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<ない>ものを見つめるということ――角田光代さん×姫乃たまさんトークセッション

2023年2月23日に、芳林堂書店高田馬場店8Fイベントホールにて行われた、『永遠なるものたち』発売記念イベントでの対談をお届けします。角田さんとたまちゃん、と呼び合う二人には、どのような関係(接点)があったのでしょうか……? 秘密はレモンサワーにあり……⁉ 不思議なリズム感で繰り広げられるトークセッションをぜひお楽しみください。

角田:今日はよろしくお願いします。
姫乃:角田さん! なんと、私今年の4月でこの仕事15年目になるんですけ  ど……きょう初めて人前でズボンをはいています!
角田:えっ、そうなの(笑)。
姫乃:そうなんです。すごい、今、私だけが恥ずかしいんです。照れます。
角田:何か理由は?
姫乃:いや、本も出たし、きょうは角田さんと対談だし、作家っぽい格好をしてみようかなと。
角田:ズボンが?
姫乃:そう。作家っぽいって何だろうって考えたときに、角田さんがすごく丁寧な暮らしをされているのを思い出して、丁寧な生活……これは無印良品かなって。はじめて無印良品で上下買ってみました。
角田:じゃあコスプレ?
姫乃:コスプレです。
角田:たまちゃん、いつも変な服着てるのに(笑)。この前は何て書いてあったっけ?
姫乃:この前、デスマッチって書いてあるワンピースで、角田さんと飲みに行きました。
角田:ぬいぐるみが入ってる服みたいなの着てたよね。今日は静かな格好で。
姫乃:作家のコスプレでございます。照れます。

ぎょっとするほど服問題

角田:たまちゃんはいつから仕事してるんですか?
姫乃:16歳からで、今年で15年目になります、。今年の4月で14周年です。
角田:たまちゃんと私、結構前から知り合いなんですけど、会っても会っても会っても会ってもたまちゃんがずっと20代なので。
姫乃:おかしいな。
角田:永遠の20代みたいに思ってて、ようやく30歳に。
姫乃:30歳になりました。
角田:30歳って、すごいことだと思う。私、今年がデビューして33年目なのね。
姫乃:ぞろ目、すごい。
角田:だからたまちゃんが人のおなかに入るより前から。
姫乃:うちの両親が出会ってないですね。
角田:すごいですね、そう考えると。
姫乃:すごいことですよ!
会場の後ろに角田さんの著作の一部が並んでるの見ると、本当にすごいなって思います。これで一部なんだって。私の本は全然重版かからなくて、どんどん絶版に近い状態になってるので、今日は新刊以外は写真集しか置けない状態になっています。結構いろいろ本を書いているんですけど、尻が出てる写真集しかここでは売ってません。書店員さんにも「たまさんの本、出版社に問い合わせても無いんですよね」って言われました。
角田:恐ろしい。
姫乃:今回の『永遠なるものたち』は重版かかってほしいですね。。
角田:かかるんじゃないですか。
姫乃:もはや販売好調でなくてもいいから、かけてほしいですね。社長と飲み会とか行ったら、かけてもらえるとか。どんどん飲んでもらって、じゃあそろそろ重版していただいて……みたいな話は。
角田:(笑)、いや、でもご本、非常に面白く読みました。
たまちゃんって感覚が独特で、エッセイとかだとそれがよく出ていると思うんですけど、ある意味非常にものごとに対して誠実じゃないですか。誠実さがあって、それがどうしても文章ににじみ出てきますよね。
姫乃:ありがとうございます。
角田:お話しててもそうなのですが、たまちゃんが20代であることが不思議なくらい、どこか老成した部分を感じてました。それで会うたびいつも「何歳、何歳なんだ?」って聞くんですけど「20代」って答えるので。20代にしては『永遠なるものたち』、失われたものに対する感覚、そういう物を捉える感覚みたいなのが非常に老成してるなと思うんですよね。
姫乃:よく守護霊でおじいちゃんがついてるって言われるので、もしかしたらそのせいかもしれない……。
角田:この中の最初のエッセイで、自分のいないところに行きたいっていうのがあるじゃないですか。自分じゃない誰かになるっていうことに対する気持ちみたいなのが、実は私もある派なんです。だからすごくよく分かりました。
姫乃:角田さん、ありそう派ですね。
私もちっちゃい頃、将来絶対他の誰かになるんだろうなって思ってたので、「自分として生きていかないといけないんだ」って気づいたとき、すごいショックでした。そうなの? みたいな。ずっとこれ? みたいな。ずっと私として生きていくんだって思ったとき、結構ショックでしたね。
角田:それはすごい分かります。私も服を買うときに、AとBとあったときにどっちを選ぶっていったら、自分が着なさそうな物を選ぶんですよ。
姫乃:それ、面白いですね。
角田:たぶん、それは自分じゃないほうになりたいというか、たまちゃんの言う、自分のいない世界に行きたいっていう気持ちだと思うんですけど、自分ならこっちは絶対買わないなとか絶対着ないなっていうのをよく買います。
姫乃:これ女性あるあるだと思うんですけど、30歳になった途端に20代のときに着てた服が一気に似合わなくなる問題があって、今、すごい服が余ってるんで、角田さんにあげます。
角田:デスマッチとか?
姫乃:いや、デスマッチはまだ着るんで、ぬいぐるみが埋まってる服とか、角田さんにあげようかな。
角田:たしかに絶対着なさそう!
姫乃:そうですよね。ワンちゃん埋まってるやつとかクマちゃん埋まってるやつとか結構あるんで、角田さんに差しあげます。
角田:でも、もうちょっとだけとっといたほうがいいですよ。34~35歳ころになったときに、ぎょっとするほど服問題が大変なことになるので。
姫乃:また?
角田:たぶんその頃に相当変わっちゃうから、そのくらいまで持っておいて、でもそれで終わりかなと思うと46~47でもう一回来るから。
姫乃:さらに? めちゃくちゃ面倒くさいですね。
角田:そうなんですよ。
姫乃:いつかデスマッチをあげる日が来るかもしれない。角田さんに。

