魂から話すこと、はなぜ難しいのか。

前書き

・This is NOT 退職エントリー。でも珍しくコラムよりです。
・このNoteの主題は「魂から話すこと」「一石を投じること」の重要性です
・シーンや環境は違えど、過去の私と同じように「緊急じゃないけど重要なこと」を見てみぬふりをしてる人がいるのではないかと思って書きました
・これまでの中で最も産みの苦しみを感じ、GWの10連休をすべて費やすことになったNoteです...なので時間あるときにでも、読み飛ばさずに読んでもらえると泣いて喜びますw

2019年3月末に創業〜5年間を費やした「シェルフィー株式会社」を退職しました。VISIONも事業も組織も最高だったので、そんな環境を離れる決断をするのは人生で1,2を争う難しい意思決定でした。他人から見ればただのキャリアチェンジかもしれませんが、"WHY "を自分の中で消化し、言語化するには多大な時間と労力がかかりました...やっと答えが出た今、「結局一番の学びは何だったのか?」を残しておきたいと思います。

「おめでとう!」への違和感

「転職祝いするよ!」といってこの数ヶ月は普段会わない友人・知人もよく飲みに誘ってくれました。その場で、次の転職先ががある程度名の知れた会社なこともあり、多くの人から「キャリアアップだね、おめでとう!」というようなニュアンスの言葉をかけてもらいました。そのときにとてもとても有り難い反面、計り知れない違和感を持っている自分に気づいたのです。

正直に言って創業当初は「仮に会社がコケても、創業から関わっていれば自分の市場価値は上がるからいいや」くらいに考えていましたが、やっていくうちにどんどん自己のアイデンティティと会社がどんどん一体化していきました。よって私にとっての退職=自己のアイデンティを一部失う感じで、どちらかというと「悔しさ」や「やりきれなかった感」の方が強く残っていたのです。だからこそ「おめでとう」を素直に受け取れない自分がいたのかなと...

「悔しさ」の正体

退職を決めたときは正直自分でも理由がよく分かっておらず、それっぽい理由を言うものの自分でもしっくりこない...という状態だったのですが、代表の呂や社外のメンターが以降数ヶ月かけて寄り添ってくれたおかげで、(この数ヶ月ほどいかに人に恵まれているかを実感したときはありませんでした)途中不眠に陥ったりしながらも、やっと自分が何に悔しさを感じているのかが判明したのです。

それはずっと心の奥底に「経営者になりたい」という願望があったこと、そしてその事実とそれに伴う感情を長らく見てみぬふりしてきたことでした。ちなみに"経営者"が"取締役"なのか、"CXO"なのか、何を指していたのかはもはやよくわかりません。笑  

ただ、思い出せるのは社内外で「1人目の社員」として紹介されるたびに不満だったこと、また自己紹介で自らそのワードを使うたびに「そんな気持ちで働いてないのに」と、自分の中で何かが死んでいく感覚がしていたことです。

でも自身の感情を言葉にしたことはありませんでした。その理由として「スタートアップみたいな小規模な組織でポジション云々言っても〜」という考えがあったことや、「どうせやるなら指名されたい、選ばれたい」という思い、もしくは創業時から代表である呂の横でずっと仕事してきた中で、到底自分はそのレベルじゃないと悟ったから、など細かい要因をあげればキリがありません。

が、もっと早く「自分のWANTに気づいていれば」そしてそれを「伝えていれば」結果は全く違っていたということだけは分かります。ものすごく強い感情だったのに見てみぬふりし続けた期間が長すぎて、表層化したときには後戻りできないくらい大きくなっていた、という結末でした。

そもそも性格特性として仕事もプライベートも何でもシェアし、自己開示度は異常に高いので、自分が何かを伝えていないという自覚が薄れ、長年殺してきたその感情が急に爆発した結果、身体的反応として出てきたのが不眠だったようです。

言えばよかったじゃん!という超シンプルな構造。が、言えなかった。新卒から『LEAN IN』を読んで、自ら声を上げることの大切さを頭では理解しきっていたのに、です...

ちなみにCEOの呂は私がそんなことを考えているなんて、これっぽちも思っていなかったようです。そりゃそうですよね、伝えてないんだから。笑 そして「もっと早く伝えてほしかった」と言われました。一方で、当時の私は心のうちでは「気づいてほしい」という矛盾した願望を持っていて、これがさらに状況をこじらせていたような気がします。

