いつも
風を感じている

ちょっと背伸びをして
透けるような生地の
ワンピースを買って
特別の日に
装う

髪は
セミロングで
襟足に少しかかるくらいがいい
サイドは少し上げて
小さな
キラリとする髪飾りをつけよう

でも
少し袖が短かったかな
腕が少し寒そうだ
両手で
自分を包みこむ

一歩踏み出すと
フワッと
服の裾が
両方の足にまとわりついては
サッと離れる
歩くと
繰り返される動き…

ほら
いい感じかも
思わず後ろを
右側から振り返る
誰も
見てなんかいないのに
自分が気にするほど
他人(ひと）は
私を
見てなどいないのに

今日は
誰かに
見て欲しい

風に吹かれながら…装う私を

いつもは
誰も
私を見ないで…と思っている
自分の存在を否定して
いなくなれと思っている私を
無視してくださいと
思っている

風の中での装いは
少し
私を変えたかも…

此処にいてもいいよと
言ってもらえた気がする

しばらく
風に身を任せよう