運動、やめるの怖い

角田:デスマッチはとりあえず置いておいて(笑)、たまちゃんの本の中で、自分の魂と体を分離して考えてるじゃないですか。お洋服の話じゃないけど、それもすごい面白いなっていうか、たまちゃん独特の感性だなと思って。体が乗り物で、私たちが現実で旅をするための乗り物という捉え方が私は非常に面白くて。本の最後の方でにライブの感動って何だろうって考えるところがあるじゃないですか。
姫乃:コロナ禍になってライブハウスにお客さんが入れなくなって、ライブって何だったんだろう?っていうのを考える話ですね。
角田:あのとき、あれは結局体が鳴っているから、そしてみんなが体を持ってそこにいるからだ、というお話で、それを読んで、私、自分でもびっくりするぐらい感動して、そうか……と思って。気づきがありました。
姫乃:ありがとうございます。
この本は最初、体と精神が分離してるところから始まって、だんだんそこが一致してくる流れがあるんです。私もともと運動を全然しなかったんです。この本には直接書いてないんですけど、ヨガを始めたりとかキックボクシングしたりとか、そういうことが執筆を進めている背景にあって、だんだん心と体が一致してきた感じがすごくあるんですよ。それがこの本を通して見えてくるっていうところがあります。
角田:ありますよね。
姫乃:角田さんもすごい運動されますもんね。
角田:嫌々ね。
姫乃:嫌々やってるんですか。
角田:嫌々やってます。
姫乃:書き続けるために運動って大事ですか。
角田:そのつもりはないんですけど、30代の半ばから運動をするようになって、運動を始めるとどれだけ嫌でもやめるのが怖くなるんですよ。
姫乃:やめるの怖いって書いてましたよね、本に。
角田:やめどきが分からなくなって、やめるためにものすごい覚悟が、始めるよりもっと大きな覚悟が必要になって。その覚悟と向き合う勇気がなくてだらだらと。
姫乃:ずっと走ってる。
角田:そう。

書かないことって難しい

姫乃:それはでもすごい分かります。そのエピソードが登場する角田さんの新刊『明日も一日きみを見てる』。タイトルがめちゃくちゃいいですよね。
角田:ありがとうございます。

