飛鳥の覇王色 #1
時々、僕はふと思いついた言葉を付箋に書いて貼っておく。いつ頃からだろうか、癖になっている。
雑誌や新聞記事の切り抜き(全部、乃木坂関連のもの)を整理していると、「飛鳥の覇王色」と書いた付箋を見つけた。
いつ書いたものかわからない。
飛鳥ちゃんが卒業してからまだ4日。もう4日。
どちらか知らないけれど、時間は平等に過ぎていく。今までと変わりなく。何事もなかったように。
きっと、何事でもなかったのだ。
ところが、僕にはそうではないのだ。
大きなことなのだ。
正確には、まだ卒業コンサートの日程が発表されていないから、「卒業」と言い切れないもどかしさが残る。
卒業コンサートは、空から槍が降ろうとも参加する。
思い出したことや、心に浮かんだことを、漏らさず書き留めておこう、何かに残そうと考えた。
こんな気持ちになったのは、多分、ななみん以来だ。
あの二人は、特別で、格別だった。
最後の日、12月31日、飛鳥ちゃんのモバメ(モバイルメール)の配信最終日だった。
日付が変わる寸前まで、メッセージが何通も届いた。
心が満たされるようで、裂かれるようだった。
終わりが近づいている!刻々と!
耐えられなかった。
もうやめてくれ。
でも、話し続けてくれ。語り続けてくれ。
矛盾した気持ちのまま、時計の針は0時ちょうどを指した。
テレビの向こうから、歓声が聞こえる。
メッセージは、途絶えた。
同じ1秒が過ぎていくのに、同じ時間のはずなのに、さっきまでと違う。同じであるはずなのに、根本的に何かが違う。大切な何かがそこに欠落している。
どんなに探し回っても、見つからない。
テレビの向こうから、明るい曲が聴こえてくる。
新しい年を、明るい一年にしようね!
そんな思いがこもった、アーティストの歌声は、孤独をより一層、深くした。
夜の底は、深くて冷たかった。
あの子が、凍えていませんように。
2023年1月5日
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