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ファンと一緒にブランドを育てるSNSマーケティング実践法⑦(全文無料公開)

SNSマーケティングの成功事例

ファンとの関係を深めることで さらなるファンの拡大と売上につなげられる

◆ファンを獲得できれば、情報提供するだけで 自主的に盛り上がってくれる

『宝塚歌劇団』と聞いて、皆さんはどんなイメージを持たれているでしょうか。

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私は前職で、宝塚歌劇団のFacebookページの立ち上げに少し関わっていたので、ゲネプロ(最終リハーサル、通し稽古)を見学させてもらったことがあります。
そこで初めて宝塚の舞台を見ました。宝塚に「豪華絢爛」というイメージを抱いている方が多いと思いますが、まさにそのとおり。華やかで、熱量がすごく高い。

そして熱烈なファンがたくさんいるのも大きな特徴です。
しかし、2012年頃には集客数の下落が課題となっていました。

熱烈なファンは何度も会場に足を運びますが、新規や単発のお客様がなかなか来てくれない

以前のように行列ができることはなく、空席も見られるようになっていました。 
ネット掲示板では、「〇〇組の△△さんはすごくいいよね」とか「□□の初日舞台を観に行った」など、宝塚の話題ですごく盛り上がっているのですが、それが集客増加につながっていない

そんな課題の改善にSNSを活用しようと、専用アカウントを立ち上げたのです。
宝塚歌劇団のFacebookページは、2020年5月現在約19万人のフォロワーがいます。

基本的に情報発信をするのみで、コミュニケーションはとっていません。

それでも投稿をすると、多くの人にシェアされ、コメントもたくさんつきます。

「〇〇さんと△△さんのコンビが新鮮で美しい」
「難しい一幕ものだと思っていたら終始笑える喜劇で、とっても楽しかった」
「人と人との出会い、触れ合い、優しさ。こういう心温まる作品が観たかったんです」
「男役の〇〇さん、新しい時代を見せてくれそうな期待が満載で好きになりました」

投稿されたコメントに対して宝塚歌劇団側はレスポンスをしないのですが、ファン同士の間では活発なコミュニケーションが生まれています。

「この演目の〇〇組の△△さんの、このシーンのこの台詞が一番の見どころ」
――そんなコメントも書かれているので、

「その演目はまだ観ていない。ぜひ観に行きたい!」

と、ファンのリピート率アップにつながるでしょう。

また、宝塚に興味はあるけれど観劇したことはない…という人がここを見れば「なるほど、こういう風に楽しむのね」ということが分かります。

何より、ファンたちの「よかった!」というコメントを目にするうちに「行ってみたい!」というモチベーションが高まります。
このように、「ファン」を獲得すると、一方的な情報発信のみだけでも、それを受け取ったファンたちが自主的に盛り上がってくれて、さらにファンではない人たちも呼び込んでくれるというわけです。

では、どのようにファンを増やしていくか、事例を踏まえてご紹介します。

◆【成功事例― 1 】

店舗スタッフが個人アカウントを持って お店情報に加え、プライベート情報も発信

全国に200店舗を展開するフラワーショップチェーン『日比谷花壇』。

店舗スタッフに個人アカウントを持ってもらい、「日比谷花壇のPRをどんどん発信してください」という取り組みを行っています。

個人アカウントなので、お花の情報だけでなく、プライベートの話題もどんどん発信して「自分らしさを出していってください」という方針。

例えば、お花とまったく関係なく
「友達とランチした」
「旅行に行った」という投稿もOKです。

その狙いは、読者の皆さんに、より親近感を抱いてもらうため。「フラワー」は、特別なイベントのときにしか縁がないという人が多いでしょう。

しかし、自分に近い感覚を持った人がお花の情報を発信することで、より身近なものとして受け入れてもらいやすくなることを目指しているわけです。

また、スタッフさんも会社の看板を背負いつつ、自分自身も発信していくことで、モチベーションアップにもつながるようです。
こうした取り組みは、例えば美容業界などでも効果的なのではないかと思います。
美容師さん一人ひとりにファンがつくことで、美容室への集客にもつなげられると考えられます。

