2022.3② Weekly Music Log ~Bialystocks、Perfume、Parannoul、Daoko & Yohji Igarashi、Via tov、APPLE VINEGAR -Music+TALK-~

架空対談方式で、主にその週の新譜を中心に、音楽について緩く書く週刊記事。

――2回目ですね。よろしくお願いいたします。

よろしくお願いいたします。1回目で没にならずに続けられそうなので、良かったです。

――ちゃんと続けていきましょう。今回はどんな回になりそうですか?

まぁそうなるだろうなとは思っていたんですが、やっぱり選曲が難しくて。マンスリーベスト記事との被りとかも意識してしまって、どうしようか結構悩みました。でも最終的には何か書きたいことが思い浮かんだ曲を選んでみました。ちなみに5曲にしました。

――4曲じゃないんですね、まぁ気楽にやりましょう。

はい、ではまず1曲目です。これは絶対書こうと思っていました。
Bialystocksから「Over Now」です。

――読みは「ビアリストックス」で、2ピースバンドなんですね。

そうですね、ボーカル&ギターの甫木元空が、監督・脚本・音楽を務めた映画『はるねこ』(2016年)の生演奏上映をきっかけに結成されたらしいです。こういうバンドの結成きっかけは初めて観た気がします。

――凄いですね、要は甫木元さんは映画監督ってことですね。

そうみたいですね、検索すると、映画監督って出てくるので。その時点でめっちゃ面白いです。

――なるほど、ちなみになんで紹介しようと思ったんですか?

名前見たのも、曲を聴いたのも、最近なんですが、もう一発でやられちゃいました。これは自分が文句なしで好きな音楽のタイプです。なんで今まで聴いてなかったのか?と思ったぐらい。久しぶりにスマッシュヒットしたアーティストです。

――そこまでですか。どんな感じの音楽でしょうか?

まだそんなにちゃんと聴けていないですし、あえてテキストも読んでいない状況ではありますが、とにかく心地よい音楽です。一つひとつの音が優しさに溢れていますし、それらの音の置き方が絶妙すぎます。詰め込み過ぎず、隙間が多すぎず。抜群のグルーヴが生まれています。この曲は、その心地よさの流れの中で突然鋭く差し込まれるエレキギターのソロも痺れるカッコよさです。

――あと、普通に歌も良いですね。

本当にそれです。とにかく歌が良い。あまり他のアーティストに例えるのは好きじゃないんですが、この曲の終盤の怒涛の高音ボーカルには、ヒゲダンの藤原聡のような雰囲気も感じますし、声の面影からはどこか浦上想起も思い出します。

――こういう音楽が嫌いな人なんていないだろうというグッドミュージックだと思います。

そう思います。ど真ん中のグッドミュージックなので、どこかで聴いたことがあるようなテクスチャーであるような気もするんですが、思い出せませんでした。でも、音楽性は違いますが、どこか君島大空のような空気感も感じますし、Spotifyで関連アーティストみたいなところを観てみたら、碧海祐人や松木美定が出てきて、めちゃくちゃ納得しました。このめちゃくちゃ良い音楽やっている界隈の雰囲気があるんですよ。ちなみに調べてみたら、松木美定は2021年のフェイバリットに「またたき」をあげていたようで、流石すぎました。

――間違いない名前の並びですね。Bialystocksは「RADAR:Early Noise 2022」に選ばれているようです。

そうみたいです、あまりちゃんと見てなかったので、気づきませんでした。でもSpotifyの選出センスも流石です。これから過去曲を聴きこんだり、テキストもこれから色々読んでみたいと思います。Youtubeにショートのライブ動画がちょこちょこ上がっていたりするのですが、それも最高なので、ライブも近いうちに観てみたいですね。

――要注目です。ではそろそろ次の曲に行きましょう。

次はPerfumeから「Flow」です。

――あのPerfumeですか。ドラマ『ファイトソング』主題歌です。

自分はドラマ全然観ないので、今回たまたま聴いたんですが、良いですね。Perfumeってもうちょっと声にオートチューンなどのエフェクトをかけて、人間味をなくしている印象だったんですが、今作は大分薄い気がして、まずそこに驚きました。

