合同企画・次回予告創作に関する作業記録です。

▷『落第悪魔キャンディちゃん』特設サイト
▷次回予告動画再生リスト

ものねこさん(WHALE LIBRARY)との合同企画となります。

作品概要

ジャンル：ファンタジー/コメディ/次回予告
創作内容：架空のアニメをモチーフにした次回予告動画集
あらすじ：地上に落とされた落第悪魔キャンディが、特に魔界に戻るでもなく地上での暮らしを謳歌する。

合同企画開始のきっかけ

事の起こりは2022年10月頃である。
何か合同での企画に挑戦してみたいな〜でも相方がいないなと漠然とタイムラインを眺めていた私の前に偶然合同企画をやりたい旨のものねこさんのツイートが現れて、やるやる〜！　と詳細もほぼ聞かずに飛び込みました。

自分だけで作る創作は何にも代え難い楽しさですが、同時に自分の枠の中で組み上げるため予想外の出来事はほぼ望めません。
その点、誰かと組んで物を作ると常に想定外の物が出来上がって単純に楽しいものです。
自分の幅を広げるためにも共作をしたいと思ってはいたものの、さてどうすれば合同企画に発展するのか、どの程度の規模が良いのか、内容は、時間と体力は確保出来るのか、やり切れるのかと考えると、主に仕事の事情から現実的ではありませんでした。
しかしそこにちょうど合同企画をやりたい方が現れると、えっいいのですかやりましょうと飛びつくもので、やるやる〜！　と挙手するに至ったわけです。
合同企画をしたい需要が重なるとはなんたる偶然。奇跡的なタイミングでした。
(とはいえものねこさんは様々な企画を立てるなど外向きな活動も幅広い方なので、もしかしたら珍しいことではなかったのかもしれません。私としてはドンピシャなタイミングでした。)

次回予告を作るのはどうですかというご提案に乗る形で制作が始まりました。

一体どういった企画なのか

開始時点の提案の補足は以下の三点。
「次回予告であること」
「キャラクターやストーリーは作る」
「本編は存在しない」

なるほど次回予告が全てということです。
幻の本編を脳内で展開しながら予告文を書くというわけです。

次回予告は本編を語るも語らぬも自由なものなので、わりと自由に作る余地もありそうです。

ということでまず予告であり本編である次回予告を作るにあたり、ストーリーやキャラクター、全体の構成などは案を出し合い整えることから始めました。

いちくらオラクル大活躍

取っ掛かりが無いと始まらないので、タロットカード/オラクルカードから着想を得ることにしました。
ちょうど私の手元には『いちくらオラクル』(ものねこさん主催で制作されたオラクルカード)がありましたので活用します。
(『いちくらオラクル』についてはこちらの記事にまとめております→いちくらオラクル制作記録)

このお話の主人公はいちくらオラクルがなければ今の形にはならなかったでしょう。
引いたカードはいちくらオラクル【10】キャンディ/正位置。
たくさんの飴玉、宝石、少女性……といった面を広げていきました。名前もこちらから取りキャンディと相成りました。
ストーリーも飴→雨→天候のような連想から固まっていったので、大いなるきっかけでした。ありがとういちくらオラクル！
その他のツールの結果とも組み合わせつつ最終的な形に落ち着いています。

その後も大まかに設定を作っていきあらすじを整え次回予告を作るわけです。
そう、本編は無いけれど各話のあらすじは存在するので、ストーリーが気になる方は特設サイト内「過去放送回」ページを要チェックです。

作業の振り返り

色々と調べものをするわりには一瞬で忘れるので備忘録として作業をまとめます。
絵の辺りなど作業時のメモです。

立ち絵造形

設定とあらすじを元に、主人公の相棒である不運のエリート悪魔『ハーゲル』と、相対することになった組織の親玉『エクレール』の立ち絵を作った話。

【ハーゲル】

ハーゲルはエリートな悪魔の青年です。
真面目な性格で悪魔社会に尽くしていたようですが、とにかく不運な人物でもあります。キャンディが起こした事件に巻き込まれ、キャンディ共々地上送りにされました。
お目付け役でありながらさらに不運なことに使い魔にされ、キャンディの一声でマスコット化までしてしまうという、呪いでも受けているのかというキャラクターです。