◆【成功事例― 2 】

ユーザーに企業側からアプローチし、 コミュニケーションを通じてコアファンを醸成

ハンドクリームで知られるユースキン製薬株式会社。

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オレンジ色のパッケージの商品は、ひび・あかぎれ・しもやけに対処する『ユースキンAシリーズ』で、最もポピュラー。

昔ながらのハンドクリームというイメージがあるかもしれませんが、実は若い世代からも厚く支持されています。

確かな商品力はもちろんのこと、地道な「ファン創り」が功を奏しているのです。

「ファン創り」というと、ブランド側から質の高いコンテンツを定期的に発信し、インフルエンサーのような立ち位置でフォロワーが増えていく構図が想像しやすいかもしれません。
もちろん、公式アカウントを開設した以上、発信は欠かせません。

しかしユースキン製薬では、オピニオンリーダーのように一方向的に発信するのではなく、SNSを「ユーザーと親密なコミュニケーションをとるための場」と捉えています
では、ユースキンブランドはどのようにユーザーとコミュニケーションをとっているのでしょうか。
インスタグラムで「#ユースキン」と検索すると、2020年5月現在、10,000件を超える投稿が確認できます。

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◆普段使っているブランドからフォローされたらうれしい

このハッシュタグ検索により、ユーザーの商品に対する反応を確認するだけでなく、投稿によってはコメントを残します。

クチコミを信じて購入してくださったお客様に感謝を伝えたり
オススメの使い方を伝授したり
ときには会話に入っていってツッコミを入れたりと、
カタくなりすぎないトーンで話しかけます。

例えば、唇の荒れに関して 2 人の女性の会話がインスタグラム上でこんなやりとりをしていました。


「友達のオススメで買ったユースキンリップケア。唇が割れて血が出てたのにホントに一発で治った♪」

その投稿に対し、その友人が

「まてまて、あたしが教えたのこれじゃねえよww」

――と思わぬ展開に。 
そこにユースキン公式アカウントが切り込みます。

「思わずコメントしてしまいました f^_^;)何はともあれ、唇割れ良くなってよかったです!」

すると女性は、

「わお!ありがとうございます笑」
――と、少し驚いている様子。

このように、公式アカウントからのコメントはまだ一般的ではないため、コメントやフォローといった行為自体にインパクトがあるので、ネタにしてもらえることが増えます。
ツイッターでは、ユースキンがフォローした人たちからのこんなツイートが見られます。

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「ユースキンにフォローされたwwかわいいw」
「ユースキンのリップのこと呟いたら公式さんがフォローしてくれたwwお世話になってます( ^q^ )」


普段使っているブランドからフォローされたりコメントされたりすると、嫌な気はしないですよね。

「ユースキンさんがわざわざリプをくれた上にフォローまでしてくれて、今年も断然ユースキンにする !!」
また、あるときはこんなツイートがありました。

「あーカミソリ負けってやつか。オロナインかユースキン買わな……」
 
それに対して公式アカウントがフォローしたところ、その 3 時間後には、

「ユースキンかオロナイン買おうとしたけど、ユースキンからフォロー来たんでユースキン買いますね」

まさに、ユーザーとコミュニケーションをとることによる理想的な形がこれです。

直接的な言い方ですが、ファン創りの目的は、フォロワーを増やすことではなく、リピーターを増やし売上を伸ばすこと。

SNSを始めるとフォロワーを増やすことが目先の目標になりがちですが、その先の目的を忘れてはいけません。

ユースキンはSNSを通して、コミュニケーションをとるべき「コアファン」の潜在層を開拓しているのです。

◆ユースキン認定コアファンが「インフルエンサー」になる

ブランドの知名度を上げるための手法として、昨今は「インフルエンサーマーケティング」が流行しています。

多くの人に影響力を持つ人=「インフルエンサー」の知名度にあやかり、商品を紹介してもらうものです。

この手法では一般的に、インフルエンサーに報酬をお支払いして商品を紹介してもらいます。

ですが、普段から使用しているものではない場合や、そのインフルエンサ
ーが持つ世界観からズレていた場合、宣伝臭が出てしまうことから、インフルエンサー側もユーザー側も取り扱いについてナーバスになっている側面があります。

