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062 Main: ゴールってなんですか

第62回のテーマは「ゴール」でした。
私を含め、現在50代の世代が幼い頃はまだ、「勉強して、いい大学に入って、寄れば大樹の陰的な大企業に入って、高給をいただき、家族を築く」といったライフモデルが世の中にはびこっていたように思います。

ところが、個人的には学校の勉強が退屈で仕方がなかったわたし。勉強しなくても、そこそこの成績がもらえた小中学校時代はまだしも、高校に入ってからは、本当にひどい成績に身を任せるようになってしまいました。
といっても、卒業できないのはもっと困るので、もっとも少ない労力で赤点スレスレをいくストラテジーに終始していました。

例えば、微分積分でも、生物でも、試験範囲の最初の40%だけを完璧に勉強する、という、そんな作戦が功を奏して、なんとか、追試の窮地に立たされることもなく、定期試験を乗り越えました。
そして3年の後半になって、あまりに遅ればせながら受験に必要な科目だけは勉強して、とりあえず夜学の大学に入学したのでした。

勉強がイヤだった理由は、まず面白くなかった(興味を持てなかった)、というのがひとつ。
そして、いま勉強していることが、具体的に何の役に立つのかよくわからなかった(勉強の目的がいまひとつ理解できなかった)ことが、もうひとつの理由かなぁと思います。

最近読んだ本で知ったのですが、近頃の日本では小中学校でもキャリア教育なるものがあるとか。それはそれでとんちんかんな気がしてしまうのですが、どうでしょうか。

日本で働いていたとき、私よりも10くらい年上の先輩編集者のKさんが、「大学で、実生活で役立つような勉強をしようなんざぁ、そりゃあ不純ってもんじゃないですか? ねえ?」と言っていたのを思いだします。
彼曰く、現実的には役立たない勉強「例えば、哲学とかねえ」こそが、本来の学問のあるべき姿、ということらしいです。彼の言い分も、いまなら一理あるなぁと、理解できるのです。

ゴールがわからなくて勉強したくなかった子ども時代のわたし、ゴールのない勉強こそが本来の学問と主張したKさん、そしてある意味実体をともなわないゴールを目指したキャリア教育……ゴールっていったいなんだ? と人生半ばを過ぎても、考えてしまうわたしでした。
(か)

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