夢は叶わない

イギリスから日本に帰って来た
自分の目標はハッキリしていた

「パイロットになりたい」

航空大学校に編入する為、上京した

吉祥寺のシェアハウスに住みながら
必死に勉強した

シェアハウスには同じような
「夢追い人」がたくさんいた

絵描き
芸人
バンドマン
映画監督

自分と同じパイロットを目指してる人もいた
正確にはその人はヘリの方だったので少し違うが

みんながむしゃらに夢を追いかけていた

筆記試験にクリアして
身体検査にクリアして
さらに、難問の筆記試験にクリアしないと入れない
かなり狭き門


それでも頑張った、
寝る間も惜しんで戦ったが

身体的な欠点があり
「あなたはパイロットにはなれない」と
不合格を言い渡された

それでも諦めきれなかった
「パイロット」になりたかった

唯一、この試験のことを伝えていた人
名古屋でバイトしていたイギリス料理屋の店長に
その事を報告しに行った

そのイギリス料理屋にはカウンター席があり
自分と店長が話しているのを一番奥で聞いている人がいた


「金さえあれば何歳からでも、パイロットになれますよ
そんな小さい声じゃ何言ってるか分からないから
訓練1週間も持たないと思いますが・・・」

その人はJALのパイロットだった
すごく態度が悪かった

その人は捨てセリフの様にこう言った
「クヨクヨしてる暇があったら、どうしたらいいのか考えろよ
お前の身体欠陥は手術でどうにかできる
金があったら海外で訓練は受けられる
まだパイロットにはなれるんだよ
金を稼げ 弱虫が」

酔っ払いの戯言だったが
こんなに心を救ってくれた言葉はない


夢は叶わないじゃない
夢は「諦めたら」叶わない

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