ユースキンでも、何人かの有名人がSNSに投稿してくださったコンテンツが広まり、彼ら彼女らの影響力の大きさを実感する出来事がありました。しかし、ユースキンが相手にお金をお支払いしていたかというと、そうではありません。

もともとユースキンを愛用してくれていた方々でした。

まずは、SKE48の松村香織さん

2015年の総選挙で13位を獲得し、「かおたん」の愛称で知られています。

何年もユースキンを愛用しているらしいかおたんのもとに、彼女のファンからこのようなツイートが届きます。

「かおたんが前に紹介してたユースキンをね、ずっと使ってたら肌荒れが治ったよ!すごく嬉しかったのでお礼を言いたかったの!ありがとう!」

これに対し、

「本当に ?! それは良かった♡みんなも使ってみてね。わたしもユースキンは何年も愛用してるから ^ ^# ユースキン # ユースキンLFF」

――と、かおたんはリプライを送っています。
(現代のアイドルは、ファンの方々にきちんと反応するのですね)。


「#ユースキンLFF」とは「LookForFan」の略で、ユースキン愛用者
とコミュニケーションをとるためのハッシュタグです。こちらからお願いしたわけでもないのに、コアファンでなければ知らないであろうそのハッシュタグまで、見事につけてくれていました。

それに対してユースキン側からすかさず返信。

「ご利用いただいているだけでなく、ご紹介までしていただき、いつもいつもありがとうございます(*^_^*)ユースキン認定コアファンになってください♪」

すると、SKEまとめサイトやAKB48最速ニュースに『SKE48松村香織が
ユースキン認定コアファンに !? 』という記事が乱立。


かおたんファンだけでなく、AKBグループのファンに広く知られるきっかけになりました。

これだけでも、商品のマーケティング担当にとっては願ってもない出来事だと思いますが、かおたんパワーはこれだけでは終わりませんでした。

さらに商品を提供したいという旨のDMを送ると、事業担当者とつながることができ、かおたんだけでなく、他のメンバーにも商品を届けることができました。 
その半月後、ライブ配信サービス「SHOWROOM」で、ユースキンが提供したポンプ式の商品を片手に、長年愛用していると紹介してくれたのです。
かおたんは、ファンとの距離が近いアイドルでもあり、同年代の女性ファンのみならず、普段ハンドクリームを使わない男性ファンまで、SHOWROOMを視聴したファンの皆さんが次々と購入につながりました。

ツイッターには「かおたんオタさんのユースキン購入率高過ぎスゴイ」といった投稿も。

もちろんこれに対しても

「社内、嬉しい悲鳴です(*^_^*)」

とユースキン公式アカウントから返信をしています。 

これはステルスマーケティングのようなやり方では、起こりえなかった現象でしょう。

松村香織さんが一消費者として実際に商品を愛用していたから、信ぴょう性のある形でファンに商品の愛着が伝わり、周囲も購入に至ったのです。

芸能人はイメージが大切と言われますが、同じくらい信用が生命線。

数年前にも芸能人によるステマが問題視されたことがありましたが、自分が使ったことのない商品をあたかも愛用品のように紹介するのは、このご時世、すでに消費者もシビアになっており、リスクが大きい。

「騙された」とファンに受け取られ、信用を失いかねません。インフルエンサーも自分の信用をかけて発信をしているのです。


続いては、プロスポーツ選手の事例です。
2016年、当時プロバスケットボールチーム「京都ハンナリーズ」で活躍していた佐藤託矢選手が、ユースキンを使用しているとの情報が入りました。
情報源はまたしてもツイッターです。