姫乃:以前はTwitterで、愛猫トトちゃんの様子が見られたじゃないですか。でも角田さんがTwitterをされなくなってしまったので、トトちゃんの近況が入ってこなくなってしまった。だから、書店で表紙を見つけたときにトトちゃんだ!と思って。トトちゃん、今買うからね!みたいな。
角田:ありがとうございます。
姫乃:グラビアが載ってるんですけど、凛々しいんですよ。すごいかわいい。ぜひ見てください、皆さん。文章を頑張って書き続けてたら、自分の飼っている猫のグラビアをプロのカメラマンさんに撮ってもらえるんだなと思って、いいなって思いました。
角田:いや(笑)。でも、書かないことって難しいですよね。たとえば私旅行が趣味なんですけど、旅行を始めたとき、それこそ20代のときは、この趣味は趣味として純粋に取っておくから書かない、仕事のほうに明け渡さないぞ、受け渡さないぞみたいな気持ちがあったんですね。でも、結局書いちゃうし、そしてマラソンとかについても結局書いちゃうし、猫のこともただ愛でればいいのに結局書いちゃう。だから、書かないで取っておくみたいなものが……。
姫乃:あれですよね。恨み節とかですよね。
角田:恨み節とかはそうですよね、あまり書かない。あと、このジャンルは書きたくないなとか。でも、私とは違ってたまちゃんって自分で仕事してるじゃないですか。
姫乃:自分で?
角田:人前に出てらっしゃる。だからこれはイメージとして書いたりするのは違うなとかはあるんですか。
姫乃:もともと地下アイドルだったのもあって、最近結婚したんですけど、夫のこととかを書くと、死んでしまうファンの人がいるのではないかと思って、あんまり書かないようにしてます。
角田:でも結婚したことは隠しはしない。
姫乃:それはちょっと不誠実かなと思って、公にしたんです。あまり夫がプライベートを出さない人っていうのもあって、それで書かないというのもありますね。でも本当は書きたい(笑)。
角田:書いたら面白そう。
姫乃:トトちゃんのエッセイ読んでて、私も書きたいなってすごい思いました。家でずっと見ている夫。
角田:分かんないじゃないですか。ほかの人がどういう暮らしをしてるのかなとかって。分からないことが書いてあると、面白いです。
姫乃:面白いですよね。分かります。でも書かないことでいうと、私、プロレス好きなんですけど、プロレスのことはあんまり書かないかもしれない。
角田:プロレス好きなんですか。
姫乃:はい。プロレスが好きなんですよ。デスマッチが好きで。
角田:それでデスマッチって書いてあった?
姫乃:そうなんです。服の自己主張が強い。
角田:でもそれは好き過ぎて書かないという。
姫乃:これは趣味にしておくぞっていう気持ちが強いですね。
角田:でも、エッセイも小説も書いてらっしゃるので、書くこと自体は全然苦にならないほうですか。
姫乃:文章書くのはそうですね。ずっと書いてても苦にならないんですけど、何を書くかとか、企画を起こすところがあんまり得意じゃないので、文章自体は書きたいんですけど、どうしようかなっていつも悩んでます。今もちょうど新刊が出たばっかりなので、次何しようかな……ってすごい悩んでるところなんです。
角田:『永遠なるものたち』はどうやって? こういうテーマで連載をしますというのは、どこから出てきたの?
姫乃:これは担当編集の方が決めてくれたテーマで、連載しませんか?とお声掛けいただいた時に、うーん、でも書くことがないと思って。それで「書くことないんですけど」ってお返事したら、「じゃあないものについて書きましょう」って言われたんです。
角田:すごいですね。
姫乃:編集者ってすごい。
角田:その編集さんがすごい。
姫乃:すごいんですよ。今会場の端っこでへらへらしてますけど。
角田:10人中8人ぐらい編集者に「書くことがないんですよね」って言ったら、そうですかって終わっちゃいますよね。
姫乃:終わりますよね。
角田:すごいいい編集さんだと思う。
姫乃:素晴らしい編集者です。
それで、ないものだったら書けるなと思って、私はないものいっぱいあるなと思って書き始めた感じです。

大人になるというのは、ものを触らなくなること

角田:たまちゃんが下北で子どもだったときの酒屋さんでの描写がありました。目線が低いからポスターのセロテープがかりかりになってた、という。あの描写がすごいと思った。素晴らしいですよね。
姫乃:ありがとうございます。
角田:その記憶も素晴らしいんだけど、それを感覚としてよみがえらせて書くっていうのが、あの描写は本当にすごかった。
姫乃:ありがとうございます。子どものときって何にでも触るじゃないですか。あれが記憶と密接に結びついてる感じがして、大人になるとあんまり物べたべた触らなくなるじゃないですか。だから記憶が薄くなっちゃうのかなってすごい思ってた時期があって、子どもの頃。
角田:でも、私はそんなに覚えてないから、非常に個人的なことなんだと思う。
姫乃:わあ、そうかー。そうなのかもしれません。大人になるって物に触らなくなることだなって、子どものとき思ったことがあります。
角田:確かにね。それはそうだ。
姫乃:あと記憶は早いほうかもしれないです。昔、両親と談笑をしてたんですけど、急に父親が「もうちょっとしゃべれるようになったらな、言葉通じるんだけどな」って言ってきたことがあって。え、いま、めっちゃ談笑してたじゃん!と思って、すごいショックだった記憶があるんで、たぶん、しゃべれないときから記憶があります。
角田:すごい。
姫乃:でも大人になって酔っぱらうと、同じことが起きるんですよね。すごい談笑してるつもりなんだけど、それさっきも聞いたなみたいなこと言われると、え、うそみたいな。
角田:でもそれを覚えてるって、すごいですよね。
姫乃:子どもの頃の記憶はありますか?
角田:ん~。2、3歳ころのは私にはない。あって、4~5歳くらいかな。
姫乃:それはどんな記憶ですか。
角田:スイカを食べてる記憶。たしか保育園のお泊り会みたいな場面で、スイカを食べてて、でもタオルを持ってこなかったので、すごいべたべたになって。どうしていいか分からないとかは覚えてる。
姫乃:それは、なんかいい記憶ですね。
角田:でも4~5歳くらいだったらたいていの人は覚えてますよね。
姫乃:でも男性の方って記憶遅い人多くないですか。小学校のことあんま覚えてないみたいな人に結構会いますね。
角田:そういう人は、でも長く生きてる人じゃない?
姫乃:そういうこと? 私が目上の人とばっかり付き合ってるから、そういうことになるんですか。
角田:だって私もだんだんぼやけていく。小学校のときの記憶がだんだん薄くなってくから、生きる年数に従って過去は薄くなって。
そしてそれこそ永遠なるものたちだらけになる。
姫乃:そういうものなのか。
角田:会場に出てくる前に控室で、「あそこの店にこういう美味しいお店があって」とかって話してたじゃないですか。でももうなくなっちゃって、って。同じようにあれもこれも走馬灯みたいに浮かんでは消えていく。
姫乃:死なないで、角田さん。走馬灯って、いま死んでるじゃないですか。
角田:でもそういうことが増えていくんですよ。

30代はどうでしたか?

