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フォロワー40人の編集者がイベント満員のためにやったこと

先日、青山ブックセンター本店で『ニューヨークのアートディレクターがいま、日本のビジネスリーダーに伝えたいこと』の出版記念イベントを行いました。ありがたいことにイベントは満員御礼、その週の総合ランキングでは1位になりました。

このイベントはゼロからのスタートでした。はじめて本を出版する著者、Twitterのフォロワー40人の編集者(私)とないないづくし。そこからどのように人を集めたのか、試行錯誤したことを書いていこうと思います。

なぜイベント満員を目指すのか

そもそもなぜ、イベントを定員いっぱいにするのでしょうか。それは書籍にとっても書店にとってもメリットが大きいからです。

そもそも、イベントを開催すると決まった時点でそのための告知、告知資料作り、事前の関係各位への連絡、会場の設営から実際の進行、後片付けまで、書店員さんには業務が必ず発生します。どうせ同じことをしていただくのであれば、会場を定員いっぱいにして売上を最大化したい。これが私の考えです。

また、たくさん人が来てくださるだけ対象の本を買ってくれる可能性が高まりますし、その本への理解が深まります。そうすれば本をきっかけに何か行動を起こしてくださる方も出てくるでしょう。それは本をきっかけとした新しい行動かもしれませんし、知り合いに本をおすすめすることかもしれません。

同時にお店に置いてある他の本の衝動買いも見込めます。そして、そのイベントを気に入っていただけたら「素敵な本屋さんだな」と思っていただけますし、「他にも何か面白そうなイベントはないかな」と定期的に参加してくださるファン、ヘビーユーザーになる可能性があります。

このようにイベントを満員にすることにはたくさんのメリットがあると感じています。

告知はできれば一ヶ月前には始める

告知時期というのは非常に大事です。期日が近すぎるとみなさん予定が埋まってしまい、せっかく興味をもってくれても参加してもらえません。チャンスロスは絶対に防ぎたいものです。ですので、できれば一ヶ月以上前には告知を始められるように準備することをおすすめします。

Twitterの告知には「作り手視点」を

青山ブックセンター本店のTwitterアカウントにて、定期的にイベントの告知をしてくださいます。日程や内容に関してはもうばっちりなので、編集者や著者、出版社がやるべきはそのイベントに関して「作り手」しかできない情報を発信することです。何月何日何時からこの方たちによるこんなイベントを行います。来て下さい。それだけではもったいない。

例えば、著者や編集者がブログやnote、mediumなどに「どんな思いで作ったか」「制作途中で苦労したこと、ハプニング、制作の舞台裏」などを書いてまとめることです。この本の場合、著者のおひとり、渡邊デルーカ瞳さんがブログを定期的に書いてくださっていたので、本の概要で一本、本の制作過程に関して一本記事を書いてもらいました。もちろん、イベントの告知をそのなかにいれます。

著者も私も、Twitterのフォロワーはほとんどいないのですが、青山ブックセンター本店アカウントでリツイートしてくださったおかげでたくさんの方が記事を読んでくださいました。

他にも、伝えきれていない著者の情報をつぶやきながらイベントの告知をすることを意識しました。今回著者のお二人は世界で活躍するアートディレクターだったので、これまで担当してきた企業の名前を紹介しました。日本人はブランドに弱い、という営業さんのアドバイスを参考にさせていただきました。

他にも、著者のおひとり渡邊デルーカ瞳さんは、日本でも有名なDEAN&DELUCAのDELUCAさんとご結婚されている方なので、そのことも情報として載せました。同時にイベントの準備の状況もつぶやきました。

また、残り数席になったらその旨お知らせしました。残りが少ないと欲しくなってしまいますよね。これは他の満員御礼イベントのつぶやきを参考にしました。同時に、知り合いから「本まだ読んでいないけど、イベント行っても大丈夫だよね?」と言われたので、「本を読んでいても読んでいなくても大丈夫」という内容を付け加えました。このつぶやきをしてすぐにイベントは満員御礼となりました。ありがたいことに当日も電話でお問い合わせがあったようです。

Twitterは流れていくものです。一度告知をしても、知ってほしい人全員に届いているとは限りません。何度も何度も根気強く繰り返し告知していくことが大事だと思います。告知の頻度としては、青山ブックセンター本店のTwitterアカウントが告知してくださるときには必ずこちらもなんらかの告知を行うと良いと思います。

興味のありそうな人に直接声をかける

自分の知り合いの経営者やブランディング、デザイン経営に興味のありそうな人を直接イベントに誘いました。実際4人誘って都合がついたのは2人です。著者の方も何人か誘って下さっていたようです。

しかし、私たちはニューヨークに拠点があり、日本の知り合いで50人を埋めることは大変難しいです。そもそも人数集めのために興味のない人にきていただいても意味がありません。そこで私は、TwitterやInstagramでサーチし、興味のありそうな方に直接アプローチしてみました。やった方法としては「ブランディング」「デザイン経営」「アートディレクター」「デザイン」などで検索し、この本に親和性のありそうな人に直接イベントをすすめる、というやり方です。

