2022.7③ Weekly Music Log ~Conton Candy、Native Rapper, lulu、in the blue shirt、Gimgigam & uami、音楽とAIの話~

架空対談方式で、主にその週の新譜を中心に、音楽についてゆるく書く週刊記事。

Playlist ※毎週、最新の曲に更新されます

――今週はどんな感じでしょうか?

今週は、1音目を聴いて惚れた曲を4曲選びました。どの曲も雰囲気は全く違いますが、それぞれ一音目でその曲の言わんとすることが十二分に表現されている曲たちだと思います。

――なるほど。もう今更言及するまでもないですが、イントロの重要性は少なからず増しているでしょうからね。

正直自分としては、どんどんイントロが短くなっている的な話にはイマイチ乗れないですが、実際問題としてイントロ聴いて引っかからなかったら全部は聴かないことも多いですからね。ある面の事実では確実にあると思います。

――そういえば、結構そのあたりの話が良い塩梅に書かれている記事がありました。

これですね。貼っておきます。ストップウォッチで地道に測ってるのが凄すぎます。

――では、曲に行きましょう。

まずは、Conton Candy「コスモス - From ヨムオト」です。

――1音目は、かき鳴らすギターですね。

こういうギター大好きなんですよね。特別な感じはしないんですが、逆にそういうシンプルさで勝負しているのが良い気がします。

――この曲は、ヨムオトという、"漫画原作楽曲化"プロジェクから書き下ろされた楽曲とのことです。

原作漫画は全然観ていないですが、いわゆる少女漫画っぽいようなので、リリックの雰囲気とか、あーわかるなーという気がします。Conton Candyの良さもしっかり出ていると思うので、良いコラボなのではないでしょうか。

――他に楽曲について何か思うことはありましたか?

いくつかあるのですが、一つはところどころに差し込まれる違和感のあるコードへの展開ですね。そこでそのコードを弾くのかという驚きがありました。不協和音とも捉えられかねないような、ギリギリのラインのように個人的には感じましたが、そういう細部の攻めの姿勢に個性を感じます。
加えて、紬衣のボーカルも興味深かったです。このバンドの曲を聴き込んでいるわけではないので見当違いの可能性大ですが、こんなに癖のある歌い方をするんだっけかと思いました。FINLANDSの塩入冬湖を想起させるような、声の使い方が印象的です。悪くないと思っています。
これからのバンドでしょうから、色々チャレンジしているのかもしれませんが、今後の期待も高まる楽曲だなと思います。

――ネクストブレイクとして名前が挙がっているのもちらほら見ますから、今後に期待ですね。次に行きましょう。

次は、Native Rapper, lulu「Promise」です。

――Native Rapper好きですよね。

好きなんですよ。めちゃくちゃ良い音楽やっていると思うんですが、あまりリスナーは多くないような気がしていて、良く分からないです。でもとても良いと思うので、紹介します。

――どんなところが良かったですか?

この曲は厳密にいうと、1音目というか3音ぐらいまで含めてという感じですが、あーNative Rapperだなぁという感じです。3音でこの多幸感出せるアーティストってそう多くない気がします。

――リリックはどうでしょうか?

日常を描くリリックが良いなぁと思います。そんなに特別なリリックではないとは思うのですが、逆にそれが良い。「必ず幸せにするよ」なんて真正面からリリックに入れるのは、なかなか憚られるのではないでしょうか。

――luluとの掛け合いも良いですね。

luluとの曲は過去にもありますが、相性抜群ですよね。こちらは、緊迫感もある掛け合いがとても良いです。

――もっとたくさんの人に届いてほしい曲ですね。それだけのポテンシャルが十分ある曲たちだと思います。3曲目はなんでしょうか?

in the blue shirt「Forward Thinking」です。

――今夏リリース予定のin the blue shirt 3rdアルバム"Park with a Pond"からの先行シングルとのことです。

もうボーカルチョップの粋が、達人級ですよね。一瞬でin the blue shirtだと分かるし、ワンフレーズ聴くだけで、ああ良いわとなってしまいます。

――このボーカルチョップは、歌が生きている感じがしますよね。

そう思います。この曲はトラックの音もどこか柔らかい感じがして、爽やかな雰囲気と相まって、聴いていると足取りが軽くなるような気がします。
そんなトラックに、ボーカルチョップが沁み込んでいる。編集したというよりも、もとよりそこにあったというぐらいに馴染んでいるように聴こえますね。

――アルバムも出すとのことですので、楽しみですね。

そうですね。そういえば全然関係ないんですけど、今日読んだtofubeatsの最新アルバムに関する記事のインタビュアーがin the blue shirtでした。
こんなに長いインタビュー(というか雑談?)、Webでは読んだことないんじゃないかってぐらい長かったですが、インタビュー中でも言及されている通り、長いことに意味がある内容だと思います。

――適当に文字数カウントしてみたら、3万字ぐらいありそうですね。興味がある方は是非。

そうですね、とても面白かったので、是非。

――最後の曲は何でしょうか?

