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2017.6.24開催 第22回大賞授賞式レポー ト...報告:ちかぞう

 2017年6月24日(土)午後、第22回ライターズネットワーク大賞授賞式が開催され、全国から仲間が集い、楽しいなかにも刺激あふれるひとときとなりました。

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 ことしの会場は東京・駒場公園内の、日本近代文学館内喫茶室「BUNDAN COFFEE & BEER」。駒場公園が旧前田家駒場邸跡ということもあって園内に史跡も多く、早めに現地入りして散策する姿もチラホラ見受けられました。文学館では芥川龍之介にまつわる催しもあり、そちらの展示室でもほかの会員さんと遭遇。「日頃からアンテナを張りまくっているライターズのメンバーらしいなぁ」と、互いにフフッと笑みを交わす場面もありました。

 さて授賞式本番は壁一面、びっしりと本の並ぶ空間で、文学者の名を冠した香り高いコーヒーなどをいただきながら。ライターズネットワーク代表・凛福子さん【会員番号151】による開会のご挨拶で幕開け。

 そしてお待ちかね、ライターズネットワーク大賞選考委員会より本年度の受賞者の発表がありました。

受賞者は、こちらの3名!(以下あいうえお順)

大賞 小川内清孝さん 【会員番号109】
著作『赤い花の記憶 天主堂物語舞台裏』(長崎文献社)、構成・執筆を手掛けた『チンドン大冒険 ボクがチンドン屋になった理由』かわち家 河内隆太郎著の執筆(2作品いずれも長崎文献社発行)、および地元長崎を舞台にした市民ミュージカルの台本・上演、原爆をテーマにした平和朗読劇脚本・演出のこれまでの活動とその記録を表した著作に対して。
http://www.e-bunken.com/shopdetail/000000000329/
http://www.kawatiya.jp/daibouken/
大賞 加藤潤子さん 【会員番号509】
長年にわたる子どもたちへの教育活動と、その実践から生まれた『子どもの心を育む 花育をはじめよう』(汐文社)の出版に対して。
http://www.choubunsha.com/book/9784811323077.php
大賞 水崎真智子さん 【会員番号309】
中央公論新社ラクレ新書(企画・編集協力)ほかムック、Webサイトへの教育関連記事の執筆に対して。
http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/ichiran/20160518-OYT8T50058.html
http://www.chuko.co.jp/laclef/2016/05/150553.html
http://www.chuko.co.jp/laclef/2017/03/150579.html

 続いて選考委員会の金丸弘美さん【会員番号0】、藤原ゆきえさん【会員番号11】、凛福子さんから、3人について受賞理由の発表も。

 受賞理由はこちら。公式発表「第22回大賞授賞者が決定しました」。

 トロフィーのプレゼンターは昨年、沖縄長編ドキュメンタリー映画『うりずんの雨』(ジャン・ユンカーマン監督 2015年)の制作に携わり、第21回ライターズネットワークプロデュース賞を受賞した前澤哲爾さん【会員番号214】が務めてくださいました。※映画『うりずんの雨』公式サイトはこちら

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向かって左から加藤さん、前澤さん、水崎さん。
中央の前澤さんが手にしているのが、小川内さんの大賞受賞作2冊。

 小川内さんは会場へ駆けつけることかないませんでしたが、ビデオメッセージで受賞の喜びを語ってくださいました。小川内さんが脚本・演出を手がけられた長崎オリジナル市民ミュージカル『赤い花の記憶 天主堂物語』の映像には、参加者一同釘付けに。来年夏の再演決定のニュースには、あらためて拍手が沸き起こりました。“書き手”から、また“地方”から拡げてこられた可能性とその結実に、大きな喝采が送られました。
※『赤い花の記憶 天主堂物語』公式サイトはこちら

