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コロナ禍入学地方大学生の実態ー20生へのれくいえむー

はじめに

本投稿はコロナ禍の2020年に筑波大学に入学した大学生の思い出とデータを書き留めておくものです。データは筆者が当時運営していたTwitter(現: X)のアカウントで行った投票から持ってきています。ほぼ新入生の800フォロワーに対して行いました。投票数はおおよそ100~200票で有効なデータだと思いますし、X社によって今後閲覧できなくなったらやだなぁと思って卒業前に整理して記事にしています。また、筑波大学の対応は主に当時個人が発信していたTwitterの情報アーカイブ化された筑波大学HPより取得しています。
入学当時の雰囲気を味わうために入学直前、春学期、秋学期で章立てし、時系列順に記述しています。

~ 2020/4*

19/12/31 中国当局が原因不明の肺炎発生を報告
20/1/15 神奈川県内にて日本で1例目となる感染
20/1/31 WHOが緊急事態を宣言。世界で感染者9,692人・死亡者213人
20/2/4 クルーズ船ダイヤモンド・プリンセス号に乗客の感染が確認
20/2/11 WHOが新型コロナウイルス感染症を「COVID-19」と命名 
20/2/25 国立大学前期試験
20/2/26 日本政府が今後2週間の大規模イベントの中止等を要請
20/2/27 日本政府が春休みまで、全国全ての小中高校などに休校要請
20/3/10 日本政府が「歴史的緊急事態」表明
20/3/11 WHOが新型コロナウイルス感染症のパンデミックを宣言
20/3/13 筑波大学が入学式の中止を決定
20/4/7 特別措置法に基づく緊急事態宣言を首都圏など7都府県に発出
20/4/16 緊急事態宣言の対象地域を5月6日まで全都道府県に拡大
20/5/4 緊急事態宣言の期間を5月31日までに延長
20/5/14 39県の緊急事態宣言解除を決定
20/5/25 緊急事態宣言の全国解除を決定

2020 春学期(4~9月)

4/17日付で出された大学による規制は以下の通りで、これは、5/15, 5/22, 6/19の告示まで引き継がれます。
授業:     オンライン授業のみとする
学生の入構:  学群学生・大学院生・非正規学生の入構を禁止する
課外活動:   全面的に活動を自粛する

アンケート調査によれば(5月)、つくばに居住しているのは25%程度で、バイトは15%, サークル等に所属しているのは10%程度でした。

また、コミュニティに属す人の少なさからか、大学内での友人がいない人は半数に上り(7月)、またパートナーも8割の人がいないと答えています(5月)。これは、通常の大学一年生とは大きくかけ離れているように感じます。

大学の対応は6/19に変更が行われ、以下の様に学生の入構が可能となりました。しかし、これらの変更は学生の交流が行われるには程遠いものでした。なお、既に決まっていたやどかり祭の中止に続き、7/30には雙峰祭の中止が宣言されます。
授業:     オンライン授業のみとする(変更なし)
学生の入構:  感染拡大防止に留意して通常通り入構できる。
        ただし不必要な入構は避ける。
課外活動:   団体での課外活動(小規模も含む)を自粛する。
        ただし、感染拡大防止を図りながら行う個人活動のみ可能。

コミュニティの希薄さに加え、5, 6月では講義における負担の大きさも学生を苦しめました。筑波大学では、前年度にオリンピック期間中は授業を行わず、代わりに計8回ほどの土曜授業を行うことを決定していました(なお、当時の学生の3/4が土曜授業に反対をしていました)。オンデマンド授業に慣れていない教員と学生はともに大きな負担となっていたと思われます。

2020年の学年歴

半数以上の学生が課題が多く、また休息が取れないと感じていたとアンケートはしめしています(5月)。

2020 秋学期(10~1月)

さて、8/7には秋学期からオンライン以外を使用するとの通知があり、9/1には以下の様に大学の方針に正式に改定が行われました。
授業:     感染拡大防止に最大限配慮しつつ対面授業を実施できる
        オンライン授業の併用も推奨する。
学生の入構:  変更なし
課外活動:   変更なし

もっとも、体育以外で秋学期に対面で行われた授業について、学生の半数が無かったと回答し、4コマ以上と答えた学生は1割以下でした(9月)。

秋学期開始の10/1になってからは課外活動が解禁されました。アンケート調査によれば(12月)、つくばに居住しているのは75%程度で、バイトは65%, サークル等に所属しているのは70%程度でした。これは5月時点のアンケートとほぼ逆転しており、多くの人たちがコミュニティに属し始めていることを示唆しています。

実際に、学生の7割が3人以上の同学類の友人を、5割が3人以上の異学類の友人を持つと回答しました(12月)。

以上の様に、2020年度秋学期には、ある程度の人間関係が出来上がったのだと考えられます。その一方で、友人を作りにくい環境であったことは間違いなく、友人を作れないことは大学での単位修得や生活習慣、精神状況にひどく悪影響を与えていたと感じます。交流が生まれない中では学生の助け合いが起きずに、人間関係が豊富な層と薄い層、よく授業内容を理解している層としていない層、精神的に充足している層としていない層でコミュニティが別れたように思いました。

最後に

本投稿は大学当局や国を責めるものではなく、大学に入学した新しい環境で、いつ終わるかもわからない自粛要請やらなんやらに苛まれていた時期があって狂いそうだったよねというただの備忘録です。きれいさっぱり忘れてしまうのもなと思ったので、ここに書き留めています。この文章が多少なりとも20生への鎮魂歌になればよいと思っています。

最後に、2年たって20生に入学式をやってほしいか聞いた結果を示して終わります。

2024/5/1 追記
全代会の後輩たちが企画してくれて、卒業式数週間前に入学式をやってもらいました。うれしいね。ちらっとぼくも取材に来たNHKにうつりました。一か月の間に入学式2回と卒業式1回を行いました。

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