サムネ

大会に強い人、弱い人は存在するか

はじめに

こんばんは。今日はふと思いついて、疑似的に別のスポーツのデータから説明ができないかなと思ったことについて。

スマブラ業界でも、よく言われることがあると思います。「あの人は大会に強い」「団体戦に強い」「大舞台に強い」「フリー対戦だけは強く大会は弱い」等々。

これらは言い換えると、単純な普段の対戦での強さとは別に"大会での強さ"、"大舞台での強さ"等と言った能力が存在し、その能力が個人間によって差があると言う主張でもあるかと思います。

そこで、一体これは正しい主張なのかということを定量的に考えてみたくて、僕の好きなスポーツの一つであり競技のデータ化が進んでいる野球からヒントが得られないかどうかと考え、少しばかり調べてみました。
(予防線とかじゃなくて本当に少ししか調べる気がないので、反例を挙げてもらったり、論理の不備を指摘してもらうのは大歓迎です)

調査の前提

今回は「スマブラでいうところの大会とフリー対戦を比較して、パフォーマンス差が個人の能力として現れるか」ということをテーマに考えました。

そして、スマブラのフリー対戦でのパフォーマンスは野球では打率が対応し、大会でのパフォーマンスは得点圏打率が対応するのではないかと考えました。

ここで野球に詳しくない人のために簡単に意味を説明します。
打率:打席数に対するヒットの割合
得点圏打率:(ランナーが得点圏にいる=チャンス状態)での打席数に対するヒットの割合

野球観戦の世界では、「得点圏打率が高い人はチャンスに強く、低い人はチャンスに弱い」というのが定説です。

ということで、今回の調べでは「得点圏打率の高さに個人差はあるの?」とざっくり考えて「得点圏打率 年度間相関」というワードで上に出てきた記事やソースをいくつか読んでました。

以下2例を紹介します。

調査の結果

①前年の得点圏打率と翌年の得点圏打率を比較

画像1

横軸に前年の得点圏打率、縦軸に翌年の得点圏打率を取ったものです。

平たく言うと、得点圏打率の高さに個人差があるとした場合、前年好成績を残した人はほとんど翌年も好成績を残すため、回帰直線(中央の黒い直線)が綺麗に斜め45°くらいになりそうということです。

この結果を見ても綺麗な相関は見られないし、相関係数(0だと相関がなく、1だと完全に相関)も0.14と低い数値が出ています。統計的にもこの2つの数値には相関がないとこのデータでは示されています。

また、よく考えると得点圏打率を年度間で比較するのは十分な調査ではないです。というのも、「そもそもの打力」という変数によって相関を持つ可能性があるからです。

ということで以下の例も紹介します。

②前年の(得点圏打率と非得点圏打率の差)と翌年の(得点圏打率と非得点圏打率の差)を比較

画像2

横軸に今年度の(得点圏打率と非得点圏打率の差)、縦軸に前年の(得点圏打率と非得点圏打率の差)を取っています。

平たく言うと、今年度の得点圏打率が非得点圏打率に比べてとても高い=チャンスに強い人は右側に行き、今年度チャンスに弱かった人は左側に行きます。前年度チャンスに強かった人は上側に行き、前年度チャンスに弱かった人は下側に行きます。

なので、チャンスに強い弱いという能力差が現れるなら右上の象限と左下の象限にデータが集まるはずですが、この結果はそれを示していないということです。

調査1ソース:http://www.baseball-lab.jp/column/entry/16/
調査2ソース:https://twitter.com/RCAA_PRblog/status/762642048507785216

まとめ

この結果は自分の感覚と一致する結果でした。

色々と調査にツッコミ要素はあるものの、チャンスや大舞台に強いかどうかを示すデータはサンプルがそもそも少なく、結果がブレやすい。偶然出た結果に対して後付けで他人が能力評価をしているに過ぎない可能性が高いです。

これはスマブラに置き換えると「EVOやGenesis等の大きな大会に強い」「平日大会に強い」「フリーでは強くても大会では弱い」等も結構主張としては怪しいのではないかということです。否定はしません、実際に上のデータだけだと客観的に十分な否定はできないです。
(特にフリーと大会の強さの差には背後にもっと別の大きな要因が隠れていると思っています)

ですが僕はこの手の主張は「まぁオカルトだろうな」と感覚的にこれからも思い続けると思います。

あともう一つ重要な視点として、調査1のソースでも触れている通り「結果」と「能力」は分けて考えるべきという考えです。

出た結果が個人の能力を示すことは証明できなくても、出た結果自体を周りが評価してあげることは大事だと思います。大舞台で頑張ったね、よくやったねと言ってくれると僕らプレイヤーとしては大変嬉しいのです。

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