姫乃:30代はどうでしたか。
角田:30代は長かった。
長くて、そして20代よりものすごい楽しかった。ていうか、20代がつらかった。
姫乃:でも20代って、作家デビューされて、割と意気揚々じゃないけど、これからいろいろ書くぞみたいな感じだったんじゃないですか?
角田:そんなに仕事がなくて。それで賞にいっぱい落ちて、落ちまくってて、それがすごいつらかったかな。
姫乃:なるほど。あちこちに投稿されてたんですか。
角田:いえ、デビューしてから芥川賞の候補にすぐなったんですね。でも落ちて。そんなことを3回ぐらい繰り返した。
姫乃:嫌になりますね。
角田:そう。他にも三島賞や、新人賞系の文学賞の候補になっては落ちてをくり返してて。そういうことが非常に多くてだんだん気持ちが鬱々としてくる。そういう20代でした。
姫乃:賞を受賞されるようになったのは、30代になってからですか?
角田:30代になって、書き方を変えたんです。
姫乃:どんな風に?
角田:量産するように、たくさん書くようにして。そっちのがたぶん自分にあってたんだと思う。
たまちゃんの30代がこれからなんて信じられない。
姫乃:まだ2週間ぐらいしかたってないですけど。
角田:30代、あと10年ある。
姫乃:どうなるんだろう? 
角田さんって、すごいちゃんと仕事されるじゃないですか。朝早く起きて。
角田:それがちょうど30歳からなの。30歳から9時~5時の生活にした。お弁当作って、残業なしで、土日休み。
姫乃:すごい。運動は?
角田:33歳から。そのとき失恋して、そしてボクシングを始めた。心を強くしようと思って。強い肉体に強い心は宿るかなと思って。
本当はスポーツクラブに行きたかったんですけど、家の近くになかったんです。歩いて行けるところじゃないと続かないかなと思って探したら、あったのがボクシングジムだったんです。それでそこに通うように。
でも心は強くならなかったですね。
姫乃:角田さんがマッチョになったら、著作の雰囲気が変わりそうですね。

長編作品を書くコツ

角田:何かありますか、30歳になったらこれをやるぞとか、これを変えようとか、生活スタイルを変えようとか、何か始めようとか。抱負的な。
姫乃:長編小説を書きたい気持ちがすごいあるんですけど、なかなか踏み出せなくて、20代のときもずっと書くぞ書くぞって言ったまま30歳になっちゃったんで、そろそろいいかげんにしたいなっていうところではあります。
去年、一昨年くらいで短編小説を何本か書いてみて、こういう感じかっていうのが分かったんですけど、長編にはなかなか踏み出せないですね。
どうしたらいいですかね。
角田:それは担当編集さんに締め切りを決めてもらえば。
姫乃:本当に締め切りないと書かないんですよね。
角田:全部の締め切りじゃなくて、30枚ずつとか40枚ずつを区切って、毎月とか2か月に1回渡すように決めてもらえば、それで嫌でも書くよね。
姫乃:締め切り、大事。
角田:あと長編は長いから一遍に書こうとすると時間もかかるし、途中で締め切りがないと、戻って書き直ししてみようかなとかなっちゃうじゃないですか。だから締め切り方式がお勧めです。
姫乃:分かりました。締め切りを決めます。そうします。
地下アイドルをやっていたので、小説にしても地下アイドル物でと言われてしまうのですが、卒業してから4年たっているので、いまさらな……という気持ちもあるんですよね。そういうこともあって、テーマもどうするか悩んでるんです。
角田:でも、たまちゃんにしか分からないこととか、ありますよね。その場にいた人にしか分からないことがあるからいいなと思います。
姫乃:そうか。経験を生かして書いていく。
角田さんはどうやって決めてらっしゃるんですか。
角田:書く物については、「こういうことを書いてください」って言われることもあれば、あとは媒体と1年間の連載という枠が決まっていて、でもテーマがない場合もある。そういうときは一生懸命探します。
探して、見つかるときもあれば見つからないときもある。
姫乃:見つからないと困りますよね。
角田:今、すごい困ってる。
姫乃:困ってるんですね。トトちゃんのことも書いてしまったし、悩みますね。

