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クラシックへの重い扉が開かれる?水野蒼生 / VOICE - An Awakening At The Opera -


今、私の人生史上、最もクラシックへの扉が開かれている
それは水野蒼生さんのVOICEという素晴らしい作品に出会えたから


クラシックは私にとって最も縁のない音楽ジャンルだった。
結構、そういう人多いんじゃないかな?


子供の頃、音楽の授業でふれることはあっても、我が家にはピアノもないし、姉がエアロスミスやBOOWYをラジカセから流している環境では、ロックに目覚めるのが普通だったと思う。若気の至りというか、クラシックなんてボンボンが聴くものでしょ?という偏見すら持っていたように思う。

大学生以降、多種多様な音楽を聴くにつれ(自己紹介文でふれております)、上記のような偏見はなくなり、クラシックへの興味は心の奥底に脈々と蓄積されていったものの、いざ聴こうと思っても何から聴けばよいのか見当がつかない。

そもそも、周りにクラシックに詳しい知り合いもほぼいなかったし、ポップスやロックと比べ、圧倒的に自然と入ってくる情報量が少ない。

それはそうだ。親の影響、もしくは自身がピアノやヴァイオリンといった楽器を小さい頃から嗜んでいる人以外で、クラシックを本格的に聴いている人なんて見たことも聞いたこともないのだ。

とにかく聴くにあたってハードルが高かった。
受動的に入る情報量の少なさ、約400年というとてつもない歴史、1つの曲でも演奏家が無数に存在して、誰のどの演奏を聴けばよいのかわからないこと、まずは生で体験しようと思ってもコンサート代が馬鹿高いこと、上げればきりがない。


しかし、幾度か阻まれた私のクラシックへの扉
はあっさりと開かれようとしている


2021年3月、ふと水野蒼生「VOICE -An Awakening At The Opera-」という作品が目についた。正直、水野さんの事は存じ上げていなかったが、小田朋美、ROTH BART BARON、君島大空といった馴染みのあるメンツが参加している触れ込みもあり、軽い気持ちで聴いてみた。
※水野さんは指揮者であり、世界唯一?のクラシカルDJである。


度肝を抜かれた。


クラシックなのにクラシックではない感覚。


馴染みのあるメンツが参加していることによる安心感もあるとは思う。でも全体的にクラシックの伝統が持つ美しさはありながらも、現代のポップス、ロックに通ずる聴きやすさがあるのだ。

クラシックの影響を受けた作品はたくさんある。
QueenやVan Dyke Parks、Judee Stillだってそう。
でも、それってあくまでもロックやポップス、フォークといった範疇でクラシックの要素を取り入れている(影響が見え隠れする)もの。
最近だとポストロック&ジャズといった趣のアーティストにクラシック要素を感じる事もある。
あと、ハードロック、ヘヴィメタルの世界でもクラシックの影響は絶対に外せないはず。

でも水野さんのVOICEはあくまで純度100%のクラシック。
マッシュアップ等はされているが、取り上げられている曲自体は純粋なクラシックだし、そこを現代のロックやポップス畑で活躍する人脈をうまく頼って、私のような人にまで届くものにしているという点で画期的だと思う。

少なくとも私は今までそういう作品に出会った事がなかった。


もう一つ重要な点
私達と同じ共通言語を持っている事


ラジオ番組SONAR MUSICのナビゲーターである「あっこゴリラ」さんが何回か口にしていた【私達と同じ共通言語を持っている】という言葉。
ほんとその通りだな~と思った。

先にも述べた通り、クラシックは約400年もの歴史があり、何から聴いていいか分からないし、そう簡単にディグれないわけ。
クラシックの有識者の話や著書を見ても、何かお堅い感じというか、敷居の高さを感じて、クラシックの入口から更に遠のく。

でも水野さんは、【ベートーヴェンは世界初のロックスターだとか、この曲はブチ上がるとか、ディグる】とか普通に言うんです。

なんか親近感わきません?

普段ロックやポップス中心に聴いている人と同じ共通言語を持っているんですよね。
つまりは、作品だけでなく、水野さんの存在自体がクラシックへの入口を広げる要素になっていると思う。

水野さんのspotifyプレイリストを拝見すると、クラシック以外にもジャンルの隔たりなく、多くの音楽を聴かれていて、視野の広さを感じる。
でも各SNSや媒体の記事なんかを見ると、クラシックをもっと多くの人に聴いてもらいたいという情熱もビンビンに伝わり、こちらまでワクワクしてくる。

はて、そうして、VOICEというクラシック作品には夢中になった私ですが、結局、約400年というクラシックの大海原をどう渡っていけばよいのか?は解決していない。でもこの点も一つの解決案を水野さんは提示してくれている。


作曲家や曲ではなくて現役の演奏家=アーティスト
を追いかける


なるほど。これなら今からクラシックの大海原に飛び込もうとしている私でも大丈夫そうだ。とりあえず水野さん以外にもお気に入りの人を探そうということで、ちらほらチェックしたが、結局、水野さんお勧めのヴィキングル・オラフソンにはまってしまった(笑)
EPでは明らかに純クラシックではない実験的な音楽もやっていて胸熱。
詳細は水野蒼生さんのnoteを


実は2021年上半期アルバム〇〇選を書こうと思っていたんですが、聴きなおす中で、気づいたら思うがままにこの駄文を書いていました・・・

私の文章は駄文ですが、水野さんのVOICEは本当にお勧めできる。
特に私と同じような音楽遍歴の方には一度耳にしてほしいと思う。
私にとっては、ゆくゆく振り返った時に、音楽リスナー人生の重要な1枚になる、そんな予感しかない。

ちなみにこの作品を気に入れば過去2作も面白いので聴いてみてほしい。


最後に・・・



どんな形であれ

水野さんがフジロックやサマソニといった大型ロックフェスに参加し

ベートーヴェンの曲でオーディエンスをブチ上げている様を

想像してニヤニヤしてしまう

きっと実現すると思ってる




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