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図面がないと耐震診断できないって本当?

おはようございます。今日は質問の回答です。

耐震診断とは、既存の住宅の耐震性を診断するものです。新築には不要です(欠陥などは除く)。主に1981年以前の旧耐震の建物を対象としています。旧耐震基準の建物は、その当時適法に建てられていたとしても、現在の基準を満たさないものが多く、危険とされています。ただ実際には現在の耐震基準を満たすものもありますので、その見極めという役割もあります。また新耐震になっても、新耐震基準を満たさない建物も多く、また金物やバランスの規定は2000年の改正建築基準法で定められているため1981年以降、2000年までは、心配であれば耐震診断をしたほうが良いでしょう。

さて、最近の質問で、耐震診断には図面が必要か?というのがありました。図面は建物の仕様を示している貴重な資料です。しかし古い建物を中心に図面通り施工されていなかったり、リフォームで現況が変わってしまっているものもあります。特に木造住宅では顕著です。国もそのあたりの事情はわかっていて、図面がなくても耐震診断ができる仕組みを作っています。もちろん精度は下がるかもしれませんが、現在のような決まった仕様などがない時代に、図面があっても正確な耐震性を求めるのは難しいですから、個人的には図面のありなしを差別することはありません。ただ正確な図面がない場合は図面を再生成する必要がありますので、そのぶん割高に価格設定はさせて頂いております。

ただし、木造以外は図面や構造計算書が必要だと思います。鉄筋コンクリート造は、コンクリート表面から配筋を推定することは難しいですし、基礎内部はお手上げです。鉄骨造も基礎はわかりません。構造図と構造計算書がないと、かなりざっくりした診断しかできないことになります。最低限、構造図か構造計算書があれば、それなりの精度を求めることができるのですが・・・。よって木造と異なり、鉄筋コンクリート造や鉄骨造の耐震診断は図面がないと、お断りすることが多いです。

また、木造の耐震診断の価格と、それ以外は大幅に異なります。それは調査内容が異なり、また外注で調査しなければならないことが多いからです。鉄骨造では超音波、コンクリート部分ではコア抜きや鉄筋探査、はつりなど費用と時間がかかるものが多いです。また補強金額も木造とは段違いに高いですし、事実上補強が不可能な場合も多いです。その事情を理解されていないのは、一般人だけでなく、建築士や施工会社の方も多くいらっしゃります。価格や納期を説明しても理解してくださらないことが多々あり、どうすればいいのか悩みます。特に設計・建設関係者には、そのあたりを理解のうえ、お客様対応していただければと思います。

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