当会の考える『働き方改革』とは~小児医療を知ることで、働き方改革を~

当会の考える『働き方改革』とは~小児医療を知ることで、働き方改革を~
一般社団法人 知ろう小児医療守ろう子ども達の会
代表 阿真京子

〜13年目に入りました〜

2019年4月2日、当会は12周年を迎えました。
猪突猛進のイノシシ年で始めてから、ちょうど干支が一周したんだなと、長かったような、あっという間なような気がしています。

親御さん向けに150回を超す講座をして、
自治体に母子保健事業での実施の働きかけをして、
国や都の委員を複数務め、学会にもたくさん呼んでいただきました。
今年になってからは、タイの国際会議にも参加させていただきました。

たくさんの会員さんと、協力医の皆さんと、
そしてたくさんの会を応援・支援してくださる方々と、様々なご縁をいただいて、
「親になったら、誰でも当たり前に小児医療を知ることができるようになる」という、まだ実現していない夢に向かって進んできました。

〜働き方改革と小児医療講座〜

2019年に大きく進めていきたいことは、企業向けの講座です。
(これまでの活動も、もちろん、引き続き、精力的に行なっていきます!)

子どもが病気の度に、親が仕事を休まなければならないということは、仕事を続けるうえで、非常に困難なことだと言えます。

けれど、病気の子どもを見てくれる場所も少なく、
またそうした場所があったとして、
子どもが辛そうなときに、預けなければならないことも、
苦しい選択肢かもしれません。

「病気のときくらい一緒にいてやりたい、けれど休めない」そんな狭間で苦しむ親が大勢います。

会で実施したアンケートからも、それは見て取れました。

自由記載欄には、
「子どもに申し訳ない」、「職場に申し訳ない」、といった言葉が並び、親が、子どもと仕事の板ばさみ状態であることが伝わってきました。

〜なぜ、職場で小児医療を知ることが必要なのか?〜

企業向けの講座では、子育て世代の方々と管理職の、
双方を対象にしています。

まず、「いかに0歳の子どもが保育園を休むか」というデータを示します。
そして、体調をつかむ方法や、
体調の悪化を感じたときに無理をさせないことの大切さなどを、医師から伝えていただきます。

さらに、子どもの病気のことだけに留まらず、
「子どもが一体どんな存在なのか」
~便利で効率的な社会とは真逆の存在であること~
そして、自分自身の医療のとの関わり方についてなど、
幅広い知識を伝える場となっています。

管理職の方は、子育てに関わることの少なかった世代でもあり、我が子が病気をしてきたということを、ほとんど知らずに来た方も多くいます。

講座を受けた後は、皆さん一様に
「講座を受けるまで、小さな子どもがこんなに病気をするとは知らなかった」と、お話してくださいます。
また、「部下に最大限配慮してきたつもりだったが、的外れだった」という感想も聞かれました。

子育て中の人は、これまで
「なぜ、きみの子どもは、よく病気をするのか?なぜ、きみは休むのか?」
という上司の気持ちが、言葉にせずとも伝わってくるのを感じていた、といいます。
そんないたたまれなさを感じていた方が、
涙を流しながら講座を聞いていたこともあり、印象に残っています。

講座を企画した人事担当者の方からは、
「正直、管理職がこんなに聞いてくれるとは思わなかった。やはり、年代によっては医師が話すことで、説得力があるのだろう」
「お客様に子育て中の方が多くいるため、
仕事上で子育て中の人に配慮ができるようになり、役に立つ」といった感想をいただいています。

また、参加者全般からは
「医療について初めて触れた」という感想が聞かれました。

〜自身の病気、親の介護のときにこそ〜

子どもは小さい頃、たくさん病気をします。
そのため、親は仕事を休まなければならない日もあります。
そのことで悩んで、職場を離れる人も少なからずいます。

けれど、人生100年時代、
私たちは長く働くことが必要であり、
またさらにそれを求められる時代がやってきます。

親の介護が必要になったり、
働く人自身が病気にかかることも、今よりもますます増えていくことでしょう。

子育てに優しい職場は、
介護や自身の病気のときにも、優しい職場となることでしょう。
職場に理解があることで、長く働き続けることができます。
大変なときを乗り越えていく助け合いの仕組みを、
今こそ作るときだと思います。

ひとりひとり、様々な事情があります。
子育てに限らず、職場の仲間に助けてもらいたいときは、やってくることでしょう。

事情が違うからこそ、職場の人同士の対話が不可欠です。
「講座を受けて、知識を知って得て、おしまい」ではありません。

共通の知識を得るからこそ、対話ができます。
対話をもとに職場で相互理解を深めることで、毎日、長い時間を費やす職場で助け合い、支えあうことが可能となってくるのだと思います。

〜人を育むことは、たやすいことではない〜

「子どもが小さいうちは、頻繁に病気をして、親も休む」
と、繰り返し書きましたが、
人を育てるということは、子どもが小さいときだけのものではなく、そんなにたやすいことではありません。

小学生になっても、一人でお留守番ができるようになるには、時間がかかります。
中学生になっても、インフルエンザのときにずっと一人で家にいさせることは、心配ですし、危険でもあります。

もちろん、子どもの成長とともに、学校や地域など、
様々な方の力を借りていくことは大切ですが、
子どもがある程度成長しても、子育ての大変さが終わるというわけではないことを社会全体で理解する必要があるでしょう。

病気やケガといった目に見える問題も、目に見えない心の問題も、成長とともに変化していきながら、
それでも親や周囲のかかわりが大事なことに変わりはありません。
ですから、周囲の配慮が必要なのは、子どもが小さいうちだけ、ではないのです。

〜「ごめんなさい」より「ありがとう」を〜

仕事をしながら子育をしている方は、
「八方塞がり、綱渡り、必死…」そんな風に思っていることが多いですよね。

アンケートにもあった、「職場にも、子どもにも申し訳ない」という言葉。
本当に、読むだけで苦しくなってしまいます。

けれど、私たちが、次の時代を、次の時代の「当たり前」を作っています。
次の世代もずっと、「申し訳ない、申し訳ない」の板挟みでいいのでしょうか。

確かに、助けてもらうことは、当たり前のことではない。
でも、「ごめんなさい」ではなくて、
「ありがとう」と声をかけあい、
互いが困ったときに助け合うことができたらと思います。
そして、それは順番に巡ってくるものだと思っています。

最後に、この取り組みについて、テレビ番組での放送も予定しています。
お知らせできるタイミングがきたら、お知らせしますね。
皆さんに、私たちの小児医療を通じた働き方改革への取り組みについて、改めてご紹介できることを楽しみにしています。

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