夫の好調の理由を同業者の妻が勝手に推測する

約7キロの次女を抱っこしながら長女の相手をしていると気分はドラゴンボールの亀の甲羅を背負う修行なのですが、残念ながらこの修行では将棋は強くなれません。
さて、今回はここ数ヶ月私が最も聞かれる質問です。
「何で旦那さんあんなに勝ってるの?」

将棋界は年度締めなので4月から翌年3月までが1年の成績となります。棋士になって約10年、通算勝率は6割弱ですが、今年度は現在0.862(25勝4敗)で対局数10局以上では勝率ランキング1位となっています。突然の確変に周りはもちろん、当の本人も驚いています。

夫も何故?とは聞かれる様で「この夏に次女が生まれたから」とよく答えています。さてこれは真実なのでしょうか。

話が少し変わるかもしれませんが、前記事の質問同様やはり長女が生まれた後によく聞かれました。
「育児が将棋に活きる事はありますか?」
強いて言えば忍耐がつく事ですかね。でも棋士は元々将棋に関しては忍耐強い場合が多いので、そこまでプラスだとは思えません。むしろ育児は効率化とか合理的とかもはや禁句では?と思うくらいに時間を使います。自分達で選んだ道なのでそこに不満はありませんが、単に将棋を強くなる為の環境としては育児はマイナスだと私は思っています。

ですが育児のみでは無く、子どもの存在として考えればただマイナスな面だけではありません。普段の勉強するモチベーション、対局時の精神面に子どもたちの存在は良い影響を与えているのでしょう。特に勉強する際のモチベーションはとても重要で、限られた時間の中で勉強する夫の姿は以前より楽しそうに感じます。

しかしそれが好調の全ての答えなのかと聞かれると、それも違うと思います。

世の中にあるように将棋にも流行りがあります。
時代によって「居飛車の方が勝ちやすい」「振り飛車のこの戦法が有力で対策が見つからない」等の流れがそれぞれの戦法にも存在します。
これは私の推測なのですが、個人の棋風と流行りが近ければ近いほど力を発揮しやすく、最近の流行りは夫の指したい将棋と近いと思うのです。

以上から好調の理由は
・高いモチベーションを保っていられている
・自分の指したい将棋を気持ち良く指せている

の2点が大きいと推測します。
前者は個人の問題ですが、後者は将棋界全体の流れなので上手く乗れるか難しい所です。
あと地味に私の対局が少ないのも大きいです(笑)。

私から見た夫は優しく、そして我慢強い人間です。棋士なら当然かもしれませんが、結果が出ない時でもコツコツと将棋に向かっています。そしてコツコツと積み上げたものに流れが来ている今、ここからの戦いは棋士としての今後に重要な意味を持ってくる事でしょう。

今月から3月まで対戦相手は更に強くなっていくので、年度が終わる頃どういう結果が待っているかは全く分かりません。勝つことによって自分の殻を1つ破って欲しいと妻として思っています。




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