR : 小林由依-
17. 黒い羊

ENDING

■もう一つの「黒い羊」

DAY1ラストの「黒い羊」は、曲のイメージを一新させるほど力のこもったものでした。オリジナルの平手センターバージョンは、平手を中心に据えた長大なワンカメショーで彼女(僕)の孤独を、最後に訪れていたのかもしれない僅かな希望を、痛切に描いていました。
THE LAST LIVEの黒い羊は、平場のステージ(本来であればアリーナ席)を縦横に使いながら、俯瞰のカメラが彼女たちをずっと追っていく。淡いスポットライトが迷走する中、彼女たちはまるで羊の群れのように形を変えながら、寄り添い、感情を分け合いながら彷徨っているように見えました。何かから逃げているようにも、戦っているようにも、声にならない声で泣いているようにも、いかようにも見えてしまう。いなくなってしまった羊の仲間を探し求め、否、もう戻ってはこないことを知っていて、それでも探し求め、絞り出した悲しみと苦しみの叫びのように見えるのです。

こんなに切なく、哀しい楽曲だとは思わなかった。




メンバーの加入当初や初期のインタビュー映像を交えながら、ノンストップで繋いだ約2時間のステージ。配信ライブはどうしても集中できない、身が入らないと思っていたのが、結局、身じろぎもせずに最後まで画面を凝視し、神経を研ぎ澄ませて聴き入っていました。

終わった時、身体中が綿のように疲れていた。

セットリストを見渡しても、改めて聴き直しても、平手友梨奈の存在を抜きにしては語れない楽曲の数々を、最後の最後に彼女たち自身が全く新しい形に昇華させ、演じ切った、文字通り出し切った、最後の血の一滴。抗い続けた末にようやく辿り着いた一つの「答え」がこのライブだったのではないかと思います。

皮肉にも、客席に観客は一人もいない。だから、その反応は窺い知れない、ただ信じて出し切るしかない。まるでそれが平手友梨奈からの最後の試練であるかのように、僕の目には映りました。

ファンの誰かが書き込んでいましたが、このライブは「平手友梨奈からの卒業」だったんじゃないか。そしてその先にあるのは、馴染んできた欅坂ではなくて、別のグループだった。

全てが結果論だけれど、誰がセンターを務めていても、成立するポテンシャルを持ったグループだった。けれどもしも、2ndや3rdの時点で新センターを立てていたら、おそらくこれほどのカリスマ性を宿したグループにはなり得なかったろうとも思います。

最近になって、欅坂時代の楽曲が改めてパフォーマンスされる機会もありましたが、どこか彼女たち自身の「楽曲との向き合い方」に変化が現れているように映ります。迷いや苦しみから解放され、昔着ていた制服に袖を通しているような、楽曲を楽曲として純粋にパフォーマンスしている、そんな気持ちの余裕が見て取れるのです。

2年の歳月、櫻坂としての新しい時間が彼女たちの心身に変化を与えたのは当然あるだろうけれど、この時の「THE LAST LIVE」が生まれ変わるための必然の苦しみであり試練であり挑戦だったように思います。


この翌日、10月13日のDAY2をもって、欅坂46はその歴史に幕を下ろすことになります。


■過去の記事(再掲)


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