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銅メッキ

今回は外注のお仕事で銅メッキをやってみました。
銅製の蛇口が欲しいとのオーダーでしたが、フランスには真鍮製の蛇口しか見つからず銅メッキをかけてみることに。
銅メッキはやったことが無いので、ネットであれこれ調べていざ挑戦!
用意するのは塩酸と乾電池…たったこれだけ?!
とりあえず見よう見まねで。

塩酸。フランスではホームセンターで簡単に手に入るけれど、日本ではサンポールやナイスといった塩酸入りの洗剤を使うみたいですね。

これに水を加えて希塩酸を作り、あとはメッキしたいものを電池の-極、メッキ材料の銅を+極に繋ぐだけ。

繋いだとたんにいい感じで泡が立ちました、メッキが始まった証拠ですね。(周りの白いのは怪しい粉じゃありません…。万が一塩酸がこぼれた時に中和するための重曹です。)

1時間後、蛇口は銅まみれに!これを取りだして一度重曹の水溶液(弱アルカリ性)で中和して水洗いします。

ところがどっこい、あれだけふさふさに付いていた銅が全て綺麗さっぱり取れて、中からピカピカの真鍮が出てくるじゃありませんか(涙)
(失敗画像無し。今回あまり写真を撮る余裕がなかったです。)
銅は全く定着していなかったみたいです。
何が良くなかったのかな?
あれこれ電池を増やしたり時間を増やしたり、色々試してもなんとか一部分がメッキされるだけでなかなかうまくゆかず、お手上げ状態で見たメッキ工場の動画がヒントになりました。
動画ではメッキは+極に近いところがされやすいので、形状が複雑な物は周りに+極の補助線を張り巡らすとのことでした。それと電流が高いとメッキ表面が荒れるそうです。
確かに蛇口はネットで参考に見ていたものよりずっと重くて大きく、形状も複雑なので工夫が必要だったみたいですね。

気を取り直して、改良版を開発。
ペットボトルを二重にして一番内側に蛇口を、その外側を+極の銅線でぐるぐる巻きに。そして今回は思いきって7時間ぐらい放置しました。
約7時間後、ここ数日間の失敗のトラウマと闘いながら、運命の時が…。

恐る恐る取り出して洗ってみると…。



なんとなんと完璧に綺麗にできているじゃありませんか!
数日間苦労した甲斐があった。

ただちょっとピカピカ過ぎるので、こういう薬品で古色付け。

こういう感じに仕上がったのですが、もう少し黒くない方が良いとの要望で、鉄綿でごしごし擦って少し戻すことに。

最終的にこんな感じに仕上がりました。


それと今回、蛇口の吐水口も作って欲しいとのことで、こちらは銅管で作ることにしました。
写真は、売り場で吐水口に使う銅管の太さを決めているところです。
でも、こちらはすっかり途中経過の写真を忘れてました。あまりマメじゃないので…。

吐水口を留める袋ナットも適当なサイズが無いのでカットします。

問題は曲げ加工をしなければいけないのですが、曲げ半径が小さく手持ちのチューブベンダーが使えないので、銅管に砂を詰めて、温めては少し曲げて、木づちでコンコン整形の繰り返し…。
画像が無いので何を言ってるか分からないですね!

そんなこんなで銅の手作り蛇口が出来ました!

今回同様のものを10個製作(とある大きな店舗用です)、他のタイプも作ったので家じゅう蛇口だらけで我が家は何屋さんか分からない状態に。とりあえずホームセンターをハシゴして庭用の蛇口は買い占めてきましたからね、今頃フランスの蛇口市場は混乱してるかも(笑)
途中、塩水につけて天日干しにしたり(料理みたい…)、緑青をふかせていい感じだったのですが、今回のオーダーではなかったので割愛。
またの機会にお見せしますね。

銅メッキは風合いがあるし鍵でもなんでも身近にあるもので出来るので、興味のある方はやってみてください。
コツさえ覚えれば結構簡単にできますよ。
ただ、メッキ廃液は環境汚染に繋がるのでそこらへんに捨てないようにしましょう。

(shirokane)

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