Gimgigam & uami「awai」です。

――uamiはもう何度も出てきていますが、Gimgigamは初めて知りました。

自分が知らなかっただけで、プロデューサー/コンポーザー/ビートメイカーとして活躍されている方のようです。2020年にもuamiとコラボしていたようです、知らなかった。。。

――この曲はどういう点が良かったですか?

とにかく1音目の低音でやられました。それに尽きます。カッコ良すぎますね、この音。この音で曲の良さを確信しました。

――そんなにですか。

なんででしょうね。自分のバイオリズムとうまく合ったというのもあるのだと思いますが、何度聴いても良い音だなと思います。それがなぜなのかはいまいち分からないんですが。

――面白いですね。そういえばuamiは地上波出演が話題になっています。

NHK Eテレの「ヒャダ×体育のワンルーム☆ミュージック」ですね。
自分もまだ観れていないですが、uami特集をしたそうで、攻めてるなと思います。この人、特集したところで、あまりに多面的で、不可思議すぎて、理解できるのだろうかと思うので、どんな特集だったのかNHK+で確認してみたいと思います。

――最後に今週のプラスアルファをお願いします。

面白かった記事の紹介です。
「石若駿とAIの共演が生み出した、“即興演奏を解体&再構築する”特殊な音楽体験 『Echoes for unknown egos――発現しあう響きたち』を観て」になります。

――石若駿、こんな面白いことやっていたんですね。

自分も知りませんでした。そこに松丸契も絡んでいて、やはりこの界隈の人たちのセンスは凄まじいものがあるなと感じます。
公演の内容については、引用させていただきます。いやー面白いことやるなぁ。

石若とYCAM、及び招聘した研究者たちが協働し、2019年末から一年半以上にわたって制作してきた本作は、石若がライフワーク的に続けてきた即興のドラムソロパフォーマンスを、「自分自身との共演」というアイデアを出発点にAIを中心とするテクノロジーで拡張したもの。石若の演奏を学習しモデル化したエージェントと石若本人がセッションを繰り広げた。2日目となる5日の公演には、石若と同じくSMTKのメンバーであり、互いの作品を通じたコラボレーションもあるサックス奏者の松丸契がゲスト参加した。

――いわゆる表層的なAIに関する話とは全く別次元の内容のようですね。

そうですね。自分の音楽とAIに関する話は以下で簡単に触れたことがありますが、ここではさらにそこから一歩踏み込んでいるように思いました。

上の記事でも書いたように、いかにAIを使って面白いことが出来るかという観点でいえば、それ自体もとても刺激的な内容だったようですが、著者のimdkmが最も印象的だったのが、「楽器が奏でる音色のおもしろさ」であると書いているのには、ハッとしました。

しかし、本作で個人的にもっとも印象的だったのは、各楽器(ベースドラム、スネア、タム、ハイハット、シンバル……)が奏でる音色のおもしろさだ。

――なるほど、そこに戻ってくるんですね。

結局AIだとか言っても、結局音楽の根源的な魅力は、その純粋な「音」にあって、外部のテクノロジーはその事実を逆に際立たせていくのかもしれないということに気付かされました。いや面白いですね。

――こういうところが、音楽の面白さ、魅力なのかもしれないですね。

そうですね。そういえば、これもtofubeatsのインタビューで読んだ言葉でとても良いなと思ったものですが、引用しておきます。この予測とのせめぎ合いが魅力なんだろうなぁと思います。

昔、「音楽を聴くことは、ちょっと先の未来を予測すること」というのを読んだことがあって。「次こう来るか」みたいなことを予測しているからこそ、音楽を聴くのは面白いんだなと

――音楽はやっぱり面白いですね。今回もありがとうございました。

今回もお付き合いいただきありがとうございました。またよろしくお願いいたします。

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