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将棋界の2023年女流タイトル戦を総括

2023年における将棋界の8つの女流タイトル戦がすべて終わりましたので、この1年を総括しておきたいと思います。
※本稿ではタイトル称号では混乱するので、女流棋士の呼称は「さん」付けとさせていただきます。

2023年は里見さんが4つのタイトルを防衛しましたが、白玲を失冠し女流四冠に後退しました。白玲を奪取した西山さんは、女流名人も奪取し、2つのタイトルを防衛して女流四冠となりました。二強と称される2人が保持するタイトル数でも並び、後続グループとの差を拡げた1年だったと思います。

二強を脅かす存在として期待される伊藤さんは、女流名人を失冠した後、女流王位に挑戦しましたが敗退し、それ以降挑戦権争いからも遠ざかっています。加藤(桃)さんもこの1年は女流王座への挑戦のみに留まりました。両者とも女流順位戦では西山さんの独走を許し、女流名人リーグでは揃って陥落するなど精彩を欠いているように感じます。

一方、タイトル戦登場には届きませんでしたが、20歳前後の新鋭も着実に力を付けてきました。加藤(結)さんは倉敷藤花戦の挑決まで勝ち上がり、内山さんは女流名人リーグで里見さんに土を付けて挑決を戦いました。他にも10代の有望な女流棋士が続々と誕生しており、来年にも二強の一角を切り崩してタイトル戦に初挑戦する若手が出てくることを楽しみにしたいと思います。

2023年は中堅の活躍も目を引きました。女王に挑戦した甲斐さんが引退されたのは残念でしたが、女流王将戦で7年ぶりに香川さんがタイトル戦登場を果たしました。若い世代が台頭する中、30代の中堅が意地を見せ、女流棋界全体が盛り上がることを期待しています。

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