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〜presented by 金髪オンナ〜 シリーズ「カオスからだるま転がるその先へ。」高柴ダルマとの付き合い方 編

2019,5,14 ユカリ a.k.a 金髪オンナ

だるまのリサーチぶちまけコーナーでございます。
ちょっと期間が空いてしまいましたが、勝手に続けます。

これまで....
1 プロローグ
2 達磨大師超人説 編 (達磨大師について)
3 ハードな飲み会 編 (ダルマが生まれた話)

今回は、高柴ダルマの産地である三春の地域の方達は
どのようにダルマと暮らしていたのか、というお話です。

三春町歴史民族資料館 主任主査兼学芸員 の
藤井典子さんにもお話を聞いてきました。

デコ屋敷と玩具づくり
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高柴ダルマをつくっているのは
福島県郡山市西田町高柴にあるデコ屋敷という
ものづくりの里にある4件の工房です。
デコ屋敷本家大黒屋
本家恵比寿屋
彦治民芸
橋本広司民芸
4件全て橋本さんなので屋号でお見知り置きを...

デコ屋敷は江戸時代元禄から300年続く里で、
かつては三春藩の領内の神社で商いを認められていたり...
三春では、張り子は人々にとって身近な存在だったようです。


明治以降張り子が衰退しても、
ダルマを多く生産していたことから
「ダルマ屋敷」と呼ばれていたそうなのですが、
木彫りの人形のことを木偶(デク)と呼び、
それが変化していき、後に「デコ屋敷」と
呼ばれるようになったとも言われています。

デコ屋敷で張り子人形をつくり始めているのかは
実ははっきりとはわかっておりません。
それくらい当たり前のものであったとも言えます。

例えば、
三春の殿様が歌舞伎が好きで人形師を江戸から連れてきた説。
仙台からの土人形が三春に流れ着いた説。
色々と説はあるようですが...
実際に、仙台の土人形と形は似ています。

デコ屋敷ではダルマだけを
つくっていたわけではありません。

年末から、縁起物であるマサルや羽子板、
だるまや干支の張り子を多く制作。
縁日が多い春から秋にかけては、
子供向けのお面や、大人が喜ぶ歌舞伎物の張り子を。
かつては凧なども制作し...
というように玩具一般をつくっていたようです。


高柴ダルマっ
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最初から目が入っていて、頭が平らで、背が高い。
顔の彫りが深い男前な顔をしている厄除けダルマです。

この高柴ダルマの形は福聚寺にある
雪舟周継(1504頃〜1589頃)が描いた達磨図を
モデルとしてつくられ始めたのではないか...
と、言われております。

現在も、福聚寺とデコ屋敷がコラボレーションをしています。
今年の希望の一文字を和尚さんが決め、
その一文字をデコ屋敷の各家がダルマのお腹に描く。
そして、年始に開催される三春だるま市で販売しているのです。

高柴のだるまは4種類。
三春ダルマ(写真左)_スタンダードダルマ
南瓜ダルマ(写真真ん中)_体の形がカボチャです。
本陣ダルマ(写真真ん中)_特定のお家しか購入できないダルマ。
       (南瓜ダルマの小型)
古代ダルマ(写真右)_顔の色が、濃い!達磨大師感満載。

三春でのダルマとの付き合い方
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ダルマはいくら倒れても起き上がる。
(下に重りが付いているからなんですが...)
「七転び八起き」と掛けられたりもします。
昔の人たちはそんなダルマに
色んな気持ちを込めていたと思います。

三春では昭和40年代まで養蚕も盛んに行われていたので
蚕が寝て起きて脱皮をして成長する、良く起きる様に
とダルマに祈っていたこともあるのでしょう。

そんな三春では各家庭にダルマは必ずあったそうです。
(私の生まれ育った埼玉は熊手文化でした。)

お家には大きな神棚があって、
そこに7〜8体のダルマを鎮座させるのです。

例えば....8体揃えるお家だとします。
「さて、家を新しくしたことだし、
神棚もしっかりとつくったし、ダルマを揃えるかな!」と。

毎年、年始に1体ずつ買っていきます。
8年目になればダルマが8体揃います。
そうすると、翌年から一番最初に買った古いダルマを
お返しして、新しいダルマを買います。
このように、8体常駐。
ずっと入れ替わり立ち替わり8体神棚にいるのです。

このようにして、三春のどのお家にも
大小様々なダルマがいました。

今では8体もダルマを置ける神棚もなければ、
家の内装もすっかり様変わりし、
ダルマを置く家の方が少なくなったのです。

今でも年始には三春のダルマ市は開催しております。
ズラッと並ぶダルマは圧巻ですよ。

という、今回はデコ屋敷と高柴ダルマの話でした。
他の地域のダルマを見たら
「おお、ダルマって地域によって全然違うのね!」
となるはずです!!

さて、あと1回くらいこのシリーズ書きたいな...


内容に関しては地域や禅宗、歴史等の解釈が様々あります。その中で、文献等から要約した内容や伝説を書いておりますので予めご了承ください。

参考書籍
「新装版 開運 だるま 大百科」(H28) 著 中村浩訳、発行 株式会社 日貿出版社
「達磨からだるま ものしり大辞典」(2011) 著 中村浩訳、発行 株式会社社会評論社
「ダルマの民俗学ー陰陽五行から解くー」(1995) 著 吉野裕子、発行 岩波書店
「特別展図録 三春福聚寺」(H5) 著 福聚寺副住職 橋本宗久 三春町歴史民俗資料館、発行 三春町歴史民俗資料館
「平成13年度春季特別展 三春人形と木型」(H13) 発行 三春町歴史民俗資料館
「れきみんブックレット2 三春の歴史」(H28)発行 三春町歴史民俗資料館

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