寝ている猫は世界中の音を吸い込んで、静かになる

姫乃:トトちゃんの本すごいよかったです。一章ごとのタイトルは「事件」って書いてあるんだけど、猫がいるとこんなに日常が穏やかになるんだなと思って。え、猫居るのにコロナ来るの……って気持ちになりました。猫居たら平和なのでは?という気持ちで読んでいるから、コロナが来るという現実に、すごい不思議な気持ちになりました。
角田:猫は音がしないから、音を立てないじゃないですか。犬は動くとカツカツって音がするけど猫は本当に静かなので、猫が寝てると家中の音が全部そこに吸い込まれていくぐらい静かになります。
姫乃:すごい。猫ちゃん、すごいですよね。猫って、猫によって違いがあるんだなと思いました。角田さんが愛情のまなざしを注いでいるから、トトちゃんの性格もはっきり見える。写真を見ても伝わってくるところがすごくあります。
角田:うちの猫すごい暗いんですよ。すごい性格が陰湿。猫ってこんなに暗いんだって思うぐらい、じっとりしてて。
姫乃:おとなしいですよね。
角田:おとなしいし、暗い。ちょっとした物陰からじっと見てる感じはする。
姫乃:嫌なことも、あんまりはっきり嫌って言わない。でも、やだなって顔をしている。
角田:そう。嫌なことをじっと耐えて、少ししてから隅っこで吐いてたりする。
姫乃:後から嫌だったなみたいな。いじらしいですよね。でも、すごい角田さんと相性がいい感じがします。
角田:うちみんな暗いから。私、子どものときに、それこそ記憶でトイレに行きたいっていうことが言えなくて、そのままお迎えのバスに乗ってしまったことがあるんです。
姫乃:大変。
角田:それで家に着いた途端吐いちゃったことがあって、そのときにトイレを我慢すると下から出るはずの物が上から出てくるんだって思ったんです。ある年齢になるまでそう思ってたのね。そういうことって言えなくて、言えなくて言えなくて我慢して大惨事になるみたいなことを話してたら、夫にも同じようなことがあって、言えなくて言えなくて我慢してみたいなことがあって。それが猫に伝わっちゃったっていうか、似ちゃったんだと思う。
姫乃:トトちゃんも両親に似てしまった。
角田:暗くて、言えなくて言えなくてその辺で吐いてる感じが。
姫乃:げーって吐いて。
角田:幼い自分を見るよう。
姫乃:かわいい。いいですよね。トトちゃん、そういう性格がいいんですよね。自分に似たかわいいものが嫌いなところとかも、すごいかわいい。実はすごい甘えん坊なんですよね。
角田:甘えん坊ですね。
姫乃:猫ちゃん。かわいい。でも、りりしい顔で表紙に写っている。

