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テナー始めました。(其の一)

Bonjour a tous!
皆さん、お久し振り。夏真っ盛りですが暑い中なんとか生きてますか~?
パリは一度一週間ほどカーッっと暑くなったものの、その後すっかり根性無しの尻すぼみ。
暑いの大好き人間シロカネにとっては物足りないですが、酷暑に慣れていない仏人は35、6℃に達した途端ぎゃーぎゃー大騒ぎ。
毎夏フライパンと圧力鍋で、外はこんがり中はもっちり蒸されているような日本人にとったら生っちょろい話ですね。
仏人が日本の夏を過ごしたら、おそらくブウブウ不平不満ぶう垂れる気力も無くなって、半年ぐらい放置したフランスパンのようにカチコチに干からびてしまうことでしょう…

私シロカネはといいますと、相も変わらずあっちへこっちへ雑務に忙殺されていて、(格差社会の被害者です。へるぷみ~(笑))「はよ新作作らんかい!」というお声にもお答えできず、心苦しいです。ちょっと待ってね。
その代わりといっては何ですが、テナー始めました。(なんの代わりやろ?)
ええ、タイトルは夏なので「冷やし中華始めました。」みたいなノリで言ってみたかったのです(笑)

そう、テナーといえばテナーサックス。知らない人のために説明しますと、私一応ミュージシャンの端くれです。
歌って踊れるアイドルならぬ、アクセサリー作って笛も吹けるアイドルを目指しています。
応援よろしくね☆

というわけでテナーサックス。今まで長いことアルトとソプラノだけをやっていたシロカネですが、色々諸事情で遂にテナーサックスを始めることになりました。
楽器をしていない方にはあまりピンと来ないかもしれないですが、サックス奏者にとってはなかなか大きな出来事なのです。
例えるなら、「自転車と原付乗ってるけど、今度から単車も乗るわ。」みたいな…
う~ん、よう分からん(笑)
やっぱり「ラーメンとチャーハン作ってたけど、冷やし中華始めました。」の方がしっくりくるな。

とまあセンスの無い例えはさておき、テナーサックスが何か分からない方のためにご説明しますと。
サックスにはその大きさと出る音域で、小さい物からソプラニーノ、ソプラノ、アルト、テナー、バリトン、バスがあり(他にも特殊な物にコントラバスサックスとかありますが、出る音はほとんど船の汽笛か猛獣の唸り声です…)、一般的にジャズやポップスで最も使われるのがソプラノ、アルト、テナーなのです。

出る音域はサイズが大きくなるにつれ4度ごと下がっていき、サイズ一つ置きにオクターブ下がっていきます。つまり同じ指使いでバリトンはアルトの1オクターブ下、テナーはソプラノの1オクターブ下の音が出るようになっています。
隣同士のテナーとアルトだとテナーの方が4度低いので、アルトでのドの指使いでテナーをそのまま吹くと4度下のソの音が鳴ってしまいます。
これが文章で書くよりずっとやっかいで、ギターのように指使いを平行移動できないため、サックスを持ち替えると同じ曲でも指使いは似ても似つかないものに…。
覚えた曲でももう一度覚え直しとなってしまうのです。

ジャズのスタンダード曲を全てアルトサックスで学んだシロカネにとって、ソプラノを始めた頃はそんな感じで大変でした。今でも一部の曲で混乱します…
おまけに当初は耳で覚えている音程とアルトの指使いがしっかり紐づいていたので、ソプラノの演奏中気を抜いていると、長い休符の後ドのつもりで吹いたらソの音が鳴って舞台上で慌てたこともあります。

(左からテナーサックス、アルトサックス、ソプラノサックスです。)

サックスの見分け方ですが、ソプラノは一般的に知られている蛇のようにクネッと曲がったサックスらしい形ではなく、真っ直ぐな筒型形状が多いです。(アルトやテナーのように曲がったカーヴドソプラノもありますが。)
その形状のため、たまにお客さんに「とてもピカピカに磨かれたクラリネットですね。」と言われますが…いえ、これも一応サックスでんねん。
ちなみに余談ですが、戦時中外来語が禁止されていた頃のサックスの呼び名は「金属製先曲がり音響出し機」…。音響出し機って(笑)。ソプラノは先曲がってないので呼べないですね(笑)
そしてトロンボーンが「抜き差し曲がり金真鍮喇叭」‼ 
戦争が終わってホントに良かった。名刺の肩書に、「抜き差し曲がり金真鍮喇叭奏者」は恥ずかし過ぎる罰ゲームです…。

ソプラノサックスの有名な演奏だとJohn ColtraneのMy Favorite Thingsですね。
かっちょええ。

アルトとテナーは形が似てますが、ネックという上の方のマウスピースが刺さっているところがやや違います。アルトは割と真っ直ぐなのに対してテナーは少しS字に曲がっています。
短絡的なイメージだとアルトはポップス向きのスポーティ-な感じ、テナーはゴリゴリ低い音で男臭い感じでしょうか。

とまあサックス講義はここまでにしておいて、どういういきさつでテナーサックスを始めることになったかをお話します。

以前からテナーサックスにはなんとなく興味があったのですが、ジャズとか具体的な音楽をやるときよりもむしろ、コンテンポラリーダンスとかの音作りでもう少し低い音域があったらなあ、と思っていました。
が、そこは金色に煌めく楽器。なかなかいい値段するわけで。(40∼50万、中古でも有名どころのメーカーなら20万円ほど。)
こりゃ「アクセサリー作れて笛吹ける系アイドル」として一発当てないと、零細企業シロカネは手も足も出まへんねん。
う~ん、また今度考えよ~っと!…と保留していました。