佐藤選手が試合の合間にユースキンを使用している様子の動画をファンの方がSNSに投稿したのです。

季節は夏。

夏にハンドクリームを使っているなんて、コアファン以外の何者でもありません。 
そこで佐藤選手にコンタクトをとったところ、期待通り

「家にはポンプ式があるし、カバンにはいつもユースキンを持ち歩いています」

との嬉しいお言葉。SKE48の松村さんと同様、送付先を聞き、商品をご提供しました。すると送付した商品一式をSNSで紹介してくださったのです。
この投稿には、いつもより多いリプライ、リツイート、「いいね!」が付きました。


以来、佐藤選手のファンの方々の間で、色紙ではなくユースキンのフタにサインをしてもらうことが流行っているそうです。そして、佐藤選手の投稿により、ファンの方々がユースキンに興味を抱くようなコメントが多く付き、実売にもつながったのです。

◆「ファンボード」を設置し、ファンの盛り上がりを促進

ファンをコアファンに。コアファンが増えれば、新たな潜在顧客層開拓のための、強力な助っ人となります。

自分の好きなものやこだわりは、人に話したくなるもの。

コアファンが周囲に推奨してくれることにより、おのずとファンが増え、売上が増えるのです。

ユースキンでは、ファンをコアファンに育てあげる過程において、「(コ
ア)ファンと共に創り上げる」
ことを意識しています。

コンテンツ作りに、ファンの皆さんにも一役買ってもらっているのです。
その取り組みの一つが、ユースキンのホームページのコンテンツ「ユースキン公式ファンボード」です。
これは、「#ユースキン」や「#ユースキン L F F 」というハッシュタグと共にアップされたインスタグラム・ツイッターの投稿を自動で抽出し、内容を確認後ファンボードへ掲載するというものです。写真だけでなく、アカウント名やテキストも一緒に公開されるため、公開でシェアしているユーザーにとっては、SNSのプラットフォームを越えて多くの人に見てもらえるメリットもあります。


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またファンボードは、自分たちの商品が誰に使われているか、どのように評価されているかが可視化されていることで、社員のモチベーションアップという副次的な作用もあります。
ファンの投稿を連日チェックするようになり、あるときインスタグラムで美容ブロガーのKyonさんを発見します。

Kyonさんは、30代女性で2人の子どもを育てながら会社に勤務し、プライベートで美容に関する情報を発信している方です。

特にコスメに詳しく、眺めているだけでは分からない肌の上での発色具合や使用感を細かく発信しています。 
コンタクトを取る前も、何度もユースキンの商品を紹介してくれていたのですが、ある日「ユースキンAの日中の使い方」という動画を投稿しているのを発見。しかもテロップまでつけてくれていました。
実はこの頃、同じようにユースキンの塗り方を動画で公式ホームページに掲載しようという案が出ていました。しかし、動画コンテンツは制作会社に依頼をすると数十万円という大きな費用がかかってしまいます。


その点、Kyonさんの動画を活用させていただければ、そのコストをかけずに済みます。

何より、クオリティ面でもKyonさんの動画は優れたものでした。それにプロが作る完璧な動画より、リアルな消費者が作る「手作り感」のある動画の方が、ユーザーも親近感が湧くのではないかと期待できました。
すぐさま、 Kyonさんに動画を使わせていただきたい旨をダイレクトメッセージ。

Kyonさんからは即座に快諾のお返事をいただきました。 
しかし、公式ホームページに掲載するためにはいくつかの微調整が必要でした。


まず、Kyonさんは動画撮影に「VideoSmith」というアプリを使ってい
たため、ムービーの右下に常時ロゴが表示されている状態でした。これを消すためには、VideoSmithの有料版にアップグレードする必要があったのです。

