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施設から出さない

高校を卒業しても「措置延長」という形で、施設での生活を続ける子が増えてきました。
無職の期間が終わるまで。大学に慣れるまで。進学が決まるまで。
理由は様々ですが「高校を卒業/中退したら自立するもの」という空気感が変わってきたように感じます。
ただ、児童養護施設には「定員」というものがあり、一人残ることで新しい一人は入れなくなる。児童相談所の方とやりとりをしていると、そのジレンマへの葛藤を感じることがあります。
ほかにも「自立しないとわからないことがある」「モラトリアム期間が延びることで~~」など、いろいろな反論もありますが。
とにかく「事情次第で、児童養護施設での生活を延ばすことができる」選択肢が増えたことは望ましいことだと思います。

今回インタビューに応じてくださった方は「施設から出さない」ことを大事に思っていらっしゃる方です。
この「出す」ということは、単なる「期限」の話ではなく、例えば施設不適応を起こしたとき「出すか」「出さないか」ということです。
「施設から出さない」は言葉ほど簡単なことではありません。
まず一つ、例えば暴力がひどい子が一人いたとして「彼のために、もっと居続けてもらいましょう」という意見があったとして「しかし、他の子の権利侵害は?」という意見が必ず対立します。
児童相談所に介入してもらい、一時保護を含めた調整が期待されることもあるのですが、、、一人の都合だけで環境が動きづらい、多角的な事情があり、そう柔軟にはいきません。
私が担当したケースで、施設の不適応からと思われる措置変更もいくつかありました。「思われる」というのは、表向きの「お引越しの理由」が違ったためです。学業の都合で、と依頼されることが多かったのですが、実際受け入れてみると、聞いている話と違うことが多々あり、子どもの話を詳しく聞いているうちに「ああ、出されてしまったのか」と。
結局、担当の皆さんが「難しい」と感じてしまうと…難しいようです。

今回インタビューに応じてくださった児童養護施設職員の方は、とにかく「出さない」ことを大事にされています。上記の説明で「施設から出さない」ことを声高に掲げる重さを少し感じていただけたかと思います。

ぜひ動画本編をご視聴ください(年齢制限がついています)。


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