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大学で法学を学んで衝撃的だったこと ――多数決は正しさを示さないということ

■随分と前の話

実は,言いたいことはタイトルに書いたことにつきておりまして,もう話は終わっているのですが(笑)。


随分と前に,世間知らずの子供が法学部に入りました。その子供は,大学で色々と学ぶ中で,ようやく,初めて気づいたのです。

「多数決で決められた事項が,『正しい』事項である確証はない」


当たり前のことですよね。

ですが,当時の私は,

「多数決で決められたことは『正しい』ことだ」→「『正しい』ことには従わねばならない」

と当然のように考えていたのです。


冷静に考えれば,上記命題(?)には色々な疑問点があります。

――そもそも「正しい」とはどういうことなのか?
――「正しさ」を民主的な手続で決定することはできるのか?
――多数決というプロセスとその結果が意味することは何なのか?
――なぜ,現在,多くの国家では多数決制度が採用されているのか?

これらの問題についてちゃんと考えるには,哲学,論理学,歴史学,法制史など様々な学問を修めなければなりません。

その意味では,大学入学後に,私が,上記命題の不完全さに気づいたことは幸いだったのかもしれません。
なぜならば大学であれば,手を伸ばせば,簡単に諸学問にアクセスできるからです(実際に私が手を伸ばしたかどうかは別の話です(笑))。



■余談

ちなみに,この文脈の1つに,憲法があります。

多数決によっても侵すことができない権利や利益を定めたもの。それが憲法です。

だからこそ,多数決によって制定される「法律」は,憲法に反することができません。

義務教育の中でも学ぶ,ごく基礎的な知識なのですが,時々,これを忘れておられるかのような政治家のご発言に接することがあり,大変残念に思います。

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