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301が2週間の夏休みをとる本当の理由

2週間の夏休みに入る前に、やり残している大きな課題と向き合うことにした。その答えは最後に明らかにするとして、そもそも301がなぜ2週間の夏休みをとっているのかという話をしたいと思う。

今年の9月で創業3年を迎える301は今、予算数万円の案件から数千万円の案件まで、まだ誰も知らないベンチャー企業の案件から誰もが知っている有名ブランドの案件まで、そして誰にも頼まれていないのにやっている案件まで、常に10個前後のプロジェクトが動いている(しかもできるだけすべての案件に同じレベルの熱意と創造性をつぎ込んでいる)。

301という会社は、もともと大手の広告の仕事をしていたプロダクションや代理店出身者たちが集まって生まれた。僕たちが広告の世界に入ったのは、リーマンショック前夜の、まだ広告に少しだけ文化の香りが残っていた時代だった。しかしTwitterやFacebookの登場によって「世界を変える手段はマスメディアだけじゃないんだ」という事実に社会が気付き始めたあたりから、多くの感度の高いクリエイターたちが、大きなマーケットから小さなマーケットに流出していくに伴い、本当に新しいものが生まれる地点も徐々に移り変わっていった。

301も、そうした時代の流れの中で誕生した。大きな市場からだけではなく、小さなアイデアやビジョンからも、新しい世界をつくることができる。クリエイティブへの無垢な探究心と多様なメンバーが生み出すチームの力で、それを実現するための試行錯誤をしていくほうが楽しいと、直感的に感じた人々の集まりだった。

市場が変われば文化も変わる。301は、組織の在り方や働き方に対して、広告業界の偉大なる先人たちがつくってきたスタイルに「本当にそれがよいクリエイティブにつながるのか?」と疑問の目を向け、自分たちの論理と感覚によって1からシステムを構築し直すことにした。

土日はなるべく仕事をしないで遊ぶことを奨励し、効率的に働くシステムを追求し、透明な見積システムを磨き続け、企画書はA4一枚にし、朝型生活に切り替え、プロジェクトで関わる対象や人々とは極力深いつながりを持ち、夏休みと冬休みを2週間にした(これらは他業界の人たちからしたらそこまで変わったことではないかもしれない・・・)。

既存のシステムに対する疑問に正統な答えがみつからない場合は、とりあえずそれと違うやり方を実践してみた。ちょうど飲食に携わる仲間たちと一緒に仕事をすることが多かったので、彼らのような他業種の世界からたくさんのヒントをもらった(301がリスペクトしているレストラン「PATH」がオープン1年目で10日間の夏休みをとるというので、じゃあそれより長い休みをということで301の夏休みは2週間にした)。

たいていのルールは、変えてみても問題なかった。夏休みを2週間にしても、仕事は増え続けている。クリエイティブに携わる仕事をしていて、2週間の夏休みをとっている会社はあまり聞いたことがなかった。だからやってみた。「できるんじゃん」って、そう思ってもらうこと。仕事や組織の在り方はいくらでも変えることができるし、それでも会社は存続できるということを、社会に証明するために、301は2週間の夏休みをとっているとも言える。経営とは、組織に対するクリエイティブ・ディレクションなのである。

というのが長い夏休みの言い訳。その一方で大きな課題も抱えている。今の仕事量に対して、スタッフが足りていない。自分たちがやっていることを社会に認知してもらうためには、ただものづくりと真摯に向き合っているだけではだめで、301という存在を社会の中で引っ張り上げていくことが大切だと思っている。そのためには、柔軟な思想でクリエイティブと向き合おうとするたくさんの仲間が必要になってくる。デザインをする人。アイディアを出す人。プロジェクトを仕切る人。組織がうまく回る仕組みを考える人。

採用に関しては自分が頑張らないといけないと思いつつ、忙しさを理由に全然本気でやってこれなかった。そしてもう夏休みまでにやれることはほとんどないので、この文章を書くことで301の目指す新しいクリエイティブチーム像と世界観に共感し、一緒に働きたいと思ってくれる人が現れるきっかけをつくるための小さな努力をすることにした。

志ある皆様の301へのJOINを、心よりお待ちしています。

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