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危険な木造の間取りの例(2)

第1回 北側玄関に多い例

第2回 2階建ての壁なしビルトインガレージ


第2回 2階建て壁なしビルトインガレージ

 今回は新耐震に多い、2階建てのビルトインガレージの例です。木造3階建てだと構造計算しているので、全面に1枚くらい壁があるものが多いのですが、2階建てだとその制約がなく、壁量計算もしない場合、このような間取りの建物が建つ場合があります。揺れますし大丈夫なのでしょうか?

 一応、玄関の通りの浴室に一箇所壁が作れそうですが、ガレージの部分には横方向の壁がまったくありません。こんなものあるの?と思う方もいるかもしれませんが、街を歩いていると、発見できることがあります。

 実はこのプラン、壁量計算すると成り立つことがあります。しかしバランスの検討(偏心率や4分割法)ではNGになります。つまりグレーゾーン時代(2000年の建築基準法改正まで)なら、「合法的」に建築することが可能な場合もあるのです(実際は難しいです)。

 壁量を満たしていても壁のバランスが悪いと倒壊しやすくなります。それは阪神大震災の被災の調査からわかったことです。なのでこのような建物はできるだけなくさなければなりません。今住んでいる建物がこのような建物だった場合、専門家に相談し、耐震診断をしたほうが良いでしょう。

 実際の補強方法は、方杖を使うことが一般的です。方杖だけだと柱が折れるので、一本柱を足して作ります。なので車庫が狭くなります。

方杖施工の例。柱一本分出っ張る

方杖の強度は、それほど高くないですが、ないよりはマシです。壁ゼロの状態からなら、それなりに強度がアップします。両サイドに作りますので、25㎝ほど狭くなります。

今回の事例のように広い場合は、門型フレームを入れ込むのも手です。両サイド240㎜ずつ出っ張りますが、相当強度がでます。

門型フレームで補強した例

実際の補強は、耐震診断をして、どれくらい強くするか?がわからないとできません。適当に強度の強い部材を入れれば解決するわけではありません。ビルトインガレージの建物といえども、強度はバラバラです。補強ポイントも異なります。今回の事例の場合、全面が3630と広いので、耐力壁を一枚入れるのがベストかと思います。

補強例。壁を全面に1枚入れている。入れる枚数等は、耐震診断を行って補強設計をして決めます。

 ビルトインガレージの建物の怖いところは、耐震性が低いだけでなく、倒壊する場合、建物前面の道路や隣家に向けて倒れることが多いことです。つまり、住んでいる人は逃げにくいうえ、道路を塞いでしまったり、隣家に迷惑を掛ける可能性が高いのです。中古で購入を考えている方は、せめて全面に壁ゼロの建物は避けるようにしましょう。



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