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先発投手の白星の権利、規定を変更すべき理由とは⁉

 前回に続いて勝利投手の話!今回は「先発投手の白星の権利」についてです!

 前回の日記でも触れましたが、勝利投手の権利は「最後の勝ち越し機の前に投げていた投手」というのが基本原則ですよね!しかし先発投手の場合、それに加えて「5イニング以上投げている」というのがあります!

 公認野球規則には以下のように定められています!

先発投手は、次の投球回を完了しなければ勝利投手とはならない。

  1. 勝利チームの守備が6回以上の試合では5回。

  2. 勝利チームの守備が5回(6回未満)の試合では4回。

 つまり悪天候などによる5回コールドでない限り、先発投手は5回以上を投げないと勝利投手になれないわけです!

 この「先発投手が勝利投手の権利を得るためには、5イニング以上の投球が必要」という規則は、プロ野球ファンなら基本中の基本ですよね!

 もちろん私も知ってはいるのですが……

 でもね、私は思うのです……

先発投手の投球回数が5イニング未満でも、勝利投手になっていいんじゃないの~⁉

【現在の投手運用は?】
 はじめに「先発投手が勝利投手の権利を得るためには、5イニング以上の投球が必要」という規則は「先発投手は長いイニングを投げる」という前提があって設けられた規則ですよね!

 現在のプロ野球の投手起用は、まず先発投手が5イニング以上を投げ、残りは救援投手の継投で賄うのがオーソドックスです!先発投手は長いイニングを投げる分、5~6人のローテーションで起用されます!NPBの場合は中6日のローテーションで回し、先発投手は週1回投げるのが一般的ですよね!

 対して短いイニングを投げる救援投手陣は連日ベンチ入りし、連投や中1〜2日など先発投手陣より短い登板間隔で起用されます!

 先発投手はローテーション制で長いイニングを担当。救援投手は担当するイニングが少ない分、短い登板間隔で投げる。こうした先発と救援を役割分担させて起用する投手陣の「運用」が、プロ野球の長い歴史の中で「定石」として定着してきたわけです!

【新たな投手運用の出現!】
 しかし、長年に渡って定着してきた「先発投手は長いイニングを投げる」という前提とは異なった投手起用が、ここ数年で見られるようになってきました!「オープナー」という起用法です!ご存じの方も多いでしょう!

 「オープナー」とは先発投手が最初の1イニングのみを投げるもので、2回以降は本来の先発投手が2番手として登板してロングリリーフするものです!

 一般的に先発投手は長いイニングを投げるため、ある程度ペース配分しながら投げる必要があります。対して救援投手は受け持つイニングが短いので、全力投球に近いかたちで速球をドンドン投げ込みます!

 そこで発想の転換です!

 どのみち終盤に救援投手を使うのなら、確実に上位打線が回ってくる初回に救援投手をぶつけてしまおう!最も警戒すべき上位打線を抑え込むために、初回を救援投手の全力投球で抑え込んでしまおう!というアイデアから生まれたのがオープナーなのです!

【発祥はMLB】
 オープナーを最初に導入したのは2018年、MLBのタンパベイ・レイズでした!MLB通算137セーブ204ホールドで救援を本職とする右腕セルジオ・ロモ投手が、同年5月19日にMLB初先発。初回を無失点に抑えると、2回以降は本来の先発である左腕ライアン・ヤーブロー投手にバトンタッチし勝利を収めました!

 レイズは以降もロモ投手を含め複数の救援投手をオープナーとして初回に起用。勝利につながる効果が見られたため、ドジャースやアスレチックスなど他球団も採用するようになったのです!

 日本では翌2019年に日本ハムがオープナーに近い戦術を導入しました!当時の栗山英樹監督が先発の加藤貴之投手堀瑞希投手らを2イニング前後で交代させ、後続にスイッチする「ショートスターター」を採用しています!

 こうした従来の定石にとらわれない「オープナー」や「ショートスターター」の出現は、柔軟な発想から投手運用が進化を遂げる可能性を十分に秘めていると思われます!

【先発勝利の条件への影響】
 今後「オープナー」や「ショートスターター」が一般的になってくると、問題となってくるのは「先発投手の勝利の条件」です!前述のとおり現行は5イニング以上の投球が条件となっていますが、オープナーやショートスターターは5イニングも投げることを想定していません。

 1イニング程度で交代予定のオープナーや、2~3イニングを目処とするショートスターターは、言わば最初から「君はどんなに好投しても勝利投手にはなれないよ」と宣告されている状況下で投げなければならないようなものです。

 それだけではありません。オープナーやショートスターターは中継ぎではないため、ホールドが記録されることもありません。試合の最後を締めくくるわけでもないので、セーブが付くこともありません。最初から白星もホールドもセーブも、何も記録されないことが分かっている前提で登板しなければいけないわけです。

 それはオープナーやショートスターターを務める投手のモチベーションにも影響するのではないでしょうか?

