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団体戦の良いところ

私が子供の頃、将棋をやっている女の子はほとんどいませんでした。行動はいつも一人。学校でも群れることを嫌い、いわゆる団体行動やチームを組んで行う部活などは苦手でした。私に限らず棋士は基本的にチームになって何か一つのことを成し遂げるということを幼少期にしていません。なので、「人に頼る」ことがどちらかというと苦手なんです。決着は自分でつける!と言う感じに……。

私が生まれて初めて「あっ、みんなでいるのもいいかも」と思えたのは、幼稚園のママ友ができてからでした。お互いにできることを助け合い、同じ境遇だからこそ分かり合える仲間ができ、楽しい!と心の底から思えたのです。そしたら「女性の教室を作ってみようかな」と思えるようになり、shogiotome教室ができました。今から8年前の話です。

あれから時代も流れ、女性が将棋に入りやすい時代がやってきました。ネットでの放送も間口を広げた一因といっても過言ではないと思います。また、西遊棋や東竜門など若手棋士たち発案による女性に優しいイベントが増えていったのも良かったのでしょう。とにかく将棋はここ数年で今までとは比べ物にならないくらい良い意味での変化を成し遂げました。

アマチュアだからこそ

棋士は孤独と戦います。孤独に戦います。もちろんそれを全力で応援してくれるファンの皆さんがいてくれますが、戦うのは一人。でもアマチュアの皆さんにとって将棋は趣味であり、楽しむためのもの。

考え方は様々あります。強くなることが楽しい、みんなでワイワイするのが楽しい、見るだけで楽しいなどなど。どれも趣味である以上、正解であることは間違いないのですが、私は≪真剣に戦う時こそ、本当の楽しさに触れあえる≫と思っている派です。きっとそれは棋士として戦ってきたときの幸福感があるからかもしれません。

でも、でもやっぱり私は真剣に指すことの楽しさを感じてほしい、そんな空間を作りたいと思っています。

団体戦は楽しい

私がそんな空間を作りたいと思ったとき、「女性ならでは」の特色を活かそうと考えました。(このご時世このような書き方をするのは男女差別だと言われそうですが)女性は団結力が強く、皆で楽しむ方法をよくわかっています。また、一人の時よりも責任感が増し、自分の勝敗でチームに迷惑がかかってしまうといけないので、頑張らなくちゃ!という気持ちもわいてくるのです。良い意味での負荷は、棋力向上にもつながり一石二鳥。また、一緒に戦うことで、より深く理解しあえるのではないかと思います。

ナデシコはお祭り

「先生、私のようなまだ弱い棋力の人間は大会なんかとても出れませんよ」「いえ、ナデシコはお祭りだと思ってください。何事も経験ですよ」

私の生徒さんとの会話です。初心者は大会に出るなんて恐れ多い、怖いと思う方がいらっしゃいますが、ナデシコは初心者が出やすい大会です。そう思っていただけるような企画・運営を心がけています。

終わった時に「出場してよかった。楽しかった」そう思っていただければそれは成功。もちろん真剣勝負も大事ですが、それ以上に同じ仲間たちがたくさんいる場所に行くことに楽しさを感じていただけたらと思うのです。

予言しておきます

大会にまだ不安を覚える皆さんに私が予言しておきます。大会に出た後、貴女はきっと「もっと強くなりたい」と思うことでしょう。そして「また出たい」と。

将棋は楽しいんです。そして、仲間がいるともっと楽しいんです。是非ショウギナデシコを通じて、さらに将棋の楽しさを感じてもらえたらと思っています。