部屋の中のゾウ🐘

以上が私の個人的な話でしたが、まとまめると
①自分と会社の未来のために、自分のWANTを伝える責任があったこと
②でもそれに気づけず、責任を果たせなかったこと

の2つが私の5年間のスタートアップ生活での「悔しさ」と「やりきれなかったこと」です。

そして意外だったのは、この話をポツポツ周囲にするようになって「わかる、俺/私も状況は違うけど、気持ちは同じだ」と共感されることがめちゃくちゃ多かったことです。

例えば、
・社内でやりたいプロジェクトがあるけれど、自分に自信がなくて手を挙げられない。
・社内で明らかに不調そうな同僚がいるけど、自分もいっぱいいっぱいだし...と見てみぬふりしている。
・彼氏の行動が明らかに不審。でも波風立てたくないし...と黙っている。
・本当は子供がほしいけど、バリバリ仕事している奥さんに遠慮して話せない...
などなど。

こうした「ものすごく重要なものがそこにあるのに、まるで存在しないかのように振る舞うこと」の例えとして、シェリル・サンドバーグは著書『OPTION B』の中で「部屋の中のゾウを見てみぬふりする」と表現しています。

"念じるだけではゾウを追い払うことはできない。でも代わりにこう伝えればいい。『わかる。あなたが苦しんでいるのはわかる。あなたのことを気にかけているよ』と。" (OPTION B 第2章より)

書籍の中では不幸なことが起きた人へ周囲の人がやりがちな接し方として紹介されていますが、自身の感情やWANTについても同じようなことが言えるはずです。

素直な気持ちや感情を表現する前に、「プロフェッショナルじゃないから」「まだ実力がないから」「子供を持つ親だから」といった理由で殺すのは簡単ですが、それこそまさに念じてゾウを追い払おうとする行為ではないでしょうか?

「魂から話す」とは

コーチングの基本的なフレームワークに「3つの現実レベル」というのがあります。

①合意的現実レベル
👉事実、数字、職業、役割など目に見えて合意が取れていること
例)建設×ITのスタートアップでPdMとして働いている
--------------------- 
↓ここから非合意的現実レベル(完全に主観の世界)
②ドリーミングレベル
👉気分、イメージ、価値観など目に見えないが、表現しやすいもの👉気分、イメージ、価値観など目に見えないが、表現しやすいもの
例)スタートアップに入ったからには経営をやりたい、そのためのポジションがほしい
------------------------------------------
③エッセンスレベル
👉ひらめき、衝動、直感などカオス状態だが、強く何かを感じるもの
例)「一人目社員です」と自己紹介したときの違和感

基本的に私たちは①の合意的現実レベルにて、様々な役割(父親、エンジニア、友人など)を着て社会活動を営んでいます。
これはとくに共通言語が重要なビジネスの世界では重要なことなのですが、問題は①合意的現実でばかり生きた結果、非合意的現実である②ドリーミングレベルや③エッセンスレベルにアクセスできなくなることです。

ロジカルで客観的であることは素晴らしいことですが、一方で主観100%の世界である、ドリーミング・エッセンスレベルにある自身の「違和感」や「情熱」といったものをスルーし続けると、結果的に一番の目的であったはずの幸せが遠のいていく、という落とし穴に落ちるのです。私のケースはもちろん、共感してくれた友人・知人もそうでした。

最近魂から話せていますか?

対象となる関係性が大切であればあるほど、「魂から話すこと」は難しくなっていくのかもしれません。判断要素が多くて不確実性が高く、ある程度快適な状態である"今"を壊すのではないか、という恐怖が襲ってくるからです。

日本語には「腹を割って話す」「一石を投じる」「胸の内を見せる」「胸襟を開く」などなど、「魂から話す」ことを表す言葉が多いことに驚きます。本音と建前、のように元々魂で話すことは難しい文化なのかもしれませんが、(自分も含め)女性はとくに空気を読みすぎる傾向が強いと感じます。

またインターネットによって情報量が増えれば増えるほど、「誰かから借りた言葉で」「それっぽく」「その場しのぎの」言葉を話すことは簡単になっていきます。が、同時に「自身のドリーミングやエッセンスレベルにアクセスし、そこにあるものを観察し、言語化すること」はどんどん難しくなっているのではないでしょうか。

見てみぬふりしている自分の感情やWANTはありませんか?

・本当は大切な人に伝えたいのに話せていないことはありませんか?

・あるなら、今日もしくは今週のどこかで相手に伝えてみませんか?

勇気はめちゃくちゃ必要だし、一時的な人間関係の揺れも起きるかもしれません。でも未来の自分が後悔しないことだけは身をもって保証できます。このNoteが少しでもそういった方々の背中を押せるように願っています...!



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おまけ:5年間を振り返って

冒頭で告げた通り、退職エントリーにはしたくないのですが、自分への備忘録としてこの5年間スタートアップという環境に身を置いて感じたことを最後に置いておきたいと思います。ここからは本文と関係ないので、興味ある方だけどうぞ!