ただこれは大変勇気のいるアクションでした。正直全く知らない人からいきなりすすめられて「気持ち悪いな」と思われた方もいると思います。新卒で営業をやっていた経験のある私でもかなり心が折れそうになりました。きもいに違いないにも関わらず、ほとんどの方が親切に対応してくださりとてもありがたかったです。それがきっかけで実際にイベントに来て下さった方もいらっしゃいました。具体的には一日一人以上は知らない人に声をかける、ということをやっていました。このアクションは他人にどう思われても大丈夫、という人のみおすすめします。笑

Instagramでプロモーションを行う

これは、著者のお二人がビジネスアカウントでやってくださったことです。プロモーション機能を使い本とイベントの告知をしてくださり、2,885いいねがつきました。デザインやマーケティングに興味のある人に直接リーチができるようで、こちらをみて参加して下さった方もいたかもしれません。今回の本はアートディレクター、デザイナー、ブランディングがキーワードでInstagramと親和性が高いと判断しこの方法を選んでいます。対象となる本のターゲットがInstagramをよく利用している層かどうかで判断することをおすすめします。

イベント告知用販促物をつくる

知り合いから「オンラインで申し込もうと思ったけれど、記入するところがたくさんあって面倒だったから直接お店に行って申し込んでくるね」と言われました。そこでひらめいたのが店頭に告知用販促物を置くことです。青山ブックセンター本店にはアートやデザインに興味のある方がたくさんいらっしゃいます。そういった方が店舗に来て、イベントのことを知ったら参加してくださるのではないか、と考えました。

イベント告知を含むオリジナル販促物は著者のお二人にデザインしていただきました。これはみなさんも各出版社のデザイナーさんにお願いできると思います。手書きでもいいと思います。青山ブックセンター本店でもイベントの告知をしてくださっていますが、何度も何度も目にしないと気になってもらっても忘れられてしまうかな、と思い作成しました。

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ひとりでできることは少ない

ここまで色々と書いてきましたが、実際に私ができることはそんなにありませんでした。書店員さん、出版社の営業さん、著者のお二人がほとんどの実務をやってくださいました。

書店員さんは今どれくらいお客さまが申し込んでくださっているのか適宜教えてくださったうえ、その度に色々とコメントやアドバイスをくださいました。飛行機の都合で著者のおひとり渡邊さんがイベントに参加できなくなるピンチがあったのですが、リーダーシップを発揮し、とりまとめてくださいました。

こんなにイベントの告知をしていながら私は海外に住んでいるため当日イベントに出席できません。ですので出版社の方に当日のイベント出席や細かな打ち合わせをお願いしました。また、店頭での展開や本の受注なども担当してくださいました。他にも業務がありお忙しいなか本当にありがたかったです!

そしてなにより著者のお二人です。告知に関してブログで文章を書いてくださり、アートディレクター/デザイナーであることをいかし、店頭販促物のデザインや当日のイベントのスライドや内容、会場にいらっしゃった方向けのオリジナルしおりまで作成してくださいました。お二人とも大変お忙しいなかおつかれさまでした。特に小山田育さんは直前で急遽著者として一人で登壇することになり大変だったと思います。また、司会進行を引き受けてくださった梅澤さやかさんもありがとうございます。

このように、私がやっていたことと言えば勝手に「満員御礼めざします!」と宣言していたことくらいでした。それに向かって他のみなさんが色々と行動してくださりチームとして動けたのが良かったと思います。正直みなさんはチームで動いている気はなかったと思いますが、それぞれにやったことや成果を自然と共有し合っていたため、勝手にチーム感を感じていました。

個人の発信力はとても大事

このイベントを経て思ったことは、普段から発信力を持っていることの大切さです。もし私がTwitterやnote、実生活でもっと影響力のある編集者だったらもっとスムーズに集客ができていたでしょう。普段から集客力をつける努力をしていかなければならないな、と反省しました。今回の集客に関しては青山ブックセンター本店、そして書店員の中田さんの力がなければ満員御礼にすることはできなかったと思います。本当にありがとうございました。

まとめ

告知はできれば一ヶ月前には始める
Twitterの告知には「作り手視点」を
興味のありそうな人に直接声をかける
イベント告知用販促物をつくる

これから青山ブックセンター本店でイベントを企画している方の参考になれば幸いです。すてきなイベントばかりなので、満員御礼だらけになると嬉しいです。青山ブックセンターのイベント一覧

そして『ニューヨークのアートディレクターがいま、日本のビジネスリーダーに伝えたいこと』出版記念イベントに参加して下さった方がnoteにサマリーを書いてくださいました。どんなイベントだったのか内容が気になる方はチェックしてみてください。


イベントが終わった後もベスト5にランクインしているみたいです!ありがとうございます!おかげさまで増刷していただいたので引き続きみなさんに読んでいただけるように行動していきます。

ここまで読んで下さりありがとうございました。

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