 加藤さんは、受賞作共著者の華道家・大久保有加さん、また共に「花育」活動をしていらっしゃる建築家・大成優子さんと一緒にスピーチされました。全国の、主に公立小学校で“一輪の花”を素材として子どもたちに「『いのち』を考える」授業を展開しているとのこと。加藤さんの発した「現代教育、公教育に本当に必要なものとは何か」という問いには、その場にいる者全員が真剣な面持ちで、それぞれの思いを巡らせているようでした。また受賞作自体が、実はライターズネットワークの過去の懇親会をきっかけに生まれたものだというエピソードには、より一層あたたかな拍手が送られました。

 水崎さんは今回、遠路・神戸からのご登壇となりました。「教育ジャーナリスト」として10年余りにわたるご活躍は全会員の知るところで、また目指すところでもあります。スピーチではライターズネットワーク役員として長年、会をけん引してくださっている水崎さんらしく、まず「仲間が仲間を褒めるという賞の趣旨が好きで、今回の受賞を大変うれしく思っています」とのコメントが。併せて影響を受けてこられた会員の方々のお名前と実績を挙げ――田島安江さん【会員番号142】が編集・翻訳した『牢屋の鼠』(ノーベル平和賞受賞者・劉暁波氏の訳詩集)、太田越知明さん【会員番号7】の著した『きだみのる―自由になるためのメソッド』、前澤さんの映画『うりずんの雨』への取り組み、菊池道人さん【会員番号100】がコツコツと書き続けられるご様子、またご自身が出版界におけるお手本とされてきた藤原ゆきえさん、会の創立者でいらっしゃる金丸弘美さん、等々――会への感謝あふれるお言葉をいただきました。ライターズネットワークという組織の層の厚さ、また懐の深さのようなものを、あらためて実感させてくれるスピーチでした。

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写真は、ライターズネットワーク副代表・藤岡比左志さん

 授賞式のもうひとつの醍醐味(?)といえば、毎年恒例! ライターズネットワーク副代表・藤岡比左志さん【会員番号18】をモデレーターに迎えるトークショーです。今回は受賞者お二人に、身内だからこそできる直撃インタビューをしていただきました。

 加藤さんらの実践する「花育」については「俺なんか、花なんて全然分かんないよね」、「男性こそ、もっと言えばシニアの男性層ほか社会人にこそ、いま『花育』が必要なのでは?」などなど、藤岡流とも言うべきボケとツッコミに、未来の可能性まで見据えた視点が冴え渡ります。加藤さんの静かながら熱い想いに貫かれた語り口と、藤岡さんの緩急織り交ぜた直球&変化球が化学反応を起こしたような、時にインタビュイーにもなる者として盗みたいところ満載な会話のキャッチボールが眼前で繰り広げられました。

 水崎さんには、如何にして「教育ジャーナリスト」となったのか、そのおよそ10年にわたる道程にグイグイ迫っていただきました。藤岡さんによれば、これぞ業界で言われる“仕事わらしべ長者”なのだとか。地道かつ密に取材を重ねて人脈を築き、ウェブで発信する一方でコンテンツも貯め、じっくり寝かせたうえで書籍としてもまとめ上げ、さらに新書をシリーズ化させるに至った経緯は、1本のテーマを軸に人と人、ウェブと出版をどのように結びつけてゆくのか、ひとつの理想型を示してくれたようにも見えました。

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 そんなこんなと盛り上がるうちに、会はアッと言う間にお開きに。渋谷での二次会に向かう人あれば、新幹線に飛び乗り地元へ帰る人もあり。「来年こそは自分が大賞を!」なんて決意を胸に秘め、仲間たちと笑顔で手と手を振り振り、年に一度の宴は幕を閉じたのでした。

文:ちかぞう【会員番号405】
中国&育児ライター+イラストレイター。
15の春から中国とのお付き合いが始まり、四半世紀を経た不惑+。かの国について文章を書いたり絵を描いたり、翻訳をしたり。中国旅行専門誌『CKRM』で各地を題材にしたイラスト旅「妄想紀行」を連載するほか、インバウンド、とりわけメディカルツーリズムの現場でも日々奮闘している。小学生+双子(保育園児)の母でもあり「ウレぴあ総研」ママ向けサイト「ハピママ*」や「お産ポータル」等で育児情報も発信中。
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写真:山田仁【会員番号215】はじめ会員提供

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