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(韓国語)連結語尾の多義論 【まとめに代えて】 #36

 これまで見てきたように、一つの連結語尾でも多様な意味を表します。一応の最後となる今回は、連結語尾の多義性について整理してみたいと思います。対象となる連結語尾は -(아/어)서, -니까, -더니, -고 に助詞 - 는 が付いた -고는 の4つです。極々おおまかな多義の関係を示すと以下のようになります。

 「連続/発見」はちょっと強引な括りではありますが、おおよそ日本語の「〜すると/したら…した」の「〜と」「〜たら」のように訳せる意味だと思ってください。確定条件と呼んだりもします。

-(아/어)서

 まず -(아/어)서、図だと赤で囲った部分です。この連結語尾は継起(〜てから)と原因を表します。

(1)【継起】
집에 가서 옷 좀 갈아입고 다시 나오려고요.
家に帰ってちょっと服を着替えてからまた出ようかと思いまして。

(그 해 우리는 ep. 12)〈再掲〉

(2)【原因】
형, 저요 전시 보러 갔는데 학생증이 없어서 할인 못 받았어요. 그래서 안 봤어요.
あの、ぼく展示を見に行ったんですけど、学生証がなくて割引してもらえなかったんです。それで見なかったんです。

(런 온 ep. 16)〈再掲〉

-니까

 次に -니까 ですが、これは図だと緑で囲った部分です。この連結語尾は理由を発見(「〜すると…だった」のように後に話し手が発見したことが続く)を表すのでした。

(3)【理由
송화: 수술 끝났어?
익준: 아, 끝났으니까 왔지 뭐 먹을까?
ソンファ :手術終わったの?
イクチュン:うん、終わったから来たんだよ。なに食べよっか?

(슬기로운 의사생활 ep. 9)〈再掲〉

(4)【発見
준희: 희수 쌤 인스타 보니까 어제 수플레 팬케이크집 갔던데 거기 맛있나?
희수: 네, 완전요. 3시에 퇴근해서 가니까 줄 하나도 안 섰어요‎. 준희 쌤도 꼭 가요, 꼭.
チュンヒ:ヒスさんのインスタ見たら昨日スフレパンケーキの店に行ってたけど、そこおいしい?
ヒス:はい、すごく。3時に退勤して行ったら全然並んでなかったです。チュンヒさんもぜひ行ってください、ぜひ!

(슬기로운 의사생활 ep. 2)〈再掲〉

-더니

 その次に -더니 です。図ではオレンジで囲った部分です。この連結語尾は発見と逆接を表します。

(5)【発見
단아: 그 집의 셰프가 바뀌더니 영 맛이 없어졌죠?
지현: 씁, 예‎
단아: 아, 나 맛없는 거 먹고 배부른 거 너무 짜증 나는데. 나 이러려고 돈 벌어요?
タナ:あのお店のシェフが変わったら全くおいしくなくなりましたよね?
チヒョン:ええ…
タナ:おいしくないもの食べてお腹いっぱいになるのすっごく嫌なんだけど。わたしってこんなことのためにお金稼いでるわけじゃないんだけど。

(런 온 ep. 1)〈再掲〉

(6)【逆接
불같은 연애? 그거, 그런 거 하나 소용없어‎. 아, 네 언니 봐라, 응?‎ 죽고 못 살 거처럼 굴더니 결혼한 지 1년도 안 돼서 이혼한 거.
熱愛?そんなの全く意味ないんだから。あなたのお姉さんを見てみなさいよ。死ぬほど好きだって言ってたのに(死ぬかのように振る舞っていたにのに)、結婚して1年も経たずに離婚したのを。

(기상청 사람들 ep. 9)〈再掲〉

-고는

 最後は -고는 です。図だと紫の点線で囲んだ部分です。これは連続した出来事と仮定、そして逆接を表します。(6) で -더니 が表す意味として逆接を挙げましたが、(9) の -고는 が表す逆接とはまたニュアンスが異なるということはわかってもらいたいと思います。あくまで連結語尾の意味の広がりと部分的な重なりをおおまかに把握するための解釈ということです。

(7)【連続
승아는 물을 마시고는 습관적으로 산이 보이는 창 쪽으로 간다.
スンアは水を飲むと、習慣的に山が見える窓の方に行く。

[5BE02011]〈再掲〉

(8)【仮定
꼭 하고 싶고 정말 하지 않고는 견딜 수 없는 일만 하면서 살고 싶어.
どうしてもしたくて、本当にしなかったら耐えられないことだけしながら生きたいんだ。

[BREO0329]〈再掲〉

(9)【逆接
영태는 저녁 7시까지 귀가하기로 약속하고는 9시 30분이 되어서야 귀가하기 일쑤였다.
ヨンテは夜7時までに帰宅すると約束しておいて、9時30分にならないと帰宅しないのが常だった。

[이 시대를 사는 따뜻한 부모들의 이야기 1]


 今回はこの連載のまとめとして、一部の連結語尾、あるいは「連結語尾 + 助詞」の組み合わせを取り上げ、その多義性について概観しました。

 さて、これまで6つの観点から連結語尾について解説してきたわけですが、#1 で挙げたように、連結語尾はまだまだありますし、助詞との組み合わせを考えれば、その数はさらに増えます。しかし、頻度の高いパターン、考え方として重要なパターンは取り上げてきたつもりなので、この連載で扱っていないパターンに出会っても対応できるものと信じます。
 6つの観点から連結語尾を解説した本連載はここで終わります。今後いつになるかわかりませんが、追加コラム的な感じで、いくつか補足の記事は書きたいと思っています。

 連結語尾を巡る旅は終わらない、まるでどんどんと繋がっていく連結語尾のように…


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