美味しい野菜炒め


日常のおかずに、私が繰り返し作っている、美味しい野菜炒めの作り方をシェアしたいなあと撮影するも、なかなかニュアンス伝わる写真が撮れません。おまけに仕上がりの写真も撮り忘れていますが、いつものごとく文章で書いてみようと思います。
ポイントは、生姜と水分、そして塩を加えるタイミング。
中華料理店のような火力は必要ありません。家庭用コンロで、飽きのこない、応用自在な野菜炒めを、ぜひ。

野菜炒めに対する、一般的な(であろう)イメージは、
がんがんに熱した鍋と油で勢い良く強火で火を通す
であり、
野菜炒めにありがち(であろう)問題点は、
短時間でしゃきっと仕上げたい→強火→とはいえ短時間では火が通らない→炒め続けて焦げる、あるいはベタベタになる、歯ごたえもなくなってしまう
といったところでしょうか。

なぜ短時間で火が通らないかといえば、鍋肌から伝わる熱のみで、鍋の中の野菜に均一に一瞬で火を通そうとするから、です。鍋に接している部分には熱は伝わりますが、重なり合っている部分には当然伝わりにくい。一生懸命火力を上げたところで、その条件は変わりません。
熱された野菜からは、水分が蒸発します。時間がかかればかかるほど、野菜は乾燥し、しまいには焦げてしまい、焦げないようにと油を増やせばベタベタになってしまう。
しゃっきりと歯ごたえがあって、野菜のうまみも楽しむイメージからは、どんどん遠ざかっていきます。

その問題を解決するのが「水分」です。
炒め物に水分は不要では?という思い込みがあったら、一旦クリアにしてください。
炒め物は、熱した油と蒸気でつくるもの。油でコーティングされた具材を、蒸気で蒸すことで、均一に素早く火を通すのです。鍋肌を通じて伝わる下方向からの熱と同時に、蒸気で全方向から火を入れるイメージです。
同時に、具材そのものの水分が不必要に蒸発するのも防ぎます。

今回は、キャベツと人参の生姜炒め。生姜から出る旨味も、ポイントです。
生姜は皮を向いて千切りに。結構沢山入ります。具材全体にまんべんなく入って欲しいので、千切りも頑張ります。面倒くさければ、気分に合わせた大きさで構いませんが、気が向いたら一度は細かくして較べてみて欲しいです。もちろん、食べてみてどっちでも一緒やん、と思ったら次からも好きな大きさでいいですよ!
人参は薄い輪切り、もしくはいちょう切り。キャベツと馴染んで欲しいので、これもあまり分厚くないほうがいいです。皮は剥いても剥かなくてもお好きなほうで。
キャベツはざくざく適当に切ります。だいたい4−5センチ四方くらいでしょうか。もう少し小さくても食べやすくていいですし、大きければダイナミックな食感になります。

フライパンに油と生姜を入れて火にかけます。最初は弱火で、生姜の香りが立つのを待ってください。なんとも言えないいい香りがしてきますよ。くれぐれも焦がさないように気をつけてくださいね。
香りが立ったら火を強め、まず人参を入れます。人参はキャベツに比べると若干火が通りにくいのが理由ですが、私が実はあんまり人参が好きじゃないのもあります。人参臭さは、カロテンによるものですが、カロテンは油に溶ける。つまり、人参を油で調理すると、人参臭さが消えてくれるのです。積極的に油にさらしましょう。(人参大好きな人は適当でいいです)
続いてキャベツをどさっと。

ざざっと全体を混ぜて、油を行き渡らせたら、ここで水分を加えます。
水で構いませんが、お酒やスープがあったら少し上等な感じになります。量は、二人分だったら大さじ1〜2くらいかな。入れた瞬間蒸気がぶわっと上がるのが目安です。入れすぎると温度が下がってしまうので、最初は少なめから試してみてください。
水蒸気を全体に浴びせる感じで、大きく具材を混ぜます。あまりぐちゃぐちゃ混ぜたくはないのですが、混ぜないと火の通りがムラになるので、ざっくりと。この時、水分がなくなって、具材が熱で干からびそう!という様子を見せたら、再び水を足してください。具材がしっとり、スチームを浴びて気持ちよさそうにしていることが大事です。

徐々にキャベツのカサが減り、全体に油と水分が行き渡ってツヤツヤしっとりしてきたら、そろそろ頃合いです。塩を適量振り入れて、再び大きくかき混ぜます。仕上げにお好みで胡椒などを(おすすめは白胡椒!)。

どうでしょう?歯ごたえが残りつつも柔らかなキャベツの、甘みが感じられるでしょうか?生姜が思いの外いい仕事してませんか?白胡椒の独特の癖も、「いつもと違う感じ」に貢献してると嬉しい。
塩を最後に入れることで、一番外側に塩、油でコーティングされたキャベツの内側にはきゃべつの甘み、と、それぞれがいい感じに主張してリズムを生みます。野菜炒めの「メリハリ」は、歯ごたえだけではなく、味の感じ方からも生まれるのです。

この方法で、いろんな野菜炒めが応用できます。
生姜をニンニクのみじん切りに変えるのもありですし、唐辛子を入れるのもいい。仕上げを黒胡椒にしたり、花山椒にしたりするのもいいですね、
例えば、ブロッコリーのような、火が通りにくそうな野菜の場合、先に軽く茹でるのもありですが、炒めながら水を足した後、思い切って1分くらい〜、蓋をしてしまうのも方法です。先に油でコーティングされているので、単なる蒸し野菜にはならない。野菜炒めを、「油でコーティングされた具材に、蒸気で短時間で火を入れる」と考えれば、こういった小技を使うのもありです。

また、例えば炒める前の野菜を洗った水分。これが充分に残っている状態であれば、炒める時の水分は省くという選択肢も出てきます。
理想的には、鍋の中の野菜の様子を観察して、「高温サウナでやせ我慢してるみたい」に見えたら水分を足す、という判断ができたらいいですね。
鍋は、もしあれば大きめで、少し深めのほうがいいです。中華鍋や北京鍋が理想。直径が小さいと、どうしても具が飛び出しでしまいますし、深い方が、具材を蒸気で包み込みやすい。

美味しい野菜炒めができますように!

読んでくださってありがとうございます。いただいたサポートはレシピ関係の書籍、食材購入等に使わせていただきます。 気に入ってくださいましたら、ぜひ。