――確かに、全体的な音の雰囲気もエレクトロ感は薄く作られている気もします。

ジャンル的には、いわゆるフューチャーベースなのかなと思いますが、やっぱり中田ヤスタカは外れないですね。あと驚いたのが、2番のヴァースに入ったところで、重低音のみになるところ。エレクトロ感薄くしたかと思ったら、いきなり過剰な重低音を見せつけられて、いやー参りました笑

――この展開はびっくりしますね。中田ヤスタカの手のひらの上で踊らされているかのようです。次の曲に行きますか。

そうですね。次は、Parannoulから「Escape」です。

――Parannoulですか。確か韓国のアーティストですよね。

そうですね。自分も詳しい事は全然知らず申し訳ないのですが、韓国の宅録アーティストという認識です。去年2ndアルバム『To See the Next Part of the Dream』が、色んな方の年間ベストに入っていた印象です。情報はこの辺ですかね。

――シューゲイザーなんですね。確かにかき鳴らしたようなギターが印象的です。

ギターの轟音がめちゃくちゃ良いですよね。この曲もギターはもちろん良いんですが、個人的にはドラムの音もかなり好みでした。特にスネアの音は、どう表現して良いのか分からないのですが、力強さを感じる音ですし、曲の中でも、リズム隊とギターの合間を打ち抜く重要な役割を担っているように思います。

――普通にドラム叩きまくってますもんね。

ですね。この曲は、「White Ceiling / Black Dots Wandering Around」というEPの1曲目なので、こういうスネアの音が基本なのかと思ったら、他の曲は全然違う音だったりしたので、意識した音色なんでしょうね。

――EP良さそうですね。6曲入りですし、サクッと聴けそうです。

自分もそう思って前半3曲はこれは良いなぁと思いながら聴いていたんですが、後半3曲はいきなり長くなるので要注意です。4曲目は17分あるので、宇多田ヒカルも驚きでしょう。でもめちゃくちゃ良かったので、時間があるときに是非聴いてみてほしいです。

――なるほど、ちゃんと時間を取って聴いたほうがよさそうですね。次の曲に行きましょう。

次は、 Daoko & Yohji Igarashiから「escape」です。

――あのDaokoですか。Yohji Igarashiは、電波少女をプロデュースしたりぷにぷに電機とコラボもしているプロデューサーですね。あ、あと小袋成彬も参加してるんですね。

そうですね、Daokoと小袋成彬は前にも「御伽の街」で一緒にやっていたと思いますが、それを彷彿とさせるようなダンスチューンになっています。

あとこの曲は"小袋成彬、Yaffleが主宰するTOKAとフジパシフィックミュージックの共催によるコライト企画「TOKAソングライティング・キャンプ」でのスタジオセッションにて生まれた"らしく、制作背景も興味深いです。

――この曲はどんなところが良かったんですか?

よく理解できないところですかね。

――????

正直Daokoの前作を聴いたときも思ったんですが、ミステリアスで良く理解できていないんですよ。自分の中ではまだ水星や打上花火の印象が残ってしまっている。でも、数多くのアーティストがDaokoとコラボをしているという事実があり、今作もこんな攻めたダンスチューンをやっている。自分の中では、この文脈が消化しきれていないんですが、それが逆に興味をそそるんです。一体Daokoには何があるのか。

――なるほど、そういうことなんですね。

正直好みかというと、そうでもないです。ヴァースにちょこちょこ小袋成彬っぽいラインがあったりするのは気になりますが。なので、マンスリーベストには選ばないと思うんですが、だからこそ、ここで書いておきたいと思いました。

――この企画の意義がありますね。

そうですね。好みとは外れていても、気になる曲やアーティストって結構いますから。

――では、最後の曲をお願いします。

最後は、かなり前の曲です。2016年ですね。
Via tovから「a part of nights」です。

――大分前ですね、どうして選んだんですか?

