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ツーバイフォーの耐震診断の問題点 壁の評価

こんにちは。そういえば来年あたりに木造の耐震診断のマニュアルが改訂になるそうです。既存の耐震診断のルールをベースに改定するようです。さて、個人的に苦言を呈したいのは、ツーバイフォーの耐震診断。マニュアル表記が少ないのも問題で、どうもやる気が見られない。もちろんツーバイフォーの耐震診断の依頼は少ないです。1つには、ツーバイフォーは耐震性が高いという「勘違い」が広がっているからです。基準や守るべきものが少なければ、在来もツーバイフォーも関係ないのですが。

さて、現行のツーバイフォーの耐震診断のルールで一番困るのが、選べる壁・工法が少なすぎること。一般診断法で軸組は、ほとんど使われていないと思われる18㎜厚の筋かいのみ、面材は、構造用合板、構造用パネル、せっこうボードのみです。種類はこれだけでもいいのですが、それぞれが耐力壁仕様というのが悩ましいです。特にせっこうボードは、雑壁なのか、耐力壁なのか?普通の住宅の場合は区別があります。現行ルールだと、耐力壁以外のせっこうボードの参入が難しいのです。

精密診断になると、少しはマシになって、面材は、構造用合板の他に、パーティクルボード、硬質木片セメント、ハードボード、シージングボードと増えます。構造用合板も2級と1級、7.5mm厚と9mm厚と選べます。しかし肝心の雑壁の可能性があるせっこうボードには皆無なのです。これは、ツーバイフォーの雑壁が在来に比べても強度差が大きいからかもしれません。スタッドと梁や床根太との取り付け方法で、同じ雑壁でも強度が大幅に変わると思われるからかもしれません。

ほぼ、耐力壁の強度と壁配置のバランスのみでの診断です。壁量計算レベル・・・といったら言い過ぎでしょうか?

さすがにこれでは・・・という部分もありますし、調査方法も確立されていないので、ツーバイフォーの耐震診断に取り組む人が少ないのも仕方がありません。

ただ、ツーバイフォーの耐震診断を少なからずやってきた身として意見すると、告示レベルも守られていないツーバイフォーがたくさんあって、そのうちの一部は、非常に耐震性が低いことがわかっています。またツーバイフォーの建物を知識なしに在来的に施工して、建物強度を落としている物件も多く見かけました。よって、ツーバイフォーは耐震性が強いから・・・という理由で耐震診断をしないわけにはいかないのです。

現実的に、構造計算されたツーバイフォーでも、いろいろ設計に不備があって、振動が止まらず、壁にどんどんヒビが入っていく新築すぐの建物の相談もありました。最近の建物であっても、構造計算されていても、問題があることはあるのです。

というわけで、今後もツーバイフォーの耐震診断の研究を続けていこうと思っています。

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