ただなぜかここ数年、周りのミュージシャン仲間はそんなシロカネの台所事情など知る由もなく、
「テナーサックス吹かないの?」とか
「テナーだったら一緒に新しいプロジェクトやりたいのにな~。」
「あ~あ、お前のテナーとボサノヴァやりたいわ~。絶対ええのにな~。(仏語で)」
等あの手この手で色目を使ってくるじゃあないですか。どういうこっちゃ?
ありがたいことですが、そんなこと言われても今はどうにもこうにもなりまへんなあ…。

そんないきさつをある日、哲学者の友達に何の気なしに話したら、「うちに使ってないテナーサックスあるで、半永久的に貸すけど。」と。

ええ!? 
棚からぼたサックス!

この哲学者の友人(日本人)がなかなか面白い変わり種で、音大を出たものの哲学に興味を持ち方向転換、パリで哲学の博士論文を書きながらボクシングにもはまってトレーナーの資格も取りたい、というシロカネにも負けないなかなかのデタラメ人生(笑)
類は友を呼ぶようでデタラメはデタラメを引き寄せるようです。
そんなデタラメ友達(本当はすごい奴です。)曰く、音大の時の課題でサックスを購入したものの、その後日本の実家に使われず保管されている、とのこと。
とは言っても日本にあるわけだし、話半分に聞いて一応ミュージシャン友達たちにそのこと伝えたところ案の定の反応。

「うお~、それ絶対もらってちょうだい!」
「そんなチャンス無いで!」
「お前やったら絶対ビッグでグレートな音出るはずや~。(仏語で)」etc...

そう言われると、なんか自分の中でも何か盛り上がってきて。
テナーかっこいいかも、と考えたり、テナーサックスを朗々と吹く自分を想像したり(笑)
豚もおだてりゃ木に登る、シロカネおだてりゃテナー吹く!

そうこうしているうちに、ブラジル人のパーカッショニストの女友達が、
「うち今度、日本に滞在するから、その子の実家までテナー取りにいくで~。ていうかシロカネのために絶対取りに行きたいっす!ういっす!」(仏語で)
と言ってくれるじゃありませんか。

そんなこんなで割と小柄なその友達は半ば自分の使命かのように、えんやこらさと重いサックスをはるばる日本から持ってきてくれたのです。
ただ、それも今年初めのころ、その時期シロカネはShirokane Koboの立ち上げで忙しく、自分に合うマウスピースを探しに行く間も無いままズルズル半年が過ぎてしまいました。

(黒いのがマウスピースで、竹の板きれみたいなのがリード。左上の締め金でリードをマウスピースの平らな部分に固定して使用する。)

サックス奏者にとってマウスピースとリード(マウスピースに着ける竹の端のようなもの。ここが震えて音が鳴る。)はかなり重要な部品。
楽器は手に入ってもその二つが自分に合うセッティングで無ければ、場合によっては音さえ鳴らないのです。
逆にマウスピースとリードさえ合っていれば、最悪楽器のモデルはさほど気にならない(シロカネの場合)。

しかし金属製先曲がり音響出し機は、部品もなかなかいい値段するのです。
持てる資本は全てアクセサリー事業につぎ込んでいたシロカネは、マウスピースを買うのも後回しに…。

だって、マウスピースなんてチョロQサイズのただのプラスチックの塊でっせ。
そんなものにウン万円も払うサックス奏者は冷静に考えたらおかしい…。
しかもリードなんて竹の端切れみたいなものがテナーだと1枚4~500円もする。それがタバコの箱大の10枚入りで5000円…。
それらをあーでもないこーでもないと、とっかえひっかえ何十万円も使っているサックス奏者は、傍から見たらアイドルのグッズに全財産をつぎ込むオタクみたいなもの…。
と、パリジャンのようにブウブウ言いながらも、テナーを待っている友人たちの喜ぶ顔もみたいので、重い腰を上げてマウスピースとリードを買ってきました。

一応買いに行く前にどのモデルがいいか、いつもお世話になっているサックス専門店のサイトを見ると、テナーのマウスピースはおおよそ日本円で2~10万円。う~む、いい値段(汗)
ビクビクしてお店に行って、とりあえず目星をつけているモデルを片っ端から出してもらいました。
普通マウスピースはお店で試奏させてもらってから購入するのですが、色々試させてもらった結果、幸い気に入ったモデルが2万円ほどでした。
そう幸い!なぜなら、サックス奏者が自分の理想とするマウスピースと出会ってしまったら最後、それがどんな値段であろうと「妥協して安い方を買う。」というのはかなり困難な選択肢なので…。
まあ例えるなら、運命の女性(ひと)との出会いを見過ごして、タイプでもない人と付き合うようなもの…。
妥協なんかしたら毎晩うなされる…
ああ、なんで俺、あの時にあの女性(ひと)に告白しなかったんやろ…
逃がしたマウスピースは大きい~(笑)

そんなこんなでこの夏、テナーを始めました。
いざブリブリ練習してみると、テナー独特の良さを発見してはまりそうです。

え?アクセサリーの方?
もちろん忘れずに準備中です!もうしばしお待ちを!

(Shirokane)


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Shirokane Kobo

フランスの工房で銀細工を一つ一つ丹念に作り上げています。 https://shirokanekb.thebase.in
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