そこでユースキン側は、有料版の負担をお願いできないか交渉し、ユースキン製品をお送りしたい旨を申し出ました。

また、オリジナルの動画には音声が入っていたのですが、音声の消去も合わせてお願いをしました。 
動画使用にあたり、ファンの方の厚意にずいぶん甘え、手間のかかる作業を次々とお願いしてしまったなと反省するところがあります。


しかしKyonさんは嫌な顔ひとつせず、動画制作に協力してくれただけでなく、お礼で送った商品まで紹介してくださいました。

今では、公式ホームページでKyonさんのアカウント名と共に動画を掲載しています。

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ここまでくると、もはやKyonさんはユースキン製薬の社員のようなもの。

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ブランドと消費者の距離感を「縮める」どころか、一緒にコンテンツを作ることによって、「一体化」した事例です。

この共同作業を経ると、その人にとってもユースキンは特別な存在となり、おそらくもう他社製品には乗り換えることはないでしょう。
ファンをコアファンに育てる過程には、大切な「絆」があります。その絆は自然と生まれるだけでなく、ブランド側からの働きかけにより創り出すこともできるのです。

◆ユーザーコンテンツはリアルで二次利用できる

ファンボードなどに集まったコンテンツは、リアルで二次利用することも可能です。
ユースキン製薬では、自社ギャラリーに投稿画像を掲示しています。ネット上だけでなく、リアルの世界を往来する人たちにも目に留まるようにしています。

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◆長年の強力なファンを作れば次世代まで商品が生き残る

私は、ユースキン製薬のこうした取り組みを支援しています。

社員の一人になったつもりで、そしてファン代表として、ユースキンを使用したり語ったりしています。
おかげで塗り込みの一回の分量はどれくらいがオススメだとか、成分には何が含まれているか、今では空で言うことができます。
すると、私のリアルなネットワーク内にも影響が広がりました。なぜか、周囲もユースキンを使い始めるのです。

私は6歳と8歳の2人の娘の父親ですが、ある日、子どもが転んで擦り傷ができたときに「ユースキンどこ?」と探し始めました。

子どもだから、親が使っているユースキンしか選択肢がないということもあるかもしれませんが、それでも私が嫌々使っていたら、子どもたちは真似しないだろうと思います。
幼いころの記憶や身に付いた習慣は強力に残るものです。

きっと彼女たちも、大人になってもユースキンは身近な存在であり続けるし、子どもができたら子どもにもユースキンを使うことでしょう。
これからの時代、やみくもに広告を打つのではなく、長年の強力なファンで、周囲にも宣伝してくれるようなユーザーを増やすことを考えていったほうが、企業のマーケティングコストは抑えられます。

そうして節約できた分のコストを商品開発や人材の採用・育成に回していけば、よりよい商品を生み出せるし、サービスの向上を図れると思います。


「ワクワクする時間」を提供することが 企業への印象アップ、ファン獲得につながる

「#やさいドレス」というハッシュタグを見かけたことがある方もいらっしゃるかもしれません。

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これは、有機野菜の宅配サービスを行うオイシックスが2017年の夏に行ったキャンペーンです。

撮影者が野菜を持ち、その野菜を被写体が着ているかのように、遠近法を駆使して撮影。

「#やさいドレス」とハッシュタグをつけてツイッターやインスタグラムに投稿すると、旬のお野菜セットが当たるというフォトコンテストです。
テレビなどでも取り上げられ、ママさん世代の間でちょっとしたブームを巻き起こしました。

これがまた「インスタ映え」するのです。例えば、ブロッコリーやチンゲンサイは逆さにすると裾が華やかに広がるカクテルドレスのように見え、ナスやズッキーニはふわっとしたバルーンスカートのように見えます。玉ねぎの一部を切り抜いておかっぱ頭に見立てたり、プチトマトを 3 つ並べてアンパンマンのように頬に添えたりする投稿者もいました。
モデルとなったのは、ほとんどが赤ちゃんや子ども。

