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レトロビルヂングの紅茶店

紅茶・伝統的な英国式ティールーム、
名前は「北浜きたはまレトロ」です。
「喫茶店」か「建物」のお話にするか迷いました。
きょうは「建物」でいきましょう。


北浜レトロ

北浜レトロビルヂング

二階建ての煉瓦の建物。ペパーミントグリーンの屋根。
ひとこと「レトロ」! 
ライトアップの夕暮れ。
ビルというより、お家のようです。
ここは伝統的な英国式ティールーム
「北浜レトロ」なのです。


大阪の「北浜」という地名をご存知ですか?
北浜は、大阪の巨大オフィス街。
むかしから、商人あきんどの街で文化の中心地。


明治以降は英国の文化・建築に習います。
北浜には、煉瓦の近代建築・歴史的な建物が多数。
大阪取引所・大阪商工会議所をはじめ、金融・保険・製薬・老舗の会社が軒を連ねます。


いまの御堂筋みどうすじという太い道路ができる前、北浜を通る堺筋が大阪のメインストリートでした。

北側に土佐堀川とさぼりがわが流れ、対岸は中之島なかのしま
景観もよく市民の憩いの場でもあります。
かつては百貨店も並んでいた、大阪でリッチでモダンなエリアです。

近代建築の宝庫



「モダン」よりも、さらにむかしの「レトロ」。
北浜のレトロな建物。そのなかで、いちばん小さくも印象に残るのが、


北浜レトロビルヂング


山椒は小粒でぴりりと辛い…可愛らしく存在感ある洋館です。
そして、紅茶のお店「北浜レトロ」として有名です。

北浜レトロ
大阪市中央区北浜1-1-26
北浜レトロビルヂング


日本家屋では無理がある

英国式ティールームの看板を上げているお店は数あれど。
紅茶とケーキで優雅なティータイムのつもりで店内へ。

ところが……

花柄の壁紙・暖炉・本棚からあふれる雑貨。
丸テーブルにも花柄のテーブルクロス。四角のテーブルも混じる店内。
ランダムに並ぶ椅子は軽い素材。


なのに、この圧迫感はなんでしょうか?

やはり、英国式のお店にするには、イギリスサイズのお部屋がいいなといつも思います。
花柄の壁から微笑む額縁や、天井近くまで飾られた上品な調度品。

頭上から落ちてくるような不安感を感じます。


天井は低くとも、ふすまや欄間のシンプルな和室で暮らしていた日本人。たぶん地震大国だからというのもありますね。


わたしは、今までの「英国式ティールーム」に、違和感やキッチキチ感で、どうしても落ち着きませんでした。

頑張って並べた、飾った英国風。


では、本物の洋館の「英国式ティールーム」は、どうなのか。
とても興味深いのです。



「北浜ビルヂング」歴史

北浜レトロビルヂング(旧 林隆産業ビル)

明治/1912
煉瓦造地上2階地下1階建.建築面積56㎡

文化遺産オンライン より一部引用


なんと明治の終わりの建物なのですね。
当時は最先端の洋風ビルだったのでしょう。設計者など詳しいことは、わかりません。


北浜レトロビルヂングの歴史・設計図はメニューに掲載されています。


阪神淡路大震災後に、現オーナーが改築。
英国で紅茶から店内の調度品を買い付けての開業。
全部、英国。アンティーク。人気の紅茶専門店です。

ほんとうに、まわりの高層ビルに囲まれて、ちっちゃく感じます。
土佐堀川に面していて地下1階は船からの荷物の運搬をしていたそうです。

中之島公園のバラ園からの「北浜レトロ」です。
バラのかぐわしい香りと四季折々の色彩。
伝統的な英国式ティールームとバラの共演。どちらも主役級です。

中之島バラ園より


紅茶より先に味わう

北浜レトロ
外観

イギリス国旗が、ふんわりと。
煉瓦は薄くタイル張り、巨大ポットの飾りがヤカンに見えてしまいます。
二階建て。縦長サイズです。まわりのビルに挟まれていますが、ここだけ優雅な空気を感じます。

