2018年の読んでよかった本まとめ

今年読んでよかった本の書評(読書メーターの感想)をまとめておきます。
皆さんのオススメの本とか、本の感想とかもらえたら嬉しいです!

●小説部門

1位 探偵が早すぎる(上・下)/井上真偽

(上巻)父の莫大な遺産を受け継いだ少女が親族から命を狙われるも、知らぬうちにその犯罪が暴かれている。
タイトルのとおり、探偵の推理が早すぎて犯罪が起こらないミステリー。上巻でこんなに面白いなんて…下巻への期待が高まります。
(下巻)事件を未然に防いでしまう探偵。舞台はついに、最終ステージ。迫り来る親族の暗殺の罠からボスを守れるのか。
 事件の解決が早すぎる探偵の、トリックの糸口を見つける観察眼には感服の一言です。ほんの些細な痕跡から、あらゆる視点で犯罪計画を暴いていく姿は、最高にクールです。それに、解決編の口上がとにかくカッコいい。上から目線で犯人を追い詰める姿が、探偵の圧倒的推理力を象徴しているかのようで、爽快感があります。

2位 桜風堂ものがたり/村山早紀

ある事件をきっかけに田舎の本屋を訪れ、任されることとなった書店員の主人公。前の職場で自分が見出し売りたかった本が、彼の意思を引き継いだ人の後押しを受け、広がっていく、そんなささやかに幸せな奇跡の物語。 登場人物たちの本への愛と、物語の素晴らしさを感じる暖かな感動をくれた一冊でした。 本書でも触れられていますが、「言葉を愛する者は、言葉を綴らずにはいられない」というのは同感です。良い物語に出会うと、それを伝えるための言葉がどんどん湧いてきます。そんな本に出会えることが読書の楽しみの一つでもあるんですよね。

3位 キネマの神様/原田マハ

会社を辞めた歩は、父の投稿がきっかけで映画雑誌の編集者に採用される。そんな中、映画好きの父のブログを開設することになる。
 この本に出てくる登場人物たちは、本当に映画を愛する人ばかりで、映画ブログでのやり取りはその愛を余すことなく表現していると思います。自分の好きなものを語る時、人は本当に活き活きするものなのだと感じました。
 僕も本作の父親同様に、もっぱら一人映画が好きなのですが、今度映画館に行くときは、劇場の片隅に佇んでいる、もしくは、ど真ん中に座っている「キネマの神様」と一緒に楽しみたいと思います。

4位 モモ/ミヒャエル・エンデ

『時間とは、生きるということ』
町はずれの廃墟に住みついた少女モモ。友だちと過ごす穏やかな日々に、「時間どろぼう」の魔の手が忍び寄る。
 時間どろぼうの巧みな話術によって、自分が時間を浪費していたことに人々は気づいていくのですが、どの時間が有用で、どの時間が無駄なのかは、その人にしか分からない問題です。周りから見て有用な時間だけがその人の人生を作るのではなく、一見無駄に見える時間がその人の人生を鮮やかに彩っているのかもしれません。 児童図書とは思えない示唆に富んだ一冊でした。

5位 希望の国のエクソダス/村上龍

あるテレビの報道をきっかけに、80万人の中学生が不登校になる。
現代の若者が抱える不安や失望が明らかにされ、自らの力で希望をつかもうとする彼らの姿が淡々と描かれています。
 日本に蔓延る常識や認識に対する作者の鋭い指摘が、新たな視点や気づきを与えてくれました。
「この国には何でもある。本当にいろいろなものがあります。だが、希望だけがない」(本書より)

●ビジネス書・新書部門

1位 寄付をしてみよう、と思ったら読む本/渋澤健、鵜尾雅隆

『今日よりもよりよい明日のために』
「寄付」というと、ボランティアやNPOの社会貢献の活動に使われているという認識が多いかと思います。でも、実際に、「寄付」にはどんな力があるのか、何ができるのか、ということについて教えてくれる一冊。
様々な社会課題が噴出している現代、それに気づき、活動している人たちを支援することができる「寄付」は、僕らとそれに続く世代の明るい未来を作るための「投資」だと思います。
 「我々は微力ではあるかもしれない。けれども、決して無力ではありません」(本書より)

2位 メモの魔力/前田裕二

圧倒的な量のメモを取る著者のメモの取り方やその活用の仕方についてまとめられた一冊。
「ファクト→抽象化→転用」のプロセスで語られているメモ術。僕は抽象化まではやったことがありますが、転用までは辿り着いていなかった。これからの参考にしたいと思います。 本書で得たメモの魔力を使って、更なるメモ魔を目指します。
 「どうしても、命を削ってでも、人生をかけて実現したいことがある。そのための武器がメモであり、その強い思いこそが、メモに対する飽くなき姿勢を支えてくれているのです」(本書より)

3位 手ぶらで生きる/ミニマリストしぶ

「ミニマリズムの本質は、ある1点を目立たせるために他をそぎ落とす『強調』にある」
 これまでミニマリズムは、余分なモノを持たない人というイメージがありましたが、自分に必要なモノだけを持つ、好きなモノだけ持つという過程で、自分にとっていらないものが排除されていくのだと気付きました。 結果として残ったものが、その人を表すものであるし、余分なモノがないからこそ、それが際立って見えるのだと思います。
 自分の価値観と向き合うという意味で、今までミニマリズムとは無縁だと思った人も本書を手にとってみてはどうでしょうか。

4位 おカネの教室/高井浩章

くじ運の悪さから入ってしまった放課後のクラブ活動は、「そろばん勘定クラブ」というお金に関して勉強するクラブだった。 中学生の少年少女と、「おカネ」について実際の職業や歴史上の出来事と関連付けながら学べます。アダム・スミスの「神の見えざる手」は聞いたことはありましたが、本書で初めて内容を理解できて、その意味を知った時は感動でした。 小説形式で、おカネの歴史や資本主義についてもザックリ学べる良い本です。

5位 転職の思考法/北野唯我

物語形式で、転職するまでの思考法について学べる一冊。
転職先を選ぶ際の視点や、仕事のライフサイクルの話はとても勉強になりました。特に、「to do型」と「being型」の話は救われる人も多いのではないでしょうか。
 転職したいと思っていない人でも、自分の市場価値を知っていたり他の選択肢を持っているということは大きな強みになると思いますし、自分の人生を生きるという意味でとても大切なことだと思います。
「君は弱いんじゃない。ただ、選択肢を持たなかっただけだ。」(本書より)

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