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令和4年~平成28年の電力計算を解きなおしました

令和4年~平成28年の電力管理試験の電力計算問題を解きなおしました。一周目ではあまり手ごたえがなかったのですが、なんとなくイメージがつかめてきたので、一度整理してみます。

解きなおした問題とパターン分け

①複素電力の計算をゴリゴリ解く問題

  • 令和4年 問3(送電、単位法を用いた調相設備の容量の導出)

  • 令和元年 問2(送電、単位法を使用した送電線の諸計算)

  • 平成30年 問3(送電、電力円線図と無効電力損失)

オイラーの公式を利用して、相電圧ベクトルを複素数と三角関数で表現し、ゴリゴリ計算して、一相当たりの有効電力・無効電力を同様に複素数と三角関数で表現していくような問題です。電力円線図など、もはや数学に近い印象で、計算になれれば、解き方自体はシンプルだと思います。複素電力の計算の際、共役にする・しないで混乱しがちなので、繰り返し解いて、スムーズに計算できるようにしたいです。

②単線結線図から等価回路への変換が肝になる問題

  • 平成30年 問5(送電、高調波電流)

  • 平成28年 問4(配電、1線地絡事故故障時の零相変流器に流れる電流)

平成30年問5は、高調波発生負荷を定電流源とみなすことと、高調波時におけるリアクトル・コンデンサのリアクタンスの変化のケアレスミスをしないことがポイントです。
平成28年問4は、「地絡故障が発生した線の故障発生前の対地電圧」が与えられている→テブナンの定理を使用すること、丁寧に複線図で考えることと、GPTの二次側挿入抵抗値から一次側への換算がポイントです。一周目はさっぱり分からなかったのですが、一度丁寧に複線図で整理したら、等価回路の変換過程が理解できました。

③無効電力の変化による力率改善・電圧変動に関する問題

  • 令和2年 問6(変電、受変電設備における負荷増設に伴う力率改善)

  • 令和元年 問5(送電、無効電力の変化による電圧変動)

  • 平成29年 問3(送電、送電線の電圧変動率)

今回の解きなおしで最も勉強になりました。無効電力で電圧を調整していることは、こちらの電中研さんの動画を見て知っていたのですが、数学的な裏付けは全く理解できていませんでした。
今後変わるかもしれませんが、現時点では、平成29年問3のイメージで、「負荷や調相設備により無効電力が変化すると、その変化に対応した電流が流れ、その電流と母線から電源側を見たインピーダンスの積が、当該母線の一相当たりの電圧変動に対応する」と理解しています。また、電圧変動により負荷や調相設備から流れる電流が若干変化し、それによりさらに若干電圧変動し、、、と相互作用がある気がするのですが、「負荷や調相設備から流れる電流は、無効電力の変化と母線の基準電圧(電圧変動は十分小さいことから無視する)をもとに近似する」と理解しています。
今回解きなおしてみて、電力用コンデンサや分路リアクトルが負荷と並列接続であることや、進み・遅れ無効電力のどちらを消費するのかも理解できました。母線の相電圧を位相の基準として、電力コンデンサ・分路リアクトルから流れる電流や、無効電力のベクトル図を作成すると、しっくりきます。普段の複素電力の計算のように、遅れ無効電力を正とすると、ベクトル図に記載するとき混乱するので、注意が必要です。

④その他

  • 令和2年 問3(送電、対象座標法を用いた1線地絡故障の計算)

  • 令和元年 問4(配電、配電系統の電力損失)

  • 平成29年 問4(配電、配電線間の潮流:ループ電流)

  • 平成28年 問6(配電、パーセントインピーダンス)

令和2年問3は、一線地絡事故時の等価回路・基本式を覚えれば解けますが、等価回路の導出は複雑そうなので、他のパターンが出たら諦めようと思います。
令和元年問4は、ゴリゴリ微積計算をすれば解けますが、慣れが必要だと思います。また、単相2線式なので、「×2」を忘れないように注意です。
平成29年問4は、「連系点においてA配電線とB配電線の電位が等しくなるようにループ電流が流れる」という条件のもと、A配電線・B配電線の電圧降下に関する方程式を立てるのがポイントです。

一周目にイメージをつかめなかった原因

①複素電力の計算において、相/線間電圧、一相当たり/三相の有効電力・無効電力かで混乱した

基本的に問題文に記載がない場合は、相電圧、一相当たりの有効電力・無効電力として解いて問題ないと気づいてから、複素電力の計算問題の苦手意識が消えました。実務をされている方からすると自明なのかもしれませんが、初学者としては問題文に記載してほしいです、、、。

②単線結線図から等価回路への変換に慣れていなかった

単線結線図をみてもどのように式を立てればよいのか分からなかったのですが、ある程度パターンを覚えたり、丁寧に複線図から考えることで、慣れてきた気がします。

③数学的な根拠にこだわり過ぎた

平成30年 問3(送電、電力円線図と無効電力損失)は、「0≦δ≦π/2」などの条件がないと、電力円線図上では、「π/2≦δ≦π」の範囲でもう一つ無効電力の解があるので、非常に気持ち悪かったのですが、細かいことは気にしないことにしました。初学者ながらに、送電端と受電端の位相差がπ/2以上になると大変そうな感じがするので、「π/2≦δ≦π」の範囲の解は無視してよいのだと理解しています。
また、令和元年 問5(送電、無効電力の変化による電圧変動)も、Vrの変化に関する近似の仕方が違和感があって仕方なかったのですが、上で記載した通り、「負荷や調相設備から流れる電流は、無効電力の変化と母線の基準電圧(電圧変動は十分小さいことから無視する)をもとに近似する」という整理にいたり、すっきりしました。当然誤差は出るのでしょうが、この考え方である程度の精度は出そうな気がします。

無効電力による電圧変動の問題など、電験二種の問題は、電験三種の際に詰め込んだ知識の数学的な裏付けを勉強させてくれるので、結構解いていて楽しいです。
先週今週と仕事が立て込んで、あまり進捗を出せなかったのですが、明日から平成27年以降の問題も解いていこうと思います。いよいよ一次試験が来月に迫ってきたので、引き続き頑張ります!

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