話は戻るんですが、Bialystocksを聴いたときに、この感じどこで聴いたんだろうか?と思って、過去に聴いたアーティストとかをひっくり返していました。結局ばっちりイメージと合致するアーティストは見つからなかったわけですが、その中で、そういえばこの曲めちゃくちゃ良いよなということで、思い出したんです。

――なるほど。

タイトルから想像できる通り、夜に似合いすぎる曲で、一時期Spotifyの夜系のプレイリストに入っていたような気もします。とにかく夜です。そして、ボーカルの強めのオートチューンがめちゃくちゃ良いです。

ピアノ、ベース、ドラムというシンプルな構成で作り上げられる、ゆっくりとした夜の時間。その時間の中で鳴る音色の優しさが、オートチューンの揺らぎと混ざり合いながら、景色に溶け込むようです。夜風にあたりながら、散歩しながら聴くと、相当遠くまで連れて行ってくれそうな曲です。

――これは本当に夜がぴったりくる曲ですね。

自分がこれまで聴いた曲の中でも、ここまで夜がぴったりくる曲はそうないと思います。Via tovの活動は軽く調べてみた感じ、ちょっと止まっていそうですが、いつかライブも観てみたいですね。良い空間に違いないと思います。

――間違いないですね。では今週はこんなところですね。最後におまけをお願いします。

今週のおまけは、今週からスタートしたポッドキャスト「APPLE VINEGAR -Music+TALK-」です。

――おー、そんなポッドキャストが始まったんですね。APPLE VINEGARってアジカンの後藤正文が立ち上げた作品賞ですよね。

そうですね。だから自分は最初このニュースを観た時に、APPLE VINEGARの賞に関するポッドキャストを始めたのかと思ったのですが、全然違いました。ここでは、こう書いてあります。

ポッドキャスト『APPLE VINEGAR -Music+TALK-』は、後藤が2018年に立ち上げた新進気鋭のミュージシャンが発表したアルバムに贈られる作品賞『APPLE VINEGAR -Music Award-』を紹介するとともに、今気になっている音楽や音楽にまつわる様々なトピックを音楽仲間と語っていこうという番組。

後藤正文と3名の音楽ライター、小熊俊哉、つやちゃん、矢島由佳子というレギュラー陣と、時にはゲストを迎えての音楽談義を通じて幅広い視点で音楽トピックや楽曲を紹介する。

――APPLE VINEGARに限らず、音楽について広く語るってことですね。

そうみたいです。めちゃくちゃ良いなと思いました。もっと音楽について語る場があっていいと思うんですよね。自分は人とのコミュニケーションがそんなに得意ではないのですが、気楽に音楽について語る場が欲しいなと思うこともよくあり、こういう記事を書いていたりもします。

――そうですね、音楽について話すのって楽しいですからね。なかなかそういう場を作るのは難しいと思うのですが、そういう話を聴ける機会があるだけでも大きく違うと思います。

まさしくその通りです。ここで話されていることを起点に話が出来たりするかもしれないですしね。

――第1回から良い雰囲気ですね。そしてついに、つやちゃんの声を初めて聴く機会にもなりました。

初回はあまり話さないなと思っていましたが、最後に全部掻っ攫っていった印象があり、流石でした。今後つやちゃんがどんな話をしてくれるのかもめちゃくちゃ楽しみです。ちなみに、自分は最近までつやちゃんの名前の由来も知らなかったですし、普通に女性かと思っていたので、びっくりしました。まぁ最近のインタビューを読んでいて、なんとなく感じ取っていた部分もありますが。

――どういう背景かについて多くは語られていないので、勝手に色々語るのは良くないと思いますが、「つやちゃん」というハンドルネームを使うことで、性別も年齢も超えた活動になっている点は非常に興味深いです。

そうですね。ここで語られていた話ですね。この辺りも戦略的にやっているのかとか、いつか聴いてみたいところです。

とにかく今後もこのポッドキャストは要注目です。聴くポッドキャストがどんどん増えて大変ですが、嬉しい悲鳴です。

――今週はこんなところでしょうか。

そうですね。もうちょっと各曲について、良さを言葉で尽くせるようになりたいなと思いましたね。まぁいつも思うことですが。

――この記事から新しい音楽を聴く機会になってくれたら嬉しいですね。ありがとうございました。

ありがとうございました。次週もよろしくお願いいたします。

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