「寄付」のヒーロー像

ご縁があって、NPOのファンドレイジング活動を支援するヒーローズの番匠谷くん(@banjoyatakumi)とお話する機会がありました。「寄付」に関して色々と語り合ったので、ここでご紹介したいと思います。

寄付1.0~2.0~3.0

最初に話題に出たのは、番匠谷くんの先日のツイッターの話。

これまでとこれからの寄付についての、この投稿は素直に面白いなぁと思いました。
「寄付1.0」では、「かわいそう」とかのネガティブな動機から寄付を行い、社会の空気も「寄付しないといけない」「寄付しなければいけない」といったもので、「寄付」というものが上から目線や義務感のようになってしまい、イメージが悪かった。それに、このようなネガティブな動機だと、寄付の絶対量も減ってしまう。
「寄付2.0」は現在のように、ポルカやクラウドファンディングといった信用経済や評価経済を基にした寄付が主流になりつつあるなか、「誰かを応援する」という性格が強いもの。「楽しい」や「参加したい」といったポジティブなイメージもあります。だけど、寄付がその人の人望や活動の見せ方にフォーカスされ、実際のその活動の社会的インパクトまで考慮されているかは疑問。
「寄付3.0」では、寄付2.0のようにポジティブなイメージを引き継ぎつつ、自分でその活動を見極めて寄付を行う、主体的なものになっていってほしい、と語ってくれました。

今月12月は「寄付月間」といって、みんなで「寄付」について考える月。そのスローガンが「欲しい未来へ、寄付を贈ろう」。
このスローガンを実行することが「寄付3.0」なんじゃないかなぁと思います。

新しいヒーロー像

次に話題に上がったのは、日本では「『寄付』は恥ずかしいっていう空気がある」ということ。実際、僕も番匠谷くんの周りでもそうみたい。一般的に、寄付をすることのイメージって「いい人ぶってる」とか「カッコつけてる」みたいな感じなんでしょうか。そういうのもあるかもしれませんが、僕が思うのは、「苦しい状況をはねのけて成功した」とか「努力の末に成功した」っていうストーリーが素晴らしいという文化が根付いているのが原因の一つなんじゃないでしょうか。もちろん、「清貧」や「無言実行」というストーリーは僕も素晴らしいと思います。でも、そのヒーロー像ばかりを発信してきた結果が、今の「成功」や「寄付」に対する態度を作ってしまったんじゃないでしょうか。
アメリカだと、企業の社長とかある意味成功者がヒーローになっていて、悪者に改造人間されたとか、不遇の生まれで…といった日本とのヒーロー像はだいぶ違います。実際、アメリカでは寄付の金額も日本とは段違いです。日本でも、これまでとは違ったストーリー、ヒーロー像を作っていくのが、「寄付」に対する意識を変えるきっかけの一つになるんじゃないかなぁと思います。
個人的には「ヒーローズ」という名前が冠された番匠谷くんの団体に、ぴったりのアプローチなんじゃないかと密かに思っています。

ヒーローズの展望

この記事のnoteの最後に、ヒーローズの紹介をしたいと思います。
ヒーローズは、なんと、まだ立ち上げて2、3ヶ月の団体だそうです。きっかけは、代表の番匠谷くんの実体験から。ボランティアの活動に励んでいた時に、バイトの時間がもったいなくて、バイトを削っていたら、お金が無くなりカードも止まってしまった。そのときに、自分がお金をないがしろにしていたこと、身近にお金のことに関して相談できる人がいなかったことに気づいた。あわせて、「自分の活動は価値があるものなのに、お金になっていない」ということに疑問を持った。実際、社会課題を解決する活動は受益者負担を強いるのが難しいものが多く、団体が資金集めに苦労しているということもあり、「彼らの「寄付」を集めるサポートがしたい」「こんな良い人が苦しむのは違うんじゃないか」という思いから、ヒーローズを立ち上げたそうです。

今後の団体の展望として、3つのことを語ってくれました。

第1ステップ:①勉強する時間が無い②ノウハウが足りない③セミナーの内容を自分の活動に落とし込めない(結果、行動の変化が起きない)という3つの課題を解決するため、オンライン上で学んだり、コミュニケーションできる場を作る。
第2ステップ:団体のPRや情報発信に必要なHPデザイン等を、エンジニアやデザイナーの卵とマッチングさせて、団体の情報発信力等の底上げを図る。
第3ステップ:ソーシャルグッドな価値を流通させるトークンエコノミーを作る。今は、ソーシャルグッドな活動は価値はあるけども、「保存」ができない。それを保存できるよう通貨にし、これで団体の方が生活できるような社会を目指す。

今は立ち上げたばかりで、第1ステップの活動に留まっているそうですが、団体どうしの橋渡しをして情報共有の場を作るということだけでも、素晴らしいことだと思います。活動をしている皆さんは忙しく、なかなか外の人や他の活動をしている時間が作れないかと思います。そういう人たちを繋げることで、問題の解決や新たなアイデアが生まれる場になっていくんだろうと思います。
これからの団体とプロボノのマッチングや、トークンエコノミーも、どんな形になっていくのか、とても楽しみです。引き続き、応援していきたいと思います!

番匠谷くんのツイッターはこちら! @banjoyatakumi

ヒーローズのツイッターはこちら! @npo_heroes_