真面目でエリートということで、ビシッとした格好、魔界の制服をイメージしています。
悪魔は理性でもって人間を騙し操るという設定があったので、格好良さよりも禍々しさを重視しています。

マスコットとしてのハーゲルは、飴玉・ペロペロキャンディ的な渦巻き模様・ウサギを元にデザインしています。
ウサギに関しては、ハーゲルの尖った耳を見てキャンディがウサギを連想したという方向性で設定しています。
初期は尻尾はありませんでしたが、マスコットとしてのデザインが尻尾の目立つものだったので、人物の方にも尻尾を取り入れました。
自前の尻尾なのか装飾品なのかは本人のみぞ知る。取り外しは出来るようです。

真面目で頑固で冷たそうに見えますが、口を開くとけっこうお喋りでもあることがわかります。マスコット姿では崩した表情も多く見られます。

【エクレール】

当作品のラスボス的な立ち位置。
クラウの父であり組織のトップである厳格なおじさん。
予告上少ししか登場しないので、ビジュアルだけでなんかとにかく怖くて強そうで頑固そうに感じて貰えるように描きました。
雷おやじという言葉もありますし、ゼウスも雷を操りますし、怖いおやじたちに習って雷モチーフです。前髪が特に雷です。

制服の元デザインはものねこさんによるものです。
そちらを元に、位が高そうな人物の正装をイメージして調整しました。

威厳を感じられるようにゆったりとしたマントに変えています。模様は金平糖とギリシア雷紋で、共に名前から取っています。マントの下は元デザインと同じく肩章を着けているようです。
他の箇所も現場で駆け回るのではなく指揮官として椅子に座っていそうな服装という意味で、ゆったりとしたシルエットと煌びやかさを取り入れています。
太陽雨雲モチーフのブローチは徽章っぽく左胸に装備しています。

画像右、未使用のエクレールさん。ギャグ顔を披露してくれています。そう、ここはギャグ時空なのだ…。

それぞれの人物像や、キャンディ、クラウのデザインは「キャラクター」のページからぜひご覧ください。キャンディもクラウもとっても可愛いよ……！

名前の話

こちらは共同作業にて決定しました。メモと私の雑感が入り乱れていますがご了承ください。
主人公が飴（キャンディ゠ドロップ）なので、周りもそれに合わせてお菓子の名前から取っています。

【ハーゲル゠カルメ】
キャンディが飴、雨とお菓子を連想させる名前なので、ハーゲルも同様に天候とお菓子を連想出来るようにしています。
霰・雹という訳と、ヤン・ハーゲル・ビスケットと呼ばれる焼き菓子から取りました。
あとハーゲルスラッグ(チョコスプレー)もありますね。甘そう。
カルメはカルメ焼きの辺りです。カルメラ、カラメル(キャンディ)から取った気がします。

【エクレール゠コンフェイト】
落第少女と落雷おやじで音が似ている辺りがとても良いです。
エクレールは稲妻でありお菓子(エクレア)でもあります。

【クラウ゠コンフェイト】
息子クラウはトウモロコシプリンです。
南蛮渡来のコンフェイト(金平糖)とナンバンキビ(トウモロコシ)としてもうっすら繋がりを感じます。

後からわかったのですが、トウモロコシを雷避けとする地域もあるようで、役割的にちょうど良かったです。

余談。クラウ・ソラスという武器がファンタジー界隈では大人気だと思われますが、これは「光の剣」という訳になるそうな。
クラウは剣の意味となり、次世代を切り開くという意味としても格好いいですね。本人はへっぽこナルシストだけどやっている事がカリスマ性を帯びている辺りが妙に合います。

