「えびすくい音頭」の魅力に迫る!(原稿再録)

(本原稿は今年の10月にメルマガ・歴史新聞双方に掲載した現行の再録です。)

ーーーーー以下内容ーーーーーーーーー
【えびすくい音頭の魅力に迫る!】

読者の皆様は「えびすくい音頭」をご存じでしょうか?
大河ドラマ『どうする家康』をご視聴であれば「えびすくい」という単語にピンとくるかもしれません。
ことあるごとに劇中登場し、松潤家康に呆れられつつも家臣たちに踊られてきた賑やかな舞い。
瀬奈が亡くなったあとの「ぶらり富士遊覧」回では”闇落ち”した殿自らも披露して、
ジャニーズで鍛えた?体幹を活かしたキレッキレの踊りを披露して話題になりましたね。
実はこの愉快な踊りはドラマの完全な創作というわけではなく実際に踊られたことが記録として残されています。

○史実としての「えびすくい」
この踊りを始めたのは後に徳川四天王と呼ばれる重臣酒井忠次でありますが、
天正14年(1586)には家康が北条氏政を訪ねたときの酒宴で「忠次が海老すくいを踊った」という
逸話があるとのことです。えびすくいはどじょうすくいを彷彿とさせる珍妙な御座敷芸だったそうで、
新潟市には狂言のひとつとして「海老すくい」が伝わっていたとの紹介があります。
(出典:『庄内藩酒井家』,佐藤三郎)
また別の資料には天正3年(1575)三方ヶ原に敗れ気を落とす諸将のために
家康が忠次にえびすくいを命令したとの話も伝わっています。
非常に滑稽な踊りで家臣たちの気を陰から陽へと転換させたとのこと。
その他長篠の戦いの際に信長の前で踊った等々、ことあるごとに踊られていたのが「えびすくい」なのです。

○現代の「えびすくい音頭」
そんなえびすくいが本来どのような型であったのかまでは現存していませんが、
今回大河ドラマに合わせて復活させたのが愛知県岡崎市の本多秀行氏。
最近NHKでも紹介され、愛知県を中心に話題沸騰中の「えびすくい音頭」であります。
氏によればこの歌は「陰と陽を意識して静かなパートと賑やかなサビ部分で磨かれ作られている」そうで、
大河劇中のえびすくいの動きとも矛盾が出ないよう工夫をして作られた曲とのことです。
岡崎ではQURUWA(くるわ)盆踊り会が中心となりこの曲を盛り上げていて、
今夏は岡崎の至る所で「えびすくい音頭」が披露されました。
筆者である私盆踊りDJ鈴木も上野不忍池の夏祭り(不忍夢)にてこの曲を踊らせていただいたき、
そちらのご縁で「江戸ー岡崎」の”盆踊り交流”も開始されることになりました。

○”酒井忠次”からみたえびすくい音頭
最後に、各所で酒井忠次を演じている皆様からみた「えびすくい」話を拾遺します。
先日山形県鶴岡市で行われた大河トークショーでは忠次役の大森南朋さんが
「どうなの忠次」という質問コーナーでえびすくい秘話について熱く語っていたそうです。
こちらがどんな内容だったのか…激しく気になります。
また、本誌おなじみ岡崎市公認の大河応援コミュニティ「どうする岡崎家臣団」の
ファンミーティングでは葵武将の忠次公も降臨され、
その際には「おとこ踊りは海老の気持ち、おんな踊りは掬う側の気持ちで踊るとよい」
というアドバイスを頂きました。

大河コミュニティでは音頭制作者の本多氏とも連携しながら、
年末の紅白出演を目指そう!という動きも起こりつつあり、
今後ますますの人気沸騰が予想される「えびすくい音頭」
YOUTUBEにて踊り動画が確認できるので読者諸氏もぜひ一度ご確認いただきたい。

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