見出し画像

最後まで正しく文章は読んでもらえない

最後まで文章を読む人は思ったより少ない。

昔から気になっていることがあって、自分でも色々試してみたことがあります。「最後の一行まで、正しく意味を理解しながら文章を読むかどうか」。

最初に気がついたのは20世紀末です。

199x年から21世紀初頭にかけて、Internet 老人会のみな様は、よくご存知のとおり「個人ニュースサイト」が流行っていました。その後に来たのは「テキストサイトブーム」ですね。侍魂とかです。当時のニュースサイトの大半は化石となりましたが、「ナリナリドットコム」などは未だにニュースサイトやっていて、ホントびっくりです。もう20年ですよ、頭おかしい(褒めてる)。Amazon.com が生まれた頃から Internet で遊んだり仕事をしていた身としては、雑なblogサイトを作る前に、UG系とか個人ニュースサイト(どれもこれも、もう内容は言えないようなやつ)をやっていたのは、当然の成り行きです。

当時のニュースサイトの大半は、コメントをつけられるようなものではありませんでした。記事毎にちまちま htmlを書いている人が多い時代です。また、まだblog などというものもなかったので、pinback されるようなこともなく、Google も無名でエゴサーチも厳しい時期でした。そのため、自分のサイトの評判や批評を得ることは、まだ難しかったのです。

当時はまだ、NetNews やあめぞう、あやしいなどの掲示板での交流が主な時期です。そういったところを眺めていると、人気のニュースサイトの記事などを引っ張ってきて「バカだ」の「アホだ」の「氏ね」だのいう輩が、今と同じようにいました。自分のサイトを眺めているだけでは、どのようにみんなに思われているかは分かりづらかったのですが、こういったサイトへ行けば、情報を得ることができたんですね。ただ、掲示板でネタにされるサイトのほうが少なく、ほとんどは「みんなどう思ってんだろう...」みたいな気になって運営していました。一時期、同じWebサイトを見ている人同士でchatできるようなツールもあって、それで情報交換をしていた時もありましたね。そこでは、批判的なものよりも、好きな人達が集まってワイガヤしている素敵な時間でした。

当時の個人ニュースサイトの大半は、ニュースに対して、ちょっとしたコメントを載せてシェアするだけのものが多数を占めていました。一次ソースのニュース記事を見ないと、意味がわからないこともあります。しかしながら、そのコメントしか見ないで、あさってのコメントを残していく香具師(やし、ヤツが転じてここまで変化するさまは、いまあんまり見ねぇですな)がのさばってたわけです。ひどいものは、そのニュースサイトに書いてある5行程度のコメントすら読まずにタイトルだけで罵るようなものもいました。2chの某VIPあたりは「3行しか読めない」だの言われていたわけです。

時代は移り変わり、そこら中にコメントが残せるようになって、双方向でのやり取りが基本になってくると、謎のコメントを残す人たちが増えてきました。いや、可視化されました。そもそも読んでいないだろう人。日本語が難しくて、理解できていないだろう人。元の文章がわかりにくくて、誤認している人。さまざまなバイアスがかかっている人、立場上、元のメッセージングを捻じ曲げて伝えたい人。わざと曲解させたい人は省くとして、文章を読まないのは、そもそも読まないのか、文意を理解する能力がないのか、長いから読まないのか、文章の構成が悪いのか、書き方が悪いのか。さまざまな理由があると思います。「言葉の通じない人」というケースもあるでしょう。

わたしがblog や note、Twitter や Facebook などで文章を書くとき、いくつかの構成で文章を書いて、そのリアクションを見ています。性格が悪いので、こういったことをひっそりやってしまうんです、ごめんなさい。数値的な検証の元ネタとはなりませんが、傾向はわかってきています。わかってきたことと言えば。

1. 結論は最初の行に書いても伝わらない時がある
2. 短くても、最後の行まで読んでるとは限らない
3. 長文のオチはほとんど伝わらない

落語や物語は、オチが決め手だったりします。途中にさまざまな伏線を張り続けて、秀逸なオチが待っていることが望ましいです。「終わりよければすべてよし」なんて言われますよね。しかし、まぁ、どんなに素晴らしい評判の映画でも、オチを理解していなかったり、オチをそもそも見ていなかったりします。原因として「長すぎる」とか「レベルが違うから伝わらない」なんてこともあるでしょう。まぁとにかく長いと人は寄ってきません。ここまで読んでくれている人も、多分 30%くらいじゃないかと思うわけです。個人の文章で 1,000文字(否 3行か)超えたら、大半の人は、ファンでもない限りは読まないんです。

読み手側だけの問題ではもちろんなくて、書き手側の問題も多分にあります。長くても、構成がうまく立てられていれば最後まで到達しやすいですし、文章が平易だったり軽妙であれば、最後まで読み進めやすいものです。日本人の大半がパラグラフ・ライティングすらできていないので、ポイントを掴んでいくことも困難な文章も散見します。もちろん、自分がそこまでできてるかって言うと「(>'A`)>ウワァァ!!」ってなりますけど。

とは言え、書き手がいくら頑張ったところで、どうやっても理解してもらえない人が一定数存在しています。書き手としては、自分の文章の構成を反省するとともに、これらの点も理解した上で、今後の判断材料にしたほうが良いかなと思う次第です。

貴方がサポートしてくれると、私が幸せ。 私が幸せになると、貴方も幸せ。 新しいガジェット・ソフトウェアのレビューに、貴方の力が必要です。