レジに人が並んでるだけで腹が立つ⁉

姫乃:そうだ。角田さんと初めて会ったときって、トークイベントでしたよね?
角田:そうだと思います。雑司が谷の。
姫乃:雑司が谷のトークイベントにゲストで来てくださって、そのときは小泉りあちゃんっていう、もう一人アイドルの女の子がいたんですけど。りあちゃんは全然文章書かない子なので、角田さんと2人してカルチャーショックを受けた記憶が。ええっ、文章書かないの?って。
角田:そうでしたよね。
姫乃:角田さんが「やなことあったときどうするの?」「誰にも見せられない日記帳とかないの?」って聞いてて、すごい面白かった。
角田:たまちゃん、日記つけてますか。
姫乃:私、つけてます。
角田:嫌なことが書いてある?
姫乃:やなこと書いてあります。つらかった。寂しかった。
角田:それを読み返すことはありますか。
姫乃:いや、読み返さないですね。角田さんは読み返しますか。
角田 そうね。それはそうだ、読み返す。そうすると長く生きてたほうが面白い、昔が。
姫乃:私、10年連用日記使ってて、去年とか一昨年とか10年前の自分とかが同じ日に書いてた日記を読めるやつ使ってるんですけど、あれすごい面白いです。
角田:同じ欄があるってこと?
姫乃:そうです。日付が書いてあって、10年分枠があるんですよ。たとえば今日2月23日だったら、同じページにあるから去年のも見られる。
角田:面白いね。
姫乃:すごい悩んでるときとか、いままでの人生でこんなに悩んだことはなかったと思って日記書いてると、去年の欄に同じようなこと書いてあったり(笑)。成長してないって思う。
角田:結構欄がちっちゃいと思うけど、そこに悩みとか書くの?
姫乃:だいたいは今日あったことが書いてあって、それがどうだったかを少し書いています。つらかった、悲しかった、寂しかったなど。前に5年もののを使ってて、いま10年用のを使っているので、15年近くつけているかもしれません。角田さんはどんなのを使っていますか? 
角田:私は四六判くらいの薄いもので、これまでに書いたもの全部取ってあって。読み返すと面白いですよ。
姫乃:怒ってるんですか?
角田:怒ってる、怒ってる。
姫乃:角田さんって、すごいフラットに仕事も生活もされてるように見えて、実はすごく悩んだりとか悲しい気持ちになったりとかされている?
角田:そうですね。基本的に怒ってますね、いつも。
姫乃:怒ってるんだ。悲しんではない。
角田:悲しまずに怒ってる。
姫乃:何に怒ってるんですか。
角田:もう全部。今は、怒ってないですよ(笑)。
姫乃:まさかの(笑)
角田:レジに人が並んでるとかだけで頭にくる。
姫乃:めちゃくちゃ短気じゃないですか。意外過ぎる。何で並んでるの?みたいな。
角田:そう。あとエレベーターが来なくても頭にきてるし。
姫乃:それは怒ってるっていうか、せっかち。せっかちなんですか。
角田:せっかちでもあります。でも、そうなるのが分かったから、必ず本を持ってるようにしてる。どこかに並んだりとか、地下に潜る長いエスカレーターとか、そういうところに乗るときに本を開いていれば怒らないって気づいて。読めばいいから。
姫乃:それですごい冊数読んでるんですね。
角田:そうかも。でも、だから本を時々忘れると、すごい腹が立つ。どうすんだよって。
姫乃:めちゃくちゃ怒りんぼじゃないですか。
角田:そうなの。
姫乃:でも著作読んでると、あまりそういう感じがしませんよね。
角田:自分がいかに怒りんぼか知ってるので、恥ずかしいじゃないですか。出さないようにしてるし、丸々としてるから私自身が、そんなに怒るように見えないじゃないですか。怒るように見せないふうにしていて。
姫乃:怒りを隠している。
角田:そういうの、何かないですか。喜怒哀楽だったら何が一番強い、自分の中で強いとか。
姫乃:哀しい、ですね。だいたい哀しいです。
角田:コンビニの列とか哀しい。並ぶことが哀しい。
姫乃:列は何とも思わないですよ(笑)。おばあちゃんが碁石置くみたいにパチンパチンってゆっくり小銭出してても、別に何とも思わないです。
角田:何とも思わないんだ。
姫乃:はい。
角田:エレベーター全然来なくても?
姫乃:大丈夫です。
角田:哀しくはならない?
姫乃:ならないですね。うちのおばあちゃんがエレベーターを呼ぶのがすごい苦手なんですけど、それをいつも思い出してほほ笑ましい気持ちになるんですよ。
 上に行きたいときに下を、下に行きたいときに上を押しちゃうんですね。何でなのかずっと意味が分からなくて聞いてみたんです。「何でいつも間違えるの?」って。そうしたら、「いま私は下にいます、上に行きたいです」って思いながら下を押していると。エレベーターを見るたびそのことを思い出すので、エレベーターが来なくてもあまりイライラしません。おばあちゃん、かわいいなって思う。
角田:哀しいのは、どういうときに?
姫乃:朝起きたら哀しいし、今日も私は私として生きていかなくちゃいけないんだって思って、哀しくて起きるのがつらいし。夕方日が沈むともう駄目だ、死にたいってなって。暗くなっちゃう、終わりだ、怖いよってなる。寝る前は寝れるかな、どうしよう? 眠れなかったら暗闇に1人のままだ。死にたいってなる。
角田:本当に? 暗いのが怖いの?
姫乃:暗いの、怖いですね。大通り沿い、お正月とかも暴走族がうおーって家の前を通るような所で生まれたのでにぎやかだったから、夜暗いとか静かとかすごい怖い。だいたい哀しいですね。
角田:日暮れ時はね。
姫乃:よく赤ちゃんが泣くじゃないですか。灯ともし時に赤ちゃんは泣くって言われてますよね。だから根源的な哀しみみたいのがあるのかな。
角田:ある。残ってるんでしょうね。
姫乃:めちゃくちゃありますね。だから赤ちゃんが泣いてるのとか、すごい分かります。赤ちゃん見ると、哀しいよねって思う。だいたい哀しいです。でも哀しいからこそ文章を書けるかなって思うときがあります。
角田:哀しみがあまりない人の文章だと、こんなにはすっと入ってこないだろうなとは思う。
姫乃:ハッピーだと文章書かなくていいかなって思います。ハッピーだったらもっと違う人生が待っていたかもしれない……。
角田:でも、たまちゃんって、歌歌うじゃないですか。歌を歌えたら書かなくてもいいとか思わないですか。
姫乃:思わないですね。文章が大事です。
角田:逆に文章をたくさん書いて、書けたら歌うのはもういいかとは思いますか。
姫乃:それは思っていて、地下アイドル卒業したときにもう歌はいいかなと思ってたんですけど、卒業してみたら意外と音楽やりたいなという気持ちが強くなって、それで今も音楽やってますね。
角田:どっちがどっちということはないんですね。
姫乃:そうですね。文章を書く行為って、自分の中で完結するじゃないですか。音楽って人と関わる仕事だから、世界とつながるために必要だなって思います。ライブとかやると、レスと言って、今は客席でおとなしくしている皆さんがすごい声を上げたりするんです。そういうのが大事。存在してるなって、いるな私みたいな気持ちになります。
角田:私はもし他のことができたら、たぶん、小説を書かないと思います。だから不思議。
姫乃:角田さんはボクサーにはならないんですか。
角田:無理でしたね。始めたのが33歳だし、もともと運動神経がないし、ちょっと無理でしたね。
姫乃:運動神経ってね、どこ行っちゃったんですかね。
角田:どこ行っちゃったんですかね。
あとボクシングを見てて思うのは、闘争心みたいなもの、絶対に負けたくないみたいな気持ちがないと駄目で、それは自分の中にまったくないってことに気づきましたね。
姫乃:ボクサーの方々は自分は強いから殴られるわけないというくらいの勢いでやっていると聞いたことがあります。すごい。
でも、スパーリングとかやって、相手に殴られるとで、意外と相手のことも殴れませんか?
角田:私は無理かな。
姫乃:本当ですか。キックボクシングやってたんですけど、最初は私も人を殴れないなと思いながらミット打ちしてたんですが、スパーリングになって殴られたらめちゃくちゃムカついて、気づいたら殴ってました。
角田:それ、それです。それが闘争心。たまちゃん、闘争心がたぶん70くらいあると思う。ふだんはしまってあるけど。
姫乃:本当はムカついてるのかな。
角田:いや、闘争心はムカつきとはまた違うんですよ。
姫乃:そうなんですね。
 そういえばこないだ精神科で「姫乃さんはすごい自分の中でふたをしてて、自分でも気づいてない部分があるから」って言われたので、闘争心が隠れているのかもしれません。
角田:でも闘争心について、私もジムに行かなければ考えなかった。ボクシングする人は普通に肉体的な素養があってやってるんだろうなと思っていたので、闘争心がないとできないことっていうのがこの世にあるとは思わなかったし、自分の中をあちこち探してもこんなに怒りんぼなのに闘争心がないっていうのも気づかなかったので、けっこう気づかないことって多いのかも。

