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見たことのない世界を知りたいならぜひ村田ボーリング技研へ!/村田浩康さん、金子明日香さん(村田ボーリング技研株式会社・社長室のお二人)

溶射という言葉をご存知でしょうか。私たちの生活を支える工場技術には様々なものがありますが、溶射技術もその中の一つです。しかし、特殊な技術のため扱っている工場は少なく、認知度もあまり高くありません。溶射はどのような工場で行われ、そこで働く人々はどのような思いを持っているのでしょうか。静岡県の駿河区で溶射加工を手掛ける村田ボーリング技研の村田さんと金子さんに話を伺ってきました。
【赤川、石代、辻村・常葉大学造形学部2年 村井ゼミ】


金子さん(左)と村田さん(右)

村田ボーリング技研株式会社では、溶射という表面加工技術を用いて、使っているうちに一部分だけ擦り減ってしまった機械部品の修繕や、部品表面への機能付与を行っています。法人向けのサービスを行なっていますが、テレビ画面の裏側に特殊な膜を作る加工やプリン等の蓋を貼るための加工など、私たちの生活にも意外な場面で関わりがあります。それらは全て職人の技術によって支えられています。現在、従来の工場のイメージとは違い、女性に向けた取り組みを多く推進している村田ボーリング技研の、人を中心とした社風に迫りました。

村田ボーリング技研さんの歩み

―村田ボーリング技研さんの「ボーリング」とは何のことでしょうか?
 
実は今、社名の由来になっているボーリング事業(車のエンジンの摩耗した部分を修復すること)はもうやめてしまいました。しかし、会社設立からものづくりへの想いは変わりません。社名はその想いを伝える象徴ですので、あえて変えていません。

私たちの加工する金属部品は、最終的に機械に組み込まれて製品となり、皆さんの生活の中で意外に多くのものに使われています。ハイブリッド車に利用されるリチウムイオン電池を作る機械のセパレータを作る工程や、段ボールを製作する機械の印刷や成形する工程、プリン等の蓋と容器を接着する機械の工程など、身近なものに加工された部品が使用されています。そして、テレビやパソコンの液晶にも実は村田ボーリング技研の技術が使われています。液晶の裏側に膜を塗る技術があるのですが、特に大型の液晶はここ村田ボーリング技研でしか加工することができません。

―長く会社を続けてきた中で時代によって変えた戦略や、イメージはありますか。

昔はボーリング事業をしている競合が沢山あり、お客さんを獲得するためには短納期で安く仕上げる必要がありました。また、時代の流れで、そもそもボーリングの需要も減少していきました。それから村田ボーリング技研にしかできない事業はないかと新たな事業の柱を探していたところ、現在注力している溶射技術にたどり着きました。
その溶射も、当初は今よりも認知が低く、すぐに何度も頼まれる仕事ではないため新規依頼の獲得が要になります。そのため、難しいことにもどんどん挑戦してお客様の期待に応えていくことに力を入れていきました。その結果、「値段では戦わない」という状態を構築できました。

社員を大切にする精神

―お二人が仕事をする中で印象的だったことはありますか。

【金子さん】 私は採用の仕事にたずさわったことをきっかけに、社員の成長が見届けられたこと、学生に仕事のやりがいが伝わったと実感できたことが印象的でした。

【村田さん】 今こうして金子さんが成長したことです。ずっと挑戦してみたいと考えていたことが彼女の働きかけで実現し始めました。これは、僕だけではできなかったことなのでとても印象的です。
私がずっとトライしたかったのは学生との関わり方を変えていくことです。前職では、私は大学生をセミナーや研修でお世話する役割をしていました。そこには、学生が問いを立てて学ぶ場がありました。それが村田ボーリング技研でもできたらいいなと考えていたのです。現在は、就職相談会や採用視点を排除した長期インターンなどを通じて、問いを立てる場が醸成されてきたように思います。

