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シリーズ平成事件簿 #1 しぇしぇしぇ男

こんばんは、俵省太郎です。

平成二十六年十二月、東京・世田谷区のアパートで危険薬物を使用した男が隣人女性にナイフで切りつけたこの事件、幸い女性は命に別状なく男は傷害の罪に問われた。

しぇしぇしぇのしぇー、意味不明な言葉と両手でピースサインを高速で何度も繰り返し行うという奇怪な行動により、マスコミ各社は「しぇしぇしぇ男」として報道。当時危険ドラッグが社会問題となっており、薬物により人がこのように変貌する姿は日本中に衝撃を与えた。

裁判で懲役二年六ヶ月の判決が下され、おそらく事件から五年経った現在は、刑務所から出所し社会生活を送っているものと思われる。

私は、平成に起こった事件で、どれが印象に残っているかと自問自答したとき、迷わずこの事件が頭に浮かんだ。勿論その他の大事件と比べると小さな事件かもしれないが、何故この様な人間がいるのか、どうやって生み出され、どこへ行こうとしていたのか、私は、あの、しぇしぇしぇのしぇー、と両手ピース連打を見たとき、人間を見る目が自分の中で変わったように感じた。

私に子供はいないが、兄の甥っ子、または姪っ子、甥っ子姪っ子に子供ができたら、その子が中学生、高校生になったら、この事件のことを話したいと思う。
私が年老いて衰弱し病院のベッドで寝たきりになっていたとしても、看護婦さん、甥っ子たち、そしてその子供たちを呼び、例えかすれゆく力なき声であったとしても、この事件のこと、人間について、語り聴かせたいと思う。

昔、随分と…昔に…なぁ… … …

と。

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