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メトロに架かる四ツの橋

メトロ(地下鉄)。四ツ橋駅よつばしえきのホーム。
壁に、青い線が走る。
模様かな、音符かな? これは何でしょう?


Osaka Metro(大阪メトロ)・四ツ橋よつばし

Osaka Metroが正式表記の大阪メトロ。
2018年、大阪地下鉄が民営化され、この名前になりました。



水の都・大阪

大阪は、むかしから町に堀川をつくり、人も物も歴史も水が運んでいた水運の町。
八百八橋はっぴゃくやばしといわれるほど、たくさんの橋もあったのです。

道頓堀川どうとんぼりがわ深里橋ふかりばし



水運に変わって市電が走り、戦後、自動車の時代に。
渋滞緩和と水路不要のため堀川は埋め立てられ道路になります。


市電は、道なき地面の下に延びる地下鉄、メトロに。
いまは、川なき橋が、地名として残っています。



つ橋線・四ツ橋よつばし

変わった名前・四ツ橋。かつて「四ツの橋」があったそうです。
しかも四つ橋線という路線があって、駅名が四ツ橋。

「四つ」と「四ツ」……? 混乱しますね。


四つ橋線は、大阪の大動脈「御堂筋線・梅田駅」の西側にあります。
「四つ橋線・西梅田駅」から延びている青の路線です。梅田駅~なんば駅まで、仲良く平行に走っています。


「いつも混雑している御堂筋線は注意の赤色、西側を走っている四つ橋線は比較的すいていて青色やねん」という根拠のないネタにもなったりします。

青い路線
四つ橋線・四ツ橋駅


なぜ「つ」・「ツ」?

どうやらメトロ(地下鉄)の駅が誕生するとき、届け出の手違いがあったようです……

表記  (四ツ橋・四つ橋)

地名 (交差点名・駅名)は、「四ツ橋」「四ツ橋駅」とカタカナの「ツ」になっているのに対して、橋名、および線名(道路名・地下鉄路線名)は「四つ橋筋」「四つ橋線」とひらがなの「つ」となっている。
道路を管理していた市の土木局(当時)と、交通事業(市電に四ツ橋の電停があった)を管理していた電気局(当時)が、監督官庁に別の表記で届け出たことに原因があるといわれている。さらに、地下鉄路線名が通過する街路の名前(四つ橋筋)に会わせたのに対して、駅名は地名を採用したという結果、上記のような状況になっている

Wikipedia 四ツ橋 より



よくよく町を見れば、地名の「四ツ橋」表記が、あちこちに。

四ツ橋

地名やビルの名前など「よつばし」と文字を打つと「四橋」で出ます。
メトロの路線を打つと「四つ橋線」に自動で変換されます。
この歳になるまで、知りませんでした。



本当に橋が「四ツ」あった

長堀川ながほりがわ西長堀川にしながほりがわが十字にクロスして、四つの橋が架かっていました。
珍しい「川のダイヤモンドクロス」!


なので、ここの地名は四ツ橋。
この下、正確には、ちょっと西側に四つ橋線・四ツ橋駅があるのです。

もと長堀川の看板


       上繋橋かみつなぎばし 
 
  吉野屋橋よしのやばし      炭屋橋すみやばし
      
       下繋橋しもつなぎばし



行き交う船。十字にクロスした水面がキラキラと光を弾き美しい。
ダイヤモンドの輝きと、涼やかな風が頬をなでる橋の上。

大阪市立中央図書館
デジタルアーカイブより
「橋ツ四」


写真は高層ビルが頃です。
いまは蒸し暑い大阪ですが、当時は心地よい場所で、大阪の名所のひとつでした。
…見たかったですねぇ。

橋のたもとに石碑


当時を語るものは石碑のみ。
川は埋め立てられ道路がクロスしてます。

2022年 四ツ橋交差点


旧 名所 四ツ橋跡

クロスした長堀川と西長堀でしたが
埋め立てられ長堀通・四つ橋筋になりました。

四ツ橋交差点の分離帯に石碑があります。

旧名所 四ツ橋跡
これで全部わかる説明板


長堀通・分離帯に石碑
これが建っていたのですね

● 江戸時代の俳人の句碑 ●
「すずしさに 四つ橋を四つ わたりけり」 
小山来山の句碑(右)

「後の月 入りて貌よし 星の空」 
上島鬼貫の句碑(左)

なんとも風流。コテコテしない大阪。



 戦後に埋め立て

◆1964年(昭和39)西横堀川にしよこぼりがわ・埋め立て

上繋橋かみつなぎばし下繋橋しもつなぎばしは撤去

上に高速道路が走っています。埋め立てたあとは、自転車置場などになっています。


◆1970年(昭和45)長堀川ながほりがわ埋め立て

炭屋橋すみやばし吉野屋橋よしのやばしは撤去


現在は、みどりの道・バス駐車場などに。
地下は、メトロ 長堀鶴見緑地線ながほりつるみりょくちせんも走っています。
長堀川の名前が残っていますね。


かつて長堀川に架かっていた橋の説明板や柱、天文観測の石碑などがあります。知らない橋も多数。
ゆっくり散歩もいいものです。

天文観測をした人がいた



四ツ橋・地下の駅ホームへ

さて、ここからが本題です。

最初は、この部分だけ記事にして「これ、よめる?」とだけ書くつもりでした。
それじゃあ、なんとも思わないし、だから何?となるでしょう。
なので、長い前置きでした。埋め立てられた川の地下にもぐります。


「旧 名所 四ツ橋跡」を見た後は、
大阪メトロ四つ橋線・四ツ橋駅へ。


この出入口、地下シェルターへ降りるような雰囲気。
むかしからあったレトロな出入口。まさに地下鉄という感じで、わたしは好きです。

いまはあまりないタイプです
黄ばんだ電灯もよいのです



駅のホームにあるのは橋

ホームの壁の青い線。
これは橋の名前だったのです。
地上にあった四つの橋は、メトロの壁に架かる橋になりました。

よく見れば、橋の名前。

かみつなぎばし
(上繋橋)
しもつなぎばし
(下繋橋)
すみやばし
(炭屋橋)
よしのやばし
(吉野屋橋)


四つ橋線・四ツ橋駅に来られたら、メトロに架かる橋を探してみてください。
駅のホームから落ちないように、ご安全に。
「壁面の四ツの橋のものがたり」
そして、これからは、


通勤・通学・観光の皆さんの


  「こころのかけはし」に。


毎週水曜日は
たてものエッセイの日



いつも こころに うるおいを。
水分補給も わすれずに。


最後までお読みくださり、
ありがとうございます。

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