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マネーフォワード クラウド 新ブランドパーソナリティ策定プロセス

🎄Money Forward Design Advent Calendar 2022の16日目の記事です🎄

今回は、マネーフォワード クラウドの新しいブランドパーソナリティの策定プロセスをご紹介します。

2022年4月に、マネーフォワード ビジネスカンパニーはミッションを刷新しました。そして、ビジネスカンパニーの一人一人がミッションの体現者として行動していく中で、サービスを必要としてくれる人に、どのような存在として接していくべきか?を明確にするために新しいブランドパーソナリティを策定しています。

策定に至るまでにとても紆余曲折のあったプロセスが誰かの役に立てるように、このnoteに記します。新ミッションに込めた想いを記したこちらのnoteも是非!

ブランドパーソナリティを新たに策定した背景

マネーフォワード クラウドでは、以前から旧ミッションに基づくブランドパーソナリティがありました。それは社内でマネーフォワードクラウドらしさについて議論を行い、以下のような意味を込められたものとなっていました。

旧ブランドパーソナリティの大まかなイメージ

その後、2022年4月にミッションが刷新され、それに伴い新ミッションを体現していくためのコミュニケーションの指針を改めて明確にするべく、新しいブランドパーソナリティの策定に着手しました。

新しいブランドパーソナリティ策定プロセス

以下のような流れで策定を進めました。

  1. 社員の声をもとにブランドの人格を形にする

  2. ブランドの人格を一言で表したキャッチコピーの検討

  3. キャッチコピーのブラッシュアップに向けたブランドイメージのリサーチ

  4. キャッチコピーのブラッシュアップとサンプルボイスの作成

  5. キャッチコピーの最終ブラッシュアップ

① 社員の声をもとにブランドの人格を形にする

はじめに、社員の一人ひとりがマネーフォワード クラウドを必要としている人へ届けるために大切にしている考えや、具体的に取り組んでいることに目を向けました。

デスクリサーチの実施

まずはビジネスカンパニーの社員が日々発信しているnoteを、過去2年程度に遡って全て読みながら、社員一人ひとりが大切にする考えや日々の業務で工夫していることの把握を進めていきました。

他にも、着目すべき発話を広く探るために、ボードメンバーのさまざまなインタビュー記事での発話や、イベントで社外に向けて発信しているメッセージに改めて目を向けていきました。

社員の発話をもとにマネーフォワード クラウドらしさを考える
(策定途中のため、ぼかしを入れています)

社内アンケートの実施

また、新ミッションを実行していくために大切にすべき価値観や考え方の全体傾向を捉えるべく、社内アンケートも実施しました。

新ミッションについての考えや、ユーザーへの提供価値のイメージに関するヒアリングを実施


そうしたデスクリサーチとアンケートによって見えてきた、社員が大切にする考えや日々の取り組みに関するキーワードイメージを抽出し、ブランドの人格の元となる骨格を導き出していきました。

社員の声を収束する形で、ブランドを人に例えた際の人物像を具体的に設計

この時点でだいぶ時間をかけていますが、はじめに社員の考えに目を向けたのは、マネーフォワード クラウドを必要としている人へ届けるための価値観や原動力の源泉のようなものを捉えられないか?と考えたためです。

また、ミッション刷新を検討し始めた2021年から現在に至るまで、ビジネスカンパニーは自分も含め新入社員がかなり増えたため、改めて社内に目を向けることで新たな気づきや発見があるのでは、という考えもありました。

ブランドの人格の骨格がある程度見えてきたところで、デザインチーム内で「この人はどういう人なんだろう?」というディスカッションを行い、ブランドパーソナリティの解像度を少しずつ上げていきました。叩き台になるものを整理しておいたことで、「利他的だけど芯のある人だと思う(単なるお人好しではない)」「完璧すぎない」「ちょっとお節介な一面もありそう」といったマネーフォワード クラウドらしさに関する意見が色々と出ました。こうしたラフなディスカッションも交えることで、自分だけでは気付けなかったことにも気付くことができました。


② ブランドの人格を一言で表したキャッチコピーの検討

マネーフォワード クラウドを人に例えたイメージを固めていく中で、次にその人格を端的に表現したキャッチコピーの開発に着手しました。ブランドの人格を社内により分かりやすく伝えるためにキャッチコピーを活用できると考えられるためです。

社員の声を収束した時点で、「働く人にまっすぐに向き合う」「寄り添い、支え続ける」「明るい未来を描く」「相手の目線に合わせた提案をする」といった、マネーフォワード クラウドらしい考えや接し方が見えてきていました。そのため、そうした考えや接し方をふまえて、いくつかのキャッチコピー案の作成を試みました。

キャッチコピー案は、言葉に込めた意味を可視化する形で作成。
候補案それぞれの意図が理解できるように可視化した上でチームに共有。

上記のように言葉に込めた意味を可視化する形でいくつかの案を作成。再びチーム内でマネーフォワード クラウドらしさについて議論を実施しました。具体的な表現を用いたコピー案や、抽象度を高めて想像の余地を残したコピー案を考えるなど、模索を続けました。

