衝撃の『ボレロ』他 @ブルーノート東京、近況雑記

遅くなってしまいましたが、ブルーノートの歓びを備忘録として書き記しておきたいです。
1stを生で聴きに行けることになり、前回臥せていてブルーノート公演を体感出来ず悔しい思いが残っていたため、非常に嬉しかった。
その分期待値はめちゃくちゃに上がり、私のなかでも相当なものを観ないと(聴かないと)満足できないのでは…と思っていたけれど、予想以上の想像を上回る衝撃を受けてしまった。

フランチェスコ・トリスターノさんが、かてぃんさんの尊敬する素晴らしい音楽家で、色々なジャンルの音楽を様々な手法と柔軟な解釈で現代に新しく生み出している方という事は存じていたのですが、……すみません。
なかなか調子が安定せず、正直予習を怠っておりました。

正直なところまだ自発的なエネルギーが中々湧きづらい段階で。
コンサートから受けとる喜びや楽しさや感動のエネルギーは圧倒的で、本当にこの世に生きている事はこんなにも美しくて幸せで奇跡的だと毎回感謝する思いで一杯になる。
なのに、こころのバケツに溜まった幸福で前向きな思いが、バケツに空いた穴からどんどん零れ落ちていくような感覚もあって非常にもどかしいです…。

それはさておき。
下調べが足りなさすぎですが、ほぼこの生演奏が初めてのトリスターノさん!
贅沢すぎる!
ドキドキでした。どんな風に弾かれるのかな。音の出し方、タイミング、アレンジの仕方、ジャンル、テンポ、いろんな事が未知数でどきどきしました。

そして始まった二人の演奏。
いや~………もう何なんだろう。何を観て聴いているんだろうって位にすさまじかった。
新しくて自由でめちゃくちゃわくわくするし、かと思えば音が奇跡か魔法か魔術みたいに美しくてため息だらけになるし、一方思わずノリノリになって自分の身体が勝手に踊り出しちゃうし、と思ったら息をのむほどヒリヒリするし。。。
本当に夢の競演でした。お二方とも最高の持ち味をぶつけ合って、それが最高の形で昇華した、そんな一夜でした。

特筆したいのが『ボレロ』で。
もう沢山の色んなオケで聞いたことがあるこの曲の醍醐味といえば、同じリズムをずーっとキープしてて、その上でメロディーラインも2つのパターンしかなくてひたすら繰り返すけど、都度新しい楽器が「やぁぼくの番だね」という感じで登場しては、いろんな組み合わせのハーモニーを聴かせてくれて、だからこそ同じメロディーだけど違う味わいで全然飽きなくて。
それを味わううちどんどんオケが増えていって、最終的にはめっちゃ壮大な、象が出てきそうな程のビッグなスケール(独特な感性で意味不明ですみません…)の大合唱になって、最後の最後で、もう広げまくった大風呂敷が一瞬で巻き取られて収束する!!っていうのにめちゃくちゃカタルシスを個人的に感じるのですが。
(クラシックあまり詳しくないのでもし変な聞き方していたらすみません)

これを2台ピアノでやるとか、もういくらなんといっても無謀ではないか!と素人でもさすがに思うわけです。
だってメロディー2パターンでほぼ変わんないし、リズムも同じだし、曲の長さもあるしピアノ単体の音だったら、どんなに凄い2人でもさすがに途中同じ感じの繰り返しというか、ダレたりしちゃうのでは……?と不安に思った。

でも、完全に杞憂だった。
ボレロ。最高だった!!!!
天才と天才が織り成す奇跡としか言い様のない神の御業を、たしかにこの眼の前で目撃しました。
2台しかないのにもはやオーケストラだった。
音の数とかを増やしていくのはもちろん、微妙なほかの楽器の癖とかそんなのも拾っていて、あたかもピアノじゃない楽器を鳴らしているみたいな音で奏でるので、聴いていて全然飽きないし、音の組み合わせも2台ピアノだからこそできる組み合わせであったりして、本当に次々に仕掛けが出てくるような展開で、とにかく楽しかった!

オーケストラならあんな人数必要なのに、2人で2台ピアノでもう『ボレロ』できるならこの方がむしろ奇跡なのでは!?と本気で思いました。
最後の大合唱になるにつれてボルテージ上がっていくのもたまらなかったです。二人ともめっちゃかっこよかった……!!!
そして、最後一気に巻き取る!みたいな大団円の終わりを迎えたとき、私は大感動して興奮のあまり立ち上がってブラボーと絶叫したかったんだけど、初ブルーノートだったのでその作法が合ってるか、もしかしたら失礼や不作法になるやもと思ってぐっとこらえた。それくらい凄かった。

本当に素晴らしかった。奇跡の音楽を何曲も目の前で繰り広げられて聴いていても、最後の最後でもう一つ、さらに凄まじいものを見せてくださるんだなぁと圧巻でした。

あとこれは余談ですが、お二人の息が合いまくっていて相乗効果が壮絶に素晴らしかったのもあり、いやもうこの神業を生み出す根源は何なのだろうと、その一端だけでも知りたくて、フランチェスコ・トリスターノさんの手元や横顔、角野さんのトリスターノさんへの目線を見つめすぎるほど、穴が空くほど視ていたのですが。

私が知れたことは一つ。
お二人とも、どんな時もどんな表情も絵画かというくらいめちゃくちゃカッコいい!!!!という純然たる事実だけでした。
(私のレベルでは音楽的なヒントは何も掴みとれなかったです。残念、笑)

うーん。。凄いなぁ。
天才同士がかけ合わさると凄いものができるんだなぁということを心の底から感じて、何だかその演奏会の帰り道は世界がきらきらして見えました。

いつもは仕事を思い出して吐き気がしてしまう高層ビル群の明かりも、まだここに無いものを産み出そうと今まさに頑張っている天才たちが、才能たちが、一生懸命に挑んで灯している明かりなのかもしれない。
もしくは、才能なんかなくてもそんなの気にもせず、ただ自分の全力で前向きに頑張っている人たちが灯している努力の明かりなのかもしれない。
なんて思って、ここのところで初めてビルの明かりがきらきらと綺麗に見えました。

幸せで奇跡的なひとときと、どこまでも自由に羽ばたく心持ちと、前向きな明るい視野をくださったお二人の演奏に心からブラボー&感謝です。


ずいぶんとブルーノート公演の事を書くのが遅くなってしまったのですが、理由がありまして。
今日ダンスイベントに出場してきまして、最近はずっとダンス練習に追われていました。
病気で頭が働かないので、身体と頭がうまく連携しないし、振り覚えは悪いし、立ち位置覚えられないし……で、正直心折れかけたのですが、周りのサポートがあって何とか出られました。

自分の限界を知るのも大切だし、自分に過剰に負荷をかけるのは良くないけど、やっぱりそれでもどんなに細い糸でも好きなら諦めない事も大事だと思った。踊りきって、そう思いました。

もう12月ですね。
角野さんの韓国の公演も、そのあとのCD発売もあと少し。来年にはツアーもあるし。
好きを大切に。
今からまだまだ楽しみです!!


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