見出し画像

ビーコル2018-19シーズンを勝手に振り返るの巻 ①

キヨウケン(@shiumaispirits )です。

ビーコルは今季HCに名将トーマス・ウィスマンを招聘、bjリーグ当時からチームを支え続けた山田謙治、蒲谷正之らベテランが去り、若返りとともに下位からの脱却、「3年後に優勝」を目標とするチームへの変貌を目指してスタートしました。
しかし、そんな3年計画の1年目はレギュラーシーズンでは中地区最下位、全体16位、残留プレーオフ1回戦ではレバンガ北海道に敗退と、不本意な結果が続きました。

過去2年ならこの時点でB2降格だったものの、今季は福岡のB1ライセンス喪失〜自動降格確定により残プレ対象チーム数が4から2に縮小したことや、B2プレーオフでB1ライセンスを持つ島根、熊本が1回戦で共に敗退するなどの要因が重なったことで、辛くも3年連続のB1残留を決めてシーズンを締めくくりました。
大変残念ながら選手、スタッフ、ブースターそれぞれに忸怩たる想いを抱えたまま今シーズンは幕を閉じました。今後への課題が山積みなのは確かですが、決して全てがダメなシーズンだったとは思いません。上手くいったこと、いかなかったこととその要因を振り返り、今回得た教訓や今回B1に残れたチャンスを来季に必ず生かしていきたい。
私には分かり得ないこともあり、事実と異なることもあるかもしれませんが、この場を借りて思うことを綴ってみます。

経営陣のハードワークはもっと知られるべき

B1残留を決めた要因であり、また、残留まで苦戦することになっている要因が「黒字経営」にあると考えます。
2012年からJリーグが導入した「クラブライセンス制度」。「フィナンシャルフェアプレー」の発想はBリーグ発足当時から採り入れられました。2019-20シーズンに向けて、福岡はB1ライセンスを喪失し、また、複数チームのB1ライセンス付与が一旦保留になるといった事態が生じました。健全な財務やB1基準のアリーナなどのインフラ確保、競技以外の面での評価もトップリーグ在籍には必要条件なのです。

ビーコルはbjリーグ参加2年目の2012-13シーズンに充実の戦力のもと優勝を勝ち取りましたが、それと同時にクラブは経営破綻寸前に陥りました。ここで経営陣が交代し植田球団代表、岡本エグゼクティブプロデューサー(のち代表取締役CEO)が参画。しかし、強化もままならぬ状態で債務返済のための長い道のりを強いられる状況になりました。
昨年発行された「海賊をプロデュース(産業能率大学出版部 刊)」において、ビーコルの経営が「救急治療室から、ようやく一般病棟に移ったところ」と表現されています。このような状況下でチームがB1カテゴリーに加われたこと、厳しい経営状況ながら毎年ライセンスを一発付与される状態を維持していること。言ってしまえば、財務面では一度も残プレに行ってないのです。
こうした経営陣の働きもまたハードワークであり、もっと知られて評価されなければならないと思うのです。

では、こうした経営がどのようにクラブを支えているか、過去2年のBリーグ決算概要の資料をもとに私見してみたいと思います。

格差社会のBリーグとビーコルの生きる道

Bリーグ公式サイトにリーグ決算概要の情報があります。
https://www.bleague.jp/about/management/

詳細は↑を見ていただくとして、幾つかの項目を上位クラブと、ビーコルと順位の類似したクラブをピックアップして比較してみます。

こうして見ると、ビーコルと栃木、千葉といった上位クラブとの営業収入、人件費など経営規模そのものにどれだけ差があるのかが一目瞭然です。持つ者、持たざる者との差が数字の面でも表れています。
良い選手と契約するには資金が必要ですが、それが過ぎれば経費を圧迫します。ビーコルのような財務状況の厳しいクラブにとって、強化による成績向上とフィナンシャルフェアプレー、両者の調和に腐心しているのが実態なはずです。
そんな中で、どのクラブも2年目に営業収入を伸ばし、人件費も増加しています。リーグの人気向上に伴い収入はアップし、並行して選手の待遇改善や、外国籍選手の質の向上による人件費高騰が起きていると思われます。

ビーコルは、ここに挙げたクラブの中では人件費比率が低水準に保たれていますが、現状の経営規模ではこれ以上の人件費が掛けられないとも読み取れます。その一因は表の赤マスで示した試合関連経費にあります。表中の他クラブより最大3倍近いコストを強いられているのが実態で、都市部特有の施設使用料などの問題が重くのしかかっていることが、強化にも影響していると考えます。
人件費への投資が過ぎれば財務危機に陥り、少なければ成績が残せない。それでも、過去の債務返済のトラウマを思えば、今後も目先だけの強化へシフトする選択はまず取り得ないでしょうね。

この強化と収支のジレンマを解消するために経費削減の方策も考えられますが、今のビーコルにとっては、何よりも収入を増やし経営規模を大きくしていくことが重要ではないでしょうか。
今季、横浜トヨペットによる増資を得られたのも経営陣のファインプレーです。更に、日本代表のW杯出場やオリンピック出場権獲得によるメディアでのバスケの露出増も新規のスポンサーやブースター獲得の追い風になるはずですし、その風を是非とも生かしたいです。

因みに、リーグのレベルアップに伴い外国籍選手の人件費は18-19シーズンも高騰の一途を辿っているはずです。ひょっとすると、ビーコルの人件費比率が既にリーグ平均レベルに達しているかもと、気掛かりもあります。また、今オフは各チームの「契約3年目」満了の選手が出るはずで、過去2年以上にロスターが変動する可能性も孕んでいます。
資本力と順位が比例する傾向は否めないが故に、とにかくもっと「お金が入る」クラブになりたい。そう思う所以は他にもあるのですが、それは後述で触れたいと思います。

(②へつづく)


この記事が参加している募集

Bリーグ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?