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西山女流三冠の相居飛車!

6月の王座戦挑決トーナメントで、本格居飛車党の豊島将之九段が3手目に三間飛車に振って将棋界がざわめきましたが、7月3日には振り飛車しか指さないと思われていた西山朋佳女流三冠が2手目に飛車先の歩を突き、後手番で角換わりを受けて立つという衝撃が走りました。少し時間が経ってしまいましたが、どのような内容だったのか振り返っておきたいと思います。

相腰掛け銀のテーマ図と言われる局面に進み、西山女流三冠はいったん4筋の玉の下に飛車を回して先手からの仕掛けを牽制し、渡部女流三段が玉を8筋に移動すると、飛車を8筋に戻して6筋から仕掛けます。渡部女流三段は7筋の桂頭を攻め、西山女流三冠が△6五桂とかわすと、▲7五角と設置し間接的に後手玉を睨みます。形勢は早くも西山女流三冠に振れているようです。

西山女流三冠は△7七歩成から桂交換し、銀の両取りに△6四桂と打って銀桂交換します。更に△5五角と王手し、△6四金と上がって角を捕獲し角金交換します。渡部女流三段は7筋に"と金"を作って反撃しますが、西山女流三冠は△6九銀~△5九角と攻め続け、△3七角成と馬を作って飛車に当てます。

渡部女流三段は飛角両取りに▲7六桂と打ちますが、西山女流三冠が飛車を7筋にかわして間接的に先手陣を睨むと、角も取れずに飛車をかわすしかありません。西山女流三冠は馬を飛車と刺し違え、先手の玉頭から襲い掛かると、角や飛車を切っての怒涛の攻めで即詰みに討ち取りました。

相手となった渡部愛女流三段はタイトル獲得経験もあり、第1期白玲戦では七番勝負に進出した強豪です。入念に振り飛車対策をして臨んだと思いますので、西山女流三冠の突然の居飛車には相当面食らったと思います。渡部女流三段が相居飛車の中でも居飛車党の経験を活かせそうな角換わりを選択したのは妥当だと思いますが、西山女流三冠は駒がぶつかり合ってからほとんど一方的に攻め切ってしまいました。

強い人は何をやっても強いということを思い知らされる一局でしたが、西山女流三冠が今後居飛車も指すオールラウンダーに転身するのか、注目していきたいと思います。

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