可愛らしくて遊び心のある投稿に、周囲の「いいね!」もはずみます。ハッシュタグからの流入も多かったのか、例えばフォロワー数が147人の方でも 67 の「いいね!」がついています。

通常の投稿は、フォロワー数に対して 1 〜 2 割の「いいね!」がつくことが多いのですが、フォロワー数に対して約半数もの「いいね!」がつくのは、周囲にかなり好意的に見られたということができるでしょう。

◆絶妙な「ハードルの高さ」が参加者心理をくすぐる

これは「投稿すると賞品があたる」という類のキャンペーンでしたが、投稿者たちは賞品となる「旬のお野菜セット」を目当てにやっていたわけではないと思います。
キャンペーンのノウハウは、一般的に 3 つ挙げられます。

①企画の面白さ
②ハードルの高さ
③インセンティブ

です。

そのうち、「#やさいドレス」は企画の面白さとハードルの高さというポイントが上手く作用した例なのではないかと思います。
企画の面白さはそのままなのでわかりやすいですが、「ハードルの高さ」とはなにか。

それは、ちょっとしたひと手間で得られる特別感なのではないか、と。今回の場合は、野菜をドレスの形に切る手間と、遠近法を使って撮影をする手間です。

もちろん、時間や経費がかかりすぎるようなハードルはNGですが、「ちょっとひと手間」くらいの高すぎないハードルはユーザーの心理にうまく作用します。

インスタグラムで他の人の日常を気軽に知ることができる時代ですから、「皆とはちょっと違うことがしたい」という欲求が少なからずあると思います。

ハードルの低すぎる、誰にでもできるキャンペーンでは、この特別感が失われてしまいます。
そして「インセンティブ」というのは、つまり賞品のこと。

これをやったら、どんなバックがあるのかという、言わば「ニンジン作戦」です。

キャンペーンの手法として最も多いのがこれ。

しかし、「インセンティブを何にするか」は企画する側がきちんと戦略的に考えなければなりません。

例えば、インセンティブをギフト券にした場合、対象者の裾野は広がります。

一方で、ギフト券とブランドとはほとんど関係がないですよね。

誰でも欲しがる賞品にすることで数を集めることはできますが、一時的に投稿数やフォロワー数が増えたとしても、ブランドのターゲットに合致していないユーザーは結局離脱していくのです。
 
オイシックスの場合、メインターゲットは主婦層。

SNSを活発に使う層ですから、赤ちゃんや小さなお子さんがいるママさんたちがターゲットになっているのではないかと予測します。

「#やさいドレス」は前提としてインセンティブをフックにしたものではありませんでしたが、仮に賞品を考えるとしたら、そのキャンペーンのメインターゲットが欲しがりそうなもの、逆にいうと、それ以外の層の人たちはあまり欲しがらないものを選ぶと良いと思います。

若いママさんたちが欲しがりそうな、例えばオシャレな電動自転車や、離乳食が作れるフードプロセッサーといったところでしょうか。

「#やさいドレス」の素晴らしさは、アイデアを考えたり写真を撮ったりする時間が、きっと本人たちにとってものすごく楽しい時間だったんだろうなと思えることです。

家庭の雰囲気の良さが見え隠れした、ポジティブな空気が前面に出ている。参加した方々にとっては「楽しい時間を過ごさせてもらえた」という好印象が残り、オイシックスのファンが増えたのではないでしょうか。

数多くの広告・PR代理店がある中で、このようにユーザー心理に添う取り組みができている企業は残念ながら多くないように見受けられます。

「キャンペーンをしたい」とクライアントが言うと、フォロワーの伸び率や売上へのコンバージョンを増やそうという着眼点で提案されるものがほとんどです。

しかし、「フォロワーを何人増やしました」ということより、「ブランドの好感度が上がりました」の方が、企業にとっては重要なことだと思うのです。


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