前回ぜんかいまで、壁量計算へきりょうけいさんのやりかたを説明せつめいしました。ここからは、そのなかにでてくる用語ようごなどを解説かいせつしていきます。今回こんかいは耐力壁たいりょくかべです。

木造住宅もくぞうじゅうたくを地震じしんや風かぜに対抗たいこうするために入いれるのが耐力壁たいりょくかべと説明せつめいしました。では、耐力壁たいりょくかべとはどのような壁かべなのでしょう？

耐力壁たいりょくかべとは、建築物けんちくぶつが、地震じしんや風かぜなど横よこからの力《ちから》に抵抗ていこうする能力のうりょくをもつ壁かべで、強つよさは法令ほうれいで決きめられています。いくら強つよくても法令ほうれいできめられていないもの、強つよさがわからないものは、耐力壁たいりょくかべではありません。

まず、一般的いっぱんてきなものは、筋すじかいです。斜ななめ方向ほうこうに材料ざいりょうを入いれることによって建物たてものが倒たおれるのを防ふせぎます。

面材めんざいも、地震じしんに強つよくする耐力壁たいりょくかべの一種いっしゅです。構造用合板こうぞうようごうばん（規格化きかくかされたベニア）などがそうです。材料ざいりょうだけではだめで、きちんと規格化きかくかされた釘くぎで、規格通きかくどおりに打うちこむことで、初はじめて耐力壁たいりょくかべとして機能きのうします。現在主流げんざいしゅりゅうの耐力壁たいりょくかべとなります。

他ほかに、規格化きかくかした土壁つちかべなどもあります。古民家こみんかなどの土壁つちかべは規格化きかくかしていないので耐力壁たいりょくかべとはいえません。しかし、それなりの強度きょうどがあることがわかっております。

では、耐力壁たいりょくかべはどれくらいの力ちからなのでしょうか？

同おなじ耐力壁たいりょくかべでも強つよさが違ちがいます。その強つよさの単位たんいは～倍ばいです。０．１倍ばい～５倍ばいまであります。耐力壁たいりょくかべの強つよさは足たし算ざんできるものもあり、最大さいだいが５倍ばいとなります。

１倍ばいとはどれくらいの力ちからかというと、壁長かべながさ１ｍ当あたり、１．９６kN（キロニュートン）の水平荷重すいへいかじゅうに抵抗ていこうできることです。簡単かんたんにいうと、１ｍの壁かべで、１．９６ｋNの横よこからの力ちからで壊こわれないことです。ではｋN（キロニュートン）とは何なにか？国際単位系こくさいたんいけいの力ちからの単位たんいです。だいたい200kgで横よこから押おす力ちからに該当がいとうします。１倍ばいだと２００kgなので、一番強いちばんつよい５倍ばいでは１０００kgとなります。200kgだと大人おとな３人にんが一斉いっせいに押おしたくらいなので、１倍ばいの耐力壁たいりょくかべでも結構強けっこうつよいことがわかります。

では、耐力壁たいりょくかべが壊こわされるということはどういう状態じょうたいを指さすのでしょうか？１倍ばいの壁かべを横よこから200kgで押おした場合ばあい、ひし型ひしがたになり、いずれ倒たおれます。柱はしらが斜ななめになってきて倒たおれるイメージですが、その傾かたむきがある基準以上きじゅんいじょうになったときに「壊こわれる」こととしています。１／120rad（ラジアン）という基準きじゅんになっています。これは難むずかしい計算けいさんなのですが、

ラジアン＝角度かくど×円周率えんしゅうりつ÷１８０です。ラジアンは角度かくどの別べつの言いい方かたと考かんがえればいいでしょう。だいたい0.48度どくらいと、実じつはかなり小ちいさい変形へんけいです。３ｍの壁かべとして考かんがえると、だいたい25mmくらい傾かたむく・・・そんなイメージです。耐力壁たいりょくかべはそれだけ固かたくくゆがみが認みとめられないものということなのです。