私は頂上に行くことしか興味がない

姫乃:体を動かすと、そういうの見えてきますよね。すごい面白いですよね。
角田:何が好きですか。ヨガが好き?
姫乃:ヨガが好きですね。この本にはかなりヨガの影響があります。ヨガは心と体をつなげるものなので、それがすごい出てるなっていう1冊になりました。
角田:じゃあこの本に出てくる体は乗り物であってっていうような感覚っていうのは、ヨガから。
姫乃:ヨガを始める前にその感覚があって、体はしょせん乗り物だから壊れてもいいやって思ってたんです。でもヨガを始めてから、精神に体の状態がとても影響してるんだなっていうことが分かったので、体のメンテナンスをしていったほうがいいなって思い始めました。
角田:ヨガ歴は、今は?
姫乃:4年くらいですかね。
角田:けっこう長い。実感ありますか? 体が変わってきたなとか思いますか。
姫乃:すごい変わりましたね。肩が凝らなくなったりとか、猫背じゃなくなったりとかしました。ヨガいいですよ。
角田:私もヨガ挑戦したことがあるんです、2回ぐらい。でもイライラしちゃって。じーっとするでしょう。
姫乃:じーっとしますね。
角田:じーっとして待つでしょう。
姫乃:待ちますね。ポーズ取ったまま。
角田:あれが待てない。本当に待てない。
姫乃:これ何の時間なの?ってなっちゃう。
角田:目の前に台があって本を置いてあればできる。
姫乃:全然ヨガに集中してないじゃないですか。集中して!(笑) あの時間に心を静めて、心とポーズをつなげていくんですよ。
角田:そうなのか。
姫乃:そうなんです、実は。
角田:走るのも、マラソンもランニングもやってるんですけど、ランニングもすごい暇ですよね。「走る」しかできないじゃないですか。
姫乃:めちゃくちゃ嫌々やってるじゃないですか。どのぐらい走るんですか。
角田:週末は10キロから15キロ走るんです。でも遅いから1時間から1時間半かかるんですよね。
姫乃:えっ、それって早いんじゃないですか。
角田:それだけ暇な時間があって、この1時間半があればできることいっぱいあるんですよね。掃除したり洗濯したり何したりとか、と思いながら走って。
姫乃:そこでも待てないんですね(笑)。
角田:そうかも。ランニングはどうですか。
姫乃:やってた時期ありました。でも暇……暇かな、あれ?
角田:その間、考えることはできる。本の中に登山の話出てくるじゃないですか。いまも登山好きですか?
姫乃:靴が壊れてから買い替えるのが面倒くさくて登っていないんですけど、登山やりたいなとは思います。
角田:登山楽しいですよね。
姫乃:登山楽しいです。でも私、景色とかまったく興味ないんですよ。
角田:え、足元見てるの?
姫乃:まあ、そうです。頂上に行くっていうことにしか興味がない。登り切って、やったぞって思う。花とかもどうでもいい。
角田:山を登って、ふと視界が開けて眺望のいい所に出たとき。わーっとか思わない?
姫乃:何にも思わない。
角田:思わないの? 町があるなって思うの? それも思わない?
姫乃:ここまで登ってきたぜとしか思わない。そうなんです。あほなんです。
角田:あほっていうか、面白い。人って面白いですね。
姫乃:登山ってめちゃくちゃ性格出ますよね。ちゃんとペース配分をして、一番自分が息切れしないで早く登れるペースで登るっていうのが一番いいじゃないですか。私ばーっと登って疲れたら休んで、ばーって登って疲れたら休むっていうのをずっと繰り返すんですよ。何時間も。すごい性格出るなって思います。
角田:たしかにね。本当だ。
姫乃:そう考えるとだいたい私、病気になるまですごいばーって仕事して、病気になったら休んで仕事してってやってるんで、まったく同じ。性格出てる。
角田さんは山でお花を愛でたりするんですか。
角田:私は登山は開けたとこに出るのがすごくいいのと、あと目に入る物がすごいいいですよね。木の間から空が見えるとか、足元だったら枯れ葉が落ちてるとかっていう、そういうのがすごい好きかな。
姫乃:うわあ、そういうの憧れます。
角田:富士山登ったことありますか。
姫乃:登りました。
角田:楽しかった?
姫乃:遭難してる人を助けました(笑)。
角田:本当に(笑)? 富士山ってまったく景色見えないじゃないですか。
姫乃:何もないですよね。
角田:だから私は心底登ったことを悔いた。霧が立ち込めちゃって何にも見えないと思って。
姫乃:お花もないですしね。
角田:花もない、木もない。何にもない。ただつらいだけ。でも頂上に行きたい人っていうのは、それこそ何もなくてもがんがん行って、遭難者助けて、がんがん行く。
姫乃:(笑)。
角田:いい思い出ですか。富士山。
姫乃:日本で一番高い山に登ったっていう達成感が。
角田:富士山ってあんなに苦労して何も見ずに登って、さあ頂上に何があるか……っていうと、テナント売ってたりラーメン売ってたり豚汁売ってたりするじゃないですか。あれにすごいがくぜんとして、こんなに苦労して登ってきたのにと思って。何なのこれ?って感じだった。
不思議な気持ちになりますよ。そばとか売ってますよね、頂上ってなぜか。
姫乃:山なので、値段も高くて。
角田:でも食べちゃうんですよね。