③ キャッチコピーのブラッシュアップに向けたブランドイメージのリサーチ

ここまではデザインチーム内で意見をもらいつつキャッチコピー案の作成を進めてきましたが、この段階でカンパニー役員のメンバーにも提案し、ブランドパーソナリティのイメージに違和感が無いかなどを一度見ていただきました。

カンパニー役員のメンバーからは、社員の声を収束するだけでなく、「これまでのブランドイメージをふまえた上で、これからどのようなブランドイメージを世の中の人に持ってもらいたいのか?を考慮することが重要」「キャッチコピーからキャラクターがイメージできるように」というFBをいただきました。そのため、ブラッシュアップに向けて以下の作業を進めていきました。

ブランドイメージのリサーチ

既存ユーザーや潜在層からどのようなブランドイメージを持たれているのかを改めて把握するために、以下の内容でデスクリサーチを実施しました。そしてこれまでのブランドに対するイメージをキーワード単位で整理していきました。

マネーフォワード クラウドを利用しているユーザー
ユーザーインタビューの内容から、マネーフォワード クラウドを初めて知ってから実際に使うまでの間に、どのような印象を持ったか?どのような使用感を抱いたか?などをリサーチし、そこからキーワードイメージを抽出する

潜在層
・ソーシャルリスニングを実施し、マス広告に対するリアルな声をリサーチする
・様々なセミナーイベントのコンセプトからキーワードを抽出し、潜在層にどのようなイメージでマネーフォワード クラウドの魅力を伝えようとしているのかを把握する

リサーチを通して抽出したブランドイメージに関するキーワード

デスクリサーチで抽出したキーワードを上記のようなイメージで整理。
普段考えているブランドイメージ(誠実、親しみがある、頼れるなど)と近しい内容に。

リサーチを実施して得られたブラッシュアップへの手がかり

2022年4月に刷新されたミッションステートメントで、目指す社会像を「誰もがワクワクしながら働ける社会」と定義しています。

そのため、リサーチをもとに把握した「誠実さや人間味を感じられるようなブランドイメージ」に、新ミッションの世界観で重要な「FUN」の要素をどのようなバランス感で組み合わせて表現できると良いのかを模索していきました。

④ キャッチコピーのブラッシュアップとサンプルボイスの作成

バランス感を検証するために、新ミッションの世界観の要素が「強め」「少し」「ゼロ」といった形で、それぞれでキャッチコピーのブラッシュアップとサンプルボイス作成を進めました。

どのような語り口がマネーフォワード クラウドらしいのかを考えるために、FUNの要素のバランスを考慮してサンプルボイスを作成。

サンプルボイスを合わせて作成したことで、新ミッションの世界観の要素を「少し」合わせるくらいのバランス感がベストであるという形で、チーム内で認識を揃えることができました。

新ミッションの世界観の要素(=FUN)の要素が強くなりすぎると、働く人に寄り添う誠実さが感じられなくなったり、逆にそうした要素がゼロになると新ミッションの世界観とかけ離れたものになってしまいます。ベストなバランス感を探るために極端な振り幅での言語化もしてみましたが、この「少し」というバランス感を意識して、最後のブラッシュアップへと進めていきました。

⑤ キャッチコピーの最終ブラッシュアップ

ここからはキャッチコピーの構成要素を「働く人との接し方」「(キャッチコピーの)結び」に分類。それぞれで表現案を考え、さらにデザインチーム内でも表現案を発散した上で、ブラッシュアップ案を作成しました。

構成要素ごとに適切な表現のワードを発散

そしてカンパニー役員のメンバーにブラッシュアップ案とサンプルボイスを改めて提案しました。サンプルボイスを合わせて提案したことで、ブランドパーソナリティを指針としたコミュニケーションのイメージのすり合わせをよりスムーズに進めることができました。そしてさらなるFBをいただき、完成に向けたブラッシュアップを進めました。最終的に、「相手の心が前向きな方向に動くようなコミュニケーションを大切にしよう」という意味を込めた形で完成に至りました。

策定を終えて

策定に至るまでにとても紆余曲折のある取り組みでしたが、新ミッションの体現者として日々の業務に取り組む中で、サービスを必要としてくれる人に、どのような存在として接していくべきか?を明確にすることができました。コミュニケーションの指針を明確にできたので、今後は既存のタッチポイントへの展開などを進めていこうと予定しています。

抽象度の高いものと向き合いながらも策定を着実に前へ進めていくために、今回は要所要所で言語化・構造化をする、サンプルボイスを作成してみるといった工夫を意識しました。それによって職種に関係なく周りを巻き込み、策定を前に進めるための重要なFBをいただきながら、どうにか策定を進められたかと考えています。こうしたアプローチは日々のプロジェクトでも常に意識して実践していこうと改めて考えるきっかけにもなりました。


アドベントカレンダー17日目はshigeedaさんです。お楽しみに!




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