小学生でもできる木造住宅の壁量計算 第4回 建物が風に負けないために
では、「建物が風に負けない強さ 」になるためには、どうすればよいでしょうか?
地震で大丈夫なのだから、台風でも大丈夫《だいじょうぶ》でしょう?と思うかもしれません。しかし、地震で壊れやすい形状と、台風等で壊れやすい形状は違い、基準も別別でなければなりません。
地震と同様、国が簡単に計算できる仕組みを定めています。地震の場合は、床面積が大きければ、必要な壁量が大きくなりました。風の場合は、どうでしょうか?風の場合は、横から見た建物の面積が重要になります。東西南北でみた場合、東西方向と南北方向の2種類の面があることに気がつきます。
例として、このような建物を想像してみてください。
南からみるとこんな感じです。
西からみるとこんな感じです。南北方向と東西方向では、見えている面積が違いますね?面積が大きいほど必要な壁量が大きくなるのはなんとなくわかると思います。理由は、風を受ける面積が大きいからです。
ここで注意が必要なのは、風に対抗する耐力壁にも方向があるということです。
上の建物では難しいので、前回の簡単な建物でやってみましょう。横幅3.6m、縦幅2.7mの長方形の建物です。壁はそれぞれ0.9m(90㎝)です。
前の章でも説明したこの簡単な部屋の横方向の茶色の耐力壁は、横から(左右から)の風に対抗します。北を図面の上とすると、左右は東西になります。
こちらは、上から(上下から)の風に対抗します。北を図面の上とすると、上下は南北方向になります。壁の量は地震のときと変わらないので、縦方向・横方向とも3.6mずつとなっています。
横からみた図です。これを立面図と呼びます。南北方向(縦方向)が左、東西方向(横方向)が右です。間違えないようにしましょう。
まず、風による影響を受ける部分を決めます。1階の床のたかさから1350mm(1.35m)のところに線を引きます。ここから上側が風の影響を受ける部分なのです。その面積を計算します。
わかりやすくするために、強調して表示してみました。では、面積を求めてみましょう。計算が面倒なのでmになおして計算してみます。1階の階高が3m(3000mm)なので、1.35mを引くと1階の残りの高さは1.65mとなります。
南側は、3.6m×(2m+1.650m)=13.14㎡
東側は、2.7m×1.65m+2.7m×2m÷2=7.155㎡
となります。つまりこの建物は、南北方向の風を受ける面が大きいので、南北方向に必要な壁量が多くなることがわかります。
では、どれだけの壁が必要か?は、ここで出した面積に50cm/㎡をかけて出す、と国が定めています。50㎝は0.5mなので
南側は、13.14㎡×0.5m/㎡=6.57m
東側は 7.155㎡×0.5m/㎡=3.5775m
必要ということになります。簡単ですね?では、この建物に存在する壁量をもう一度確認すると東西方向も南北方向も3.6mです。比べてみると
南側 実際にある壁量3.6m<必要な壁量6.57m・・・足りない
東側 実際にある壁量3.6m>必要な壁量3.5775m・・・足りている
というわけで、この建物は東西方向は足りているのに、南北方向は足りないことがわかります。このように、地震に関しては足りていても風に関して足りないことは、実際に多く発生します。なので、木造住宅の安全性を確認するためには、地震と風両方必ず検討する必要があるのです。
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