デザイン流産。
【デザイン流産】
これでもない、あれでもないと生みの苦しみに耐えながら、我が子のようにすくすく育てあげてきたデザインが、大人の事情、開発のリソースやスケジュールなどの関係で、世の中に産み落とされぬまま、そのままお蔵入りになってしまうこと
デザイナーをやっていると、そんな辛く、悲しいことが残念ながらよくおきてしまいます。
悲しすぎるので、それらの事象を「デザイン流産」と命名してみました。
アプリケーションのデザインでいうと、アプリの開発というのは、実際の妊娠のように、本当に長期戦です。
サービスにもよりますが、まともに作るとなると、最低でも6ヶ月はかかります。
案件が決まり受精卵が宿ってから、健康な子が産み落とされるまで、デザイナーは急な仕様変更など、苦しいツワリや妊娠鬱などにみまわれながらも、出産予定日に目がけ、頑張っていきます。
1アプリにつき、細かいインタラクションを含めると100画面ほどデザインすることはザラです。
すべてはこれから世の中に生まれてくる我が子のために。。!
デザインしている最中は、まさに、子宮に生命が宿り、大事に育てていくような感覚です。
(妊娠したことはないですが、おそらく似た心境と思います。)
作り手の精神状態が、生み出される子に多大な影響を与えるので、愛情をたくさん込めて細部までデザインし、子に栄養を与えていきます。
そして、長い月日を経て、ようやく!
健康な子が無事、世の中に産み落とされることで、デザイナーは言葉にできない感動を味わいます。
使う人が喜んでくれたらなおさら。
ようやくこの子を出産しました!と、外に公表することもできます。
これまでの痛みや苦しみが報われ、あんだけ辛かった途中のツワリも忘れてしまい、また我が子を出産したい、という気持ちにさせてくれます。
しかし、冒頭に述べたように、残念ながら私は、幾度となくデザイン流産を経験してきました。
これまで何度、子宮を痛め、我が胎児を堕ろしたのかわかりません。。
無事安産できたことは稀かもしれません。
流産の理由は、大人の事情様々です。
- そもそもプランニングの仕事だったので、実際にリリースに至らず
- 資金がなくなったため、これ以上開発できずプロジェクトがそこで終わる
- スケジュールが間に合わず、デザインし終わった画面がごっそり後回しになる、最小機能開発だけになり、フルフル機能我が子がいつリリースか謎
- デザイン画面はすべて納品したが、そのまま音信なく、永遠にリリースされず今に至る
- エンジニアのリソースが足りなすぎて、未だリリースの目処が立たない
などなど。
これまでの経験上、リアルな開発見積もりを行い、プロダクトオーナーやマネージャーが出産予定日を断固決め進めていかないと、流産の確率がグンと上がります。
アプリの場合は、何より使える、動くことが先決なので、デザインの優先度が低になり、プロダクトはリリースされたが、デザインが完全に当たらないまま、なんとなくデザイン流産に至ることもあります。
悲しいことに、まだリリースされてないものは、今後リリースされるかもしれない機能、画面であるので、秘密保持契約の関係上、公に言うことはできません。
どんだけ子宮で育てても、私、これデザインしました!!とドヤることができないのです。
大人の事情という、神のどうしようもないイタズラなので、流産の結果を反芻しても仕方ありません。
が、あまりにデザイン流産が重なると、
「私の子宮になにか問題があるのだろうか」
「もはや、身ごもれない体質なのだろうか」
と、近年無駄に、ナゾの悩みに苛まれています。
クリエーターはヒット曲を出し続けるアーティストのごとく、ヒットした仕事を出し続ける宿命があると感じています。
私は、これまで無事安産し、大きく成長している子供が1人おりますが、一発ヒット曲にすがっているアーティストのようで、正直歯がゆいのです。
それはまるで、紅白の和田アキ子がいつも「♪あの鐘を鳴らすのはあなた」を歌い続けてるかのようで。
ほかにヒット曲ないのかよお前、それしか歌えないのかよ、と思われても仕方ない状況です。
シュン。。。
サービスをつくる、アプリをつくるということは、デザイナーひとりでつくりあげられるものではありません。
ビジネスやコンテンツ、エンジニアなど、みんな総出のチーム戦です。
母だけでなく、父、じいちゃん、ばあちゃん、近所の人、助産婦さんなどの支えがあり、安産できるのです。
切実に、安産したい。
たくさんの流産経験から、どうしたら安産できるのかノウハウはたくさん持っています。
安産可能なプロジェクト、お気軽にお声がけください。
shoko@spiciichocolate.studio
ポートフォリオ等、プロフィールはこちら。
https://note.mu/shokolog711/n/nfb32413ce474?current_menu_id=2680&creator_urlname=shokolog711
----------------------------------------------------------------------------
リアルなベルリンライフはこちらにつぶやいてます。
ごはん情報多めです。
https://twitter.com/shokolog711
過去メディアに取り上げられた人気記事はこちら。https://note.mu/shokolog711/m/mf7186022984d
みなさまにSpiciiを発信し、届けるためにいろんなとこへ行ったり、ベルリンでサバイブする資金にいたします。