今振り返れば、ただの大学生インターンだった私を、当時働くベンチャーでのメンター社員だった呂が、「建設業界ってめちゃくちゃおもしろいと思わない?就職しないなら一緒にやろうよ」と誘ってくれたのが人生の転換点になりました。今でも自分の人生で誇るべき最良の意思決定だと思っています。2ヶ月間悩んだ当時の自分には「もっと早く決めろよ」と伝えたいですが。笑

その後の5年間は本当に毎日が怒涛で、『スタートアップにとっての最悪の時というのは本当に最悪なものだ。』というPaul Greahamの言葉の正しさを実感する日々でした。

下記はその「最悪なとき」の一例ですw

・見込んでいた売上や資金調達の予定が消え、メンバーの給与が払えない
・家族や友人などの大切な人から、悪意なく自分たちのやっていることをディスられる
・ユーザーの期待に応えられないプロダクトの状態が続き、クレームが続出
・採用が決まって大喜びしていた候補者が急に音信不通に
・立ち上げから一緒にやってきたメンバーの退職
・勘違いを発端に、ネットに書かれる悪評      etc...

こういったいわゆるHard Thingsが一つ一つ順番に起きるのであればまだ対処のしようはあるのですが、スタートアップの特徴はマイナスイベントが「同時に」「一気に」振ってくることだと思います。またそれがプライベートのマイナスイベントと重なったりするので、スタートアップに関する書籍や記事からイメージしていたメンタルダメージとはレベル感が異なっていて、幸か不幸かおかげで人間として成熟させてもらった気がします。笑

一方で、『スタートアップにとっての最高のときというのは本当に最高』というのも声を大にして伝えたいです。資金調達とかメディア掲載とかIPOとか(経験したことないけどw)そういう派手な瞬間ももちろんですが、それよりも、

・はじめてのリリース、はじめての売上、はじめての採用
・数ヶ月口説いていた採用候補者から、家族を根気強く説得したうえで入社を決めたという連絡がくる
・○○さんの話が信用できたから、という理由でまだリリースしていない製品を契約してくれるファーストユーザー
・なかなか成果がでなかったメンバーが、一気に成長して質感が変わり、成果を出す
・受け入れられるかドキドキしながらリリースしたプロダクトや機能がめっちゃ使われる
・エンジニア、セールス、デザイナーなどの各分野のプロ同士で背中を預け合い、難問に挑んで、解決に導いた瞬間
・家族ともここまでの関係性は築けていない、というレベルで自己開示し、理解し合えるメンバー

このような出来事に遭遇するたびに、私は「今ここに生きている」という実感のようなものを得られていたような気がします。

また何よりもそんな瞬間を仲間と共有し、粘り勝ちしたお互いを心から讃え合えることこそが、スタートアップで働く醍醐味なのだと思います。(もちろん他企業でもあると思いますが、スタートアップにおいては所属メンバー全員がVISIONへの思い入れが段違い、というのは事実かと。)

もしスタートアップへの転職を迷っている人がいれば、(矛盾していると言われようが)自信を持ってシェルフィーを勧めます。手前味噌ですが、未だにVISION、事業価値、組織レベルのどれも異常に優れていると思います。『レガシーな業界をITで変えるの面白そう〜』とか思っちゃってる人ならベスト・オブ・ベストな選択ですね( ・`ω・´) さらに私が立ち上げた事業はこれから死ぬほど伸びる(今まさに伸びてる)ので、めっちゃ面白いフェーズです。笑

一通り書いたところで、自分の次のキャリアも書いとかないと!と気づいたので、追記しておくとBCG Digital Venturesという会社でこの4月から働いてます。職種はこれまでと同じPdMですが、カルチャーや求められる役割は結構変わる感じです。

コンサルと事業会社の間のような位置づけなのですが、クライアントがいて仕事をするという特性上、Confidentialが多すぎて言えることがほとんどないので、これまでのように具体的な話は書けなくなりそうですが...笑

今回のNoteには省略しましたが、こちらはこちらで自分なりに考え抜いた選択なので、これからも稚拙ながらに「自分の頭で考え、自分の言葉で、魂から話す」ことを大切にしていきたいと思います!

Facebookの退職投稿に書いた文章が自分的にもしっくりきているので、28歳の等身大の自分記録として最後にこちらを。

"これまでは「卒業」というとそこからまた新たなDay1が始まる感覚だったのですが、アラサーになったからなのか、最近は時間の流れに対して「波」のような、地続きの感覚を持てるようになった気がします。

すでに4月からは新しい職場にいますが、これまでの5年に一区切りつけるというよりも、いい意味で”引きずりながら”進んでいきたいと思います"



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Shoko Suzuki

Product Managerしてます( ・`ω・´) 趣味は健康になること、好物はサブスク型のサービス。特技は人の可能性を信じること。人生最後は教育やりたい。
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