―採用視点を排除した、とはどういうことでしょうか。

そもそも就活をする、面接をする、という採用の仕方自体に青田刈りのイメージがあります。学生を見定めて、企業が唾をつける、といいますか。そのため、長期インターンの際に、「これは内定を出す性質のインターンではないよ」と伝えてスタートしました。村田ボーリング技研では、働いてくれる社員とは長い付き合いをしたいと考えています。私は、就職とは人生最後の学校だと思っています。学び続けられる場所が村田ボーリング技研であればいいですね。

―やりがいのある仕事や、「自分が活躍できた」と思えた出来事はありますか。

私は、年に何回「ありがとう」っていってもらえるかです。お客さんのほうから相談される職種なのであまり営業することはないですが、モノが長持ちするように修復する仕事なので、新規顧客を取れるように頑張っています。

―オフィスが綺麗だと感じたのですが、何かこだわりはありますか。

こだわりのオフィスを作ろうと10年かけて計画し、作り上げました。村田ボーリング技研で働く社員が誇りを持って自社オフィスを紹介できるように、そして少しでも過ごしやすい空間で快適にくつろげるように、という想いで建築したものが、現在のオフィスになります。社長が「お客様に笑顔になってもらえれば」とオフィスにおもちゃを持ち込んでいるので、いたるところにおもちゃがありますね。

綺麗なオフィスにおもちゃが飾られている

ガラス張りの大きな窓で開かれた雰囲気を感じて頂けると思います。オフィスだけではなく、工場の中も整理整頓をしているので綺麗な自信があります。

―従来の工場のイメージと異なる点や村田ボーリング技研さんのいいところを教えていただきたいです。

3K、男性社会というイメージは払拭すべく活動しています。加えて注目してもらいたいのは職人さんですね。職人というと気難しいイメージがありますが、実はそうではないことを感じてほしいです。手前味噌ですが、オフィスから工場へ行くと気持ちのよい挨拶をしてくれますし、作業中の眼差しや手捌きを見ているとものづくりの世界はかっこいいと思います。

(3Kとは:「きつい、汚い、危険」という工場仕事のイメージのこと)

金子さんに聞いた、女性社員さんの働き方

―同性の社員さんと関わるタイミングはありますか。またどのような雰囲気で仕事していますか。

ちょうど私の上司の方が女性で、わきあいあいと仕事をしています。現場の方と話すことも最近多くありますが、女性の社員は少ないからこその結束感が生まれています。村田ボーリング技研はのびのび働きやすいと思います。しかし、社会全体として、工場ではまだ女性が少ないですから、工場でも女性は働けるということを気づいてもらえるようにすることが重要だと思います。「女性は危ない」といわれるようなところも、工夫すれば女性だけでなく男性も働きやすくなると思います。それは結果として3Kの改善にも繋がります。

工場にてミリ単位の作業を行う女性の職人さん

ファクハクに向けて

―ファクハクの開催地であり、今まで工場を運営してきた地でもある静岡の強みは何だと考えますか。

狭いからこそできる、人同士の密接な繋がりです。どのような業界でも5人辿れば有名人にたどり着くといいますが、静岡では3人でもたどり着くのではないか、というほど繋がりが濃いです。
あとは温暖な気候と温厚な人柄ですね。特に気候は、極端な気温の変化があると金属が収縮してしまって、製品加工に支障をきたしてしまうので事業をする上で大事なポイントです。
それに静岡はごはんもおいしい。

―最後に、ファクハクに向けてひとことお願いします。

今回、ファクハクの中で、工場見学だけでなく、ワークショップも行います。ガラスのコップに模様を付ける体験がお楽しみいただけます。思い出を手元に残していただければ嬉しい限りです。このイベントが、多くの人にとって工場に興味を持つきっかけになれば有難いです。
 
見たことのない新世界の扉、叩いてみませんか??
ぜひ村田ボーリング技研へお越しください。
私たちもファクハク開催側として楽しみますので、
参加される皆様も楽しんでください!


【インタビュー後は工場内を見学させていただきました!】

村田さんから溶射について教えていただきました。
知られざる溶射の世界はぜひご自分の目で。
村田ボーリング技研のみなさま、ありがとうございました!


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