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The Crash / London Calling

 本日のピックアップは、クラッシュの「ロンドン・コーリング(レガシー・エディション)」です。彼らの代表作が、豪華3枚組になっている限定仕様の特別盤。1979年のオリジナル2枚組LPがDISK1。スタジオ収録前に「ヴァニラ・スタジオ」という場所で録音されたリハーサル・テイクの数々がDISK2。DISK3はDVDでドキュメンタリーになっていて、このDVDが特にいいんですよ。

 ミック・ジョーンズが、「楽器は弾く人の個性がすべてだ」みたいな事を言っていて、それがすごく説得力あるんだなぁ。DISK2のリハーサル・テイクは、音質の問題もあって、よほどのマニアじゃないとツライかもしれません。決して楽器を上手く弾こうとしないで、いかに自分自身に正直にプレイするかに全神経を集中させてる感じがするのが、DVDに収められたライブでよ〜くわかります。

 「ロンドン・コーリング」は、ジャズやスカ、レゲエ、R&Bの要素をゴチャマゼにしながら、なおかつ「スタイル」に縛られる事なく自由奔放に演奏するクラッシュの無邪気なパワーが全面に押し出された、そう、何よりも自由を感じさせるロック・アルバムなのです。演奏も無骨ながら迫力満点で、ブラスが入ったり、ギターもある程度重ねて録音しているにもかかわらず、ちゃんとライブ感を失わない迫力があるのです。これはリハーサルで鍛え上げられたクラッシュのチームワークと、プロデューサーのガイ・スティーブンスの功績が大きいですね。

 それにしてもDVDに収められたスタジオ風景でのガイ・スティーブンスには驚きです。メンバーが演奏している横で飛んだり跳ねたり、イスをぶっ壊したりと、およそ正気とは思えません。そんな狂ったような彼を横目で見ながら、クラッシュが真面目に演奏している姿がおかしかったです。

 まぁ、結局なんだかんだいっても、DISK1を何度も繰り返し聴くという感じですね。ひさびさに訳詞を見て、歌詞のボキャブラリーの豊富さにも驚きました。ちなみにリハーサルではボブ・ディランの曲もカヴァーしてます。やはり彼らもディラン・チルドレンだったんですね。

(2005.1.31)

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