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新築木造の壁量計算の変化 2025年改正を見据えて(3)

新築木造の壁量計算の変化 2025年改正を見据えて(1)
新築木造の壁量計算の変化 2025年改正を見据えて(2)

 2025年に壁量計算が改訂され、ZEH等の壁量基準案ができました。これは喜ばしいことですが、実は怖い部分も残っています。

 壁量が倍に増える場合、同じプランであれば、壁倍率を倍にすれば済むことになると感じる人も増えるはずです。今まで2.5倍の構造用合板で外壁を施工し、外部だけで耐力を確保していた人は、外壁を5倍にすれば、プランを変えなくて済む、と考えるかもしれません。

 しかしながら、この考えには大きな問題が出てきます。壁倍率の高い壁を使うと、他の部分にも負担が増えるからです。

 まず柱頭柱脚の金物です。2倍筋かいや2.5倍構造用合板では影響が少なかったのが、急に金物が増えます。それもホールダウンなどが。特に5倍でも、筋かいダブル+構造用合板などのように実質6.5倍などのものは、N値計算では5倍ではなく6.5倍で計算するためホールダウンなどが非常に大きくなってしまいます。その影響は基礎にも出てきて、アンカーボルトが大量に増えたり、通常のアンカーボルトでは施工できないケースがでてきます。

 また外周の耐力壁の倍率が高ければ、耐力壁の感覚も狭めにしないと危険です。通常必要壁量が増えれば、内部に筋かいなどを設けるので大きな影響はないのかもしれませんが、外周だけで確保できてしまった場合は、内部の床の強さが不足することがでてきます。構造計算をしていればわかることですが、していないで壁量計算だけでは気がつきにくいです。

 またそれに伴い外周部の継手の金物なども不足してくることがあります。高倍率の壁を活かすには、周囲にもきちんと配慮しなければならない事が多くあります。逆に考慮出来るからこそ構造計算では7倍相当の壁倍率が許されるのです。

 国には、壁量だけの変更ではなく、きちんとした講習会などを実施することを願います。そうでないとせっかく壁量が増えて安全になるのに、逆に危険になる可能性があるからです。設計者側も、そんなに遠い先の話ではないので、自分で準備をしていく必要があると思います。


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