ところで最近人名に使う゠（ダブルハイフン）と等号=（イコール）は違うという話題を目にしてへーと言っていたら自分で打ち込むことになって珍しく雑学がリアルタイムで役に立ちました。

ロゴ作成/作字

・タイトルロゴ
ドロップあくまキャンディちゃん。ドロップは飴と落第と地上追放(落ちる)をかけています。
悪魔魔法少女怪盗という要素の大渋滞に頭を抱えます。スタイリッシュな方向にするか、かわいい方向にするか。
いやしかし要素は渋滞していますが、物語は飴と天候要素から構成されているためこちらを軸として置き、他の構成要素を組み込んでいくのが良さそうです。甘くなりすぎない程度にキラキラさせ、角をつけて勢いをつけました。
ものねこさんにもラフを確認して頂き、現在の形となりました。

慣れないソフトを使っていたので困りながら作業していました。あちこち無理やり繋げた部分などもあります。勉強になったぜ……！　次回予告の枠についてもあちこち叩いたり伸ばしたり力技で作っています。

・次回予告の文字
【フリーフォント】晩秋レトロミン | すずみばと書林
を元に作成いたしました。元気で姿勢の良いキラッと光るフォントです。ありがとうございました。
キャンディの元気さ、怪盗ものの要素、魔法少女要素、悪魔という絡み合った要素をスッキリと表現してくれています。二期制作が決定したらこちらの文字をベースにロゴを作りたいくらいイメージにぴったりでした。

・メインビジュアル/広告用イラスト
魔界から地上に舞い降りたイメージです。
ハーゲルは7割くらいはマスコットの姿で連れ回されているんじゃないかと思っています。

動画背景

全10枚＋未使用３枚描いておりまして、着手から終了まではだいたい１ヶ月でした。
街、郊外、お城、城内、自然の風景や現象など、思っていたよりもバリエーションのある背景画となりました。
雨、雷、雪……描けない！　街並み……描けない！　城……楽しいけど構造がわからない！　光……表現出来ない！　などと転げ回り、試行錯誤の連続でした。色々描いたけれど慣れるということはなく、それぞれ違う表現に挑戦出来る貴重な機会でした。
初めは初回と最終回にあたる絵だけ用意していて、作っても天気の差分をくらいにしておこうかなと思っていたのですが、なぜか全て別構図です。

城内の背景だけたくさんあります。迷走していました。未使用分です。
絵に関してはここでは解説せず、後日ツイッターなどであらすじや予告文も含めてコメントしていきたいと思っています。

以上が作業の記録となります。

所感

動画、音声、サイトに関しては知識が無かったのでものねこさんにお任せしています。お疲れ様でした！　動画のミニキャラが喋っているところなどとてもかわいいので見てください。

色々と出来る事が多い方なので私が作らなくても実はなんら問題が無さそうだし、ものねこデザインの飾り枠やタイトルロゴを見たかったのですが、せっかくの機会なので平面的なものに関しては作れるだけ作らせてもらいました。

動画作品となるとこうした機会がなければ自分では作ることも無さそうだったので、貴重な経験でした。次回予告だけってどんなだ……！？　と思いつつ始まった昨年の秋が懐かしいです。
アニメの次回予告を毎回楽しみにしている民なので、なんとなくやりたい方向性が伝わりやすかったのは良かったかもしれません。
もし全くわからない分野だったとしても楽しめたに違いありません。
合同企画のお誘いなどはいつでもお待ちしています。

次回予告にはロマンがあります。
次回への気持ちを盛り上げたり、毎回違うキャラクターがその時々の感想を喋っていたり、日常のドタバタ劇が始まったり、シリアスな作品なのに予告だけはゆるかったり、かと思えば詩的で聞き惚れるようなものがあったり、メタ的であったり、短い時間に世界観が詰め込まれています。
『落第悪魔キャンディちゃん』も、予告を聞きながら次回の本編で繰り広げられる冒険をぜひ想像してみてください。予告を聞いた方それぞれの本編の中で、キャラクターたちが元気に暴れ回っていてくれたら嬉しいです。