カメもカエルも永遠なるものたち

角田:たまちゃんの登山のお話を読んで、私は登山の楽しさを思い出したんです。でもたしかにここに書いてある。「ただそこに咲いている草花をめでられるようになるまで、あとどれぐらいなんでしょう。楽しんでない」って。
姫乃:全然変わってない(笑)。
角田:釣りのお話も楽しそうだった。比喩がすごい面白くて。小サバの首を折ってるシーンです。
姫乃:すぐに血を抜かなきゃならなくて。
角田:臭くなっちゃうから。その情景描写がすごいうまいんです。「まるで私の指先にぐっと力を込めた瞬間、まるで私のほうが首を折られたみたいに心臓が痛いほど強く飛び跳ねました」っていう。こういう比喩がすごいたまちゃんだなと。
姫乃:ありがとうございます。ドキドキしました。
角田:よくやったと思う。あ、そういえば、このときも山に登ってましたよ。
姫乃:そうだ。島でも山登りましたね。伊豆大島に行ったんですけど、真ん中に三原山という山があって、そこに登りました。割と簡単な山で2~3時間で回れて、お鉢巡りで火口も一周できるようになってるんです。
角田:釣りは、はまりましたか。
姫乃:釣りは……友達と行かないとかな。一人人で行こうとはあまり思わないかもしれないですね。釣り、道具が多いし、結構大変ですね(笑)。
角田:あれ何でした? 餌。
姫乃:餌は怖くないやつ。オキアミっていう小エビみたいなやつ。本当はエビじゃないらしいんですけど。あれで釣りました。釣りしますか。
角田:釣りね。3回したことがあるんです、今までで。でも餌、餌……。青イソメが……。
姫乃:最悪だ。
角田:あれは嫌。あと、針から魚を取るのが私は非常に苦手で。
姫乃:分かります。さばくのも怖いですよね。
そういえば、私、カミツキガメを釣ってきてさばいてもらったことがあるんですけど。
角田:カメを? 食べれるんですか、カメって。
姫乃:食べれます。スーパーマリオだとカメの甲羅がぱっと取れるんですよね。その影響でカメは甲羅の中に身がある、ヤドカリみたいにカメと甲羅は別物って思ってたんです。それで余裕持って、甲羅に包丁入れるところを見てたら、甲羅が中身とつながってるのがわかって、すごいびっくりして。ええー⁉ってなって。まぁカメもたぶんびっくりしてたと思うんですけど。
角田:私もびっくりした。それで、おいしかったんですか。
姫乃:おいしかったです。カメとウシガエルを混ぜてスープにして。
角田:ええっ。……食べれるんですね……。
姫乃:カメはたしか何日か砂抜きしないといけなくて、捌いてくれた方の家のお風呂で飼ってもらって、餌を与えないで砂抜きみをしてから調理した記憶があります。でもその家の奥さんがカメに愛着が湧いちゃって、「連れてかないで」って泣いちゃって大変だったそうです。
角田:いや、かわいそう。何てかわいそうな話だろう。
姫乃:おいしかったです。
角田:そっか。
姫乃:食べるものを自分で取ると、ありがとうって気持ちになりますね、すごい。あれっ、きょう、何の会でしたっけ?
角田:でもほら、そうやってカメもカエルも永遠なるもの。
姫乃:まとめた。角田さんがまとめた。
角田:永遠なるものになった。
姫乃:今、一緒に生きています。ウシガエルとカメとも。
いや、本当に忙しいのに本を読んでくださって、ありがとうございます。
角田:とんでもないですよ、そんな。
姫乃:頑張って長文も書きます。これからも一緒にレモンサワーを飲みましょう。
私と角田さんがどういう関係性なのかなって、たぶん皆が気になっていると思うんですけど。いまさらですが飲み仲間です(笑)
角田:そうです。飲み仲間です。
姫乃:レモンサワーを今後も一緒に飲んでいきましょう。
角田:ぜひお願いします。
姫乃:いや、今日は本当にどうもありがとうございました。
皆さんも、どうもありがとうございました。


当日は角田さんがサプライズで、姫乃さんのお誕生日をお祝いしてくださいました!