【先発勝利の条件を変えよう!】
 オープナーやショートスターターといった投手起用が現れた以上、もはや「先発投手は5イニング以上投げないと勝利投手の資格を得られない」という条件は成り立たなくなってきます。いずれは見直すべき問題かと思います。

 では、オープナーやショートスターターが好投した場合にも勝利投手の資格を得られるようにするためには、いったいどうしたら良いでしょうか?勝利投手の資格をどのように改定していけば、好投したオープナーやショートスターターにも白星を付与できるようになるでしょうか?

 そこで!私が前回の日記で提言した……

登板した投手の中で「投球イニング-失点が最も大きい投手」に勝利投手を付与する!

 これを採用すれば問題は解決されるのではないでしょうか!

【例❶2019.7.15ソフトバンクvs日本ハム】
 まずは例として、2019年7月15日のソフトバンクvs日本ハム戦を取り上げます!日本ハムが5投手の継投で勝った試合です!

日本ハム400 010 000=5
ソフト 000 100 000=1

日本ハムの継投は
   堀  3回 失点0
○ロドリゲス3回 失点1
 石 川 直1回 失点0
 宮   西1回 失点0
 秋   吉1回 失点0

 この試合、日本ハムは初回のリードを最後まで守り切っています。つまり、先発の堀投手が投げている間に決勝点を挙げている状況です。しかしショートスターターの堀投手は3イニングで交代したため「先発投手は5イニング以上を投げる」という勝利投手の条件を満たしておらず、白星が付きませんでした。実際の勝利投手は2番手のブライアン・ロドリゲス投手に付与されています。

 しかし、両者の投球内容を比べてみてください!堀投手は3回無失点、対してロドリゲス投手は3回1失点。どう見ても堀投手の方が内容は良いですよね!「先発投手は5イニング以上を投げる」という条件がなければ、堀投手が勝利投手でもおかしくないはずです!

 そこで、私が提案する「登板した投手の中で投球イニング-失点が最も大きい投手を勝利投手とする」を当てはめてみますと~⁉

  堀  3回-失点0=3
ロドリゲス3回-失点1=2
石 川 直1回-失点0=1
宮   西1回-失点0=1
秋   吉1回-失点0=1

 ご覧の通り、「投球イニング-失点」が最も大きいのは堀投手になります!この条件で勝利投手を決めれば、貢献度が最も大きい堀投手に白星を付けてあげることができるのではないでしょうか!

【例❷2019.9.12日本ハムvs楽天】
 もう1例挙げましょう!同じく2019年の9月12日、日本ハムvs楽天戦。日本ハムが7投手の小刻みな継投で勝利した試合です!

楽  天010 100 000=2
日本ハム202 000 00x=4

日本ハムの継投は
 北 浦3回 失点1
H玉 井1回 失点1
○西 村1回 失点0
H公 文1回 失点0
H宮 西1回 失点0
H石川直1回 失点0
S秋 吉1回 失点0

 日本ハムは初回のリードを守り切り、以降は逆転を許すことなく逃げ切り勝ち!先発の北浦竜次投手が投げている間に決勝点を挙げています!しかしショートスターターで3回降板した北浦投手は5イニングを投げていないため白星が付かず。白星は3番手の西村天裕投手に付与されました。

 ではこの試合にも、私が提案する「登板した投手の中で投球イニング-失点が最も大きい投手を勝利投手とする」を当てはめてみましょう!

北 浦3回-失点1=2
玉 井1回-失点1=0
西 村1回-失点0=1
公 文1回-失点0=1
宮 西1回-失点0=1
石川直1回-失点0=1
秋 吉1回-失点0=1

ご覧の通り、「投球イニング-失点」が最も大きいのは先発の北浦投手になります!この法則ならショートスターターで好投した北浦投手に白星を付けることができます!

 オープナーだって、ショートスターターだって、他の投手よりも投球内容が良い時には白星を付与できるようにした方がいいじゃないですか~!白星を付けてもらえる可能性がゼロのまま登板するより、きっとモチベーションも上がると思いますよ~!

野球の進化に応じて、規定もアップデートされていくべきでしょう!

と、素人ジョシは思うのでした!


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