うすく弧を描く入り口の頭上


登録有形文化財
地下一階は非公開


玄関マットならぬ
タイル

ショーウインドーの大きなケーキ。
使い込まれたアンティークのレジスター。
店員さんの制服・エプロン。
みな北浜レトロの美しきオブジェのようです。

店内での過度な撮影は迷惑ですね、すみません。
ケーキ・紅茶を選んでいるお客さま。
イートインで並んでいる他のお客さまが写ってしまいます。

雰囲気を壊すことになりかねないので、注意しなければ。

天井まで雑貨がびっしり

一階は、ケーキ・紅茶・雑貨のテイクアウト。
二階が喫茶室になっています。

どこまでが装飾で、どれが商品か?ぬいぐるみ・ティー用品・ポストカード。目がチカチカしてきました。無理せずに、楽しみます。


壁は白く、手すりや窓枠の色はペパーミントグリーン。
ペパーミントグリーンを見て、リフレッシュ。ちょっとした鎮静効果もあるようです。


イギリスでは、魔よけにペパーミントグリーンを使っていたそうです。
壁の上部は無地、明るく感じます。

どこにも花柄の壁はないです……

階段の手すり


階段は幅が狭いのですが、一段の段差を低く造っています。
中間に、踊り場もあります。
イートインの皆さまは、壁際に一列に並んでいます。二階の喫茶室で英国式紅茶を楽しみに。
日本の建物も階段の幅は狭く、しかも段差が大きく登りにくい。

階段にもお国柄があり、建築の基準は違うのですね。
吹き抜けになっています。明るい。

木製の手すりより低く
カーブあり
空間を開けています


トイレの英語は

トイレはどうなっているのでしょうか。
みな英語で書かれた看板。アンティーク英国製品です。
文字表記も英国式。
お食事中の皆さまは、すっ飛ばしてくださいませ。

黒い扉の向こう


TOILET 


REST ROOM ではないのですね。
英国式は「トイレット」
鍵もプレートもステキです。
紙にタイプライターで打った文字が見えます。
アジがあります。

「押」はご愛敬


●「 ENGADGET 」…使用中
○「 VACANT 」…あき

■「 WENBEY PARK 」…ウェンブリーパーク
(ウェンブリーはロンドン郊外の地名)
中之島公園みたいなシャレ?
確かにトイレの中から中之島公園・ばら園が目の前に広がります。

やはりレトロ

トイレはベパーミントグリーンのタイル!
蛇口は手動です。

陶器の社名ロゴなし
手洗いソープが惜しい…


ペーパーホルダーもオシャレ


個室のなかのクラシックなトイレ。
使用後、ヒモを下にを引っぱって水を流すタイプです。
このスタイルがあるのは、古い銭湯や昭和の旅館ぐらいです。


ペーパータオルも完備
(時代ですね)


縦長の窓と装飾


ジャケットかけのフックや照明器具。
床面タイルも使い込まれて、相当なものです。
しかもトイレが広いのです。
もしかしたら細長い白い陶器の湯舟があったのでは?
中之島公園・バラ園を観ながらの、
シャワータイムを想像してしまいます。妄想です。

中之島バラ園から

左手に見える一階・排水管がぐるりと囲まれた縦長の窓は…
トイレだったのですね!
水回りは、やはり一階の設置です。
右側は階段のため窓は小さいのです。
入ってみないと、わからないものです。
ヤカン、いえティーポットがこちらにも。


小さな洋館なのに広い?

大阪で英国風のティールームはとても多いのです。北浜レトロの上をいく、こだわりはないでしょう。
英国式レトロ英語が堪能な方は是非。
いろいろ文字が並びますが、リタイヤ。

トイレの窓より、一枚だけ。
窓が大きく解放感もあります。
といは現在のものですね。
12月の画像です。すこし寂しい中之島公園・バラ園。

水上バス・アクアライナー


FIRE
消火器は赤い
二階が喫茶室

窓が大きくて、天井も高い。
最初は雑貨に圧倒されました。
ゆっくりと館内を観てみると、意外と広く感じます。


二階建てというのもありますね。
一階と二階で販売と飲食を分けている。余裕があります。


伝統的な、英国式ティールーム。
レトロな洋館での紅茶タイム。優雅な時間。
ケーキも大きくて、迷います。なかなか決まらない。

では、わたしの大好きな紅茶、
「大大阪クラシック」をいただきに二階に上がります。

オリジナル紅茶メニュー


レトロなビルヂングで紅茶を。




毎週水曜日は
「たてものエッセイ」の日


いつも こころに うるおいを。
水分補給も わすれずに。


